消防予第106号

昭和46年7月27日

改正:昭和60年消防危第38

都道府県知事 殿

消防庁次長

 

危険物の規制に関する政令の一部を改正する政令等の施行について

 

危険物の規制に関する政令の一部を改正する政令(昭和46年政令第168号)及び危険物の規制に関する規則の一部を改正する省令(昭和46年省令第12号)が昭和4661日をもつて公布され、原則として同日から施行されることとなつた。

今回の政令及び規則の改正は、消防法の一部を改正する法律(昭和46年法律第97号)に基づいて行なわれたもののほか、従来から懸案事項であつた屋内貯蔵所、屋内タンク貯蔵所、移動タンク貯蔵所及び販売取扱所に係る位置、構造及び設備の技術上の基準の整備強化、手数料の改定等をその内容とするものである。

貴職におかれては、下記事項に留意のうえ、その運用に遺憾のないよう格段の配慮をされるとともに、管下市町村に対しても、この旨示達のうえ、よろしく御指導願いたい。

 

 

第1 貯蔵所及び取扱所の区分

1 移動タンク貯蔵所は、単一の車両にタンクが固定されたもの(一般にタンクローリーと呼ばれているもの)とセミトレーラーにタンクが固定されたもの(別図1中の1参照)とに限られることが明確にされたこと(危険物の規制に関する政令(以下「令」という。)第2条第6号)

したがつて、セミトレーラー以外の被牽引車であるフルトレーラー等は移動タンク貯蔵所の車両として使用できないものであること(別図1中の2参照)

2 消防法(以下「法」という。)別表の改正に伴い、屋外貯蔵所において貯蔵できる危険物の品名が整理されたこと(令第2条第7号)

ただし、実質的には、屋外貯蔵所で貯蔵できる危険物の範囲には変更がないものであること。

3 店舗において容器入りのままで危険物を販売する取扱所として、第一種販売取扱所及び第二種販売取扱所の2種類の区分を設け、第一種販売取扱所とは、従来の販売取扱所と同じ規模の取扱所をいうものとし、新たに設けられた第二種販売取扱所とは、指定数量の5倍をこえ15倍以下の危険物を取り扱うことができるものをいうこととされたこと(令第3条第2号)

 

第2 完成検査

1 完成検査の申請と別個に行なわなければならないタンク部分の水張検査又は水圧検査は、製造所等に設けられるすべてのタンクがその対象となることとされたこと(令第8条)

2 タンクの水張検査又は水圧検査を行なうことができる他の行政機関とは、例えば、当該タンクの製造地を管轄する市町村長(当該市町村に消防本部及び消防署が置かれていないときは知事)のように、製造所等を設置する区域を管轄する市町村長等以外の市町村長又は都道府県知事をいうものであること。

また、この改正に伴いタンク検査申請書の様式が改められたこと(危険物の規制に関する規則(以下「規則」という。)別記様式第5)

3 完成検査済証の様式として、移動タンク貯蔵所に用いるもの(規則別記様式第5の3)及び移動タンク貯蔵所以外の製造所等に用いるもの(規則別記様式第5の2)2種類が定められたこと。

4 タンクの水張検査又は水圧検査に関する規定の改正に伴い、検査行政庁が交付するタンク検査済証の様式が定められたこと(規則別記様式第5の4)

なお、本様式については、次の事項に留意されたいこと。

(1) 様式()中に限り、「検査行政庁」の表示は、検査行政庁の統轄する都道府県名又は市町村名を記載することをもつて足りること。

(2) 検査圧力の欄には、水張検査を行なつた場合にあつては「水張」と表示し、水圧検査を行なつた場合にあつては当該検査圧力をkg/cm2の単位で表わすこと。

(3) 様式()のタンク検査済証は、リベツト又は接着剤等によつて強固に取り付けることとし、検査済証の金属板の材質等は次によるものとすること。

ア 板の材質は、真ちゆうとし、厚さは0.5mm以上とすること。

イ 検査済証は、別図2に示すエツチング加工とすること。

ウ 検査圧力、検査番号及び検査年月日の記入は、刻印とすること。

5 製造所等の完成検査の際、他の行政庁の行なう水張検査又は水圧検査を受けたタンクについては、当該タンクのタンク検査済証の正本と当該タンクに取り付けられているタンク検査済証の()とを照合し、その同一性が確認できれば水張検査又は水圧検査は完了したものとして取リ扱うこと。

 

第3 屋内貯蔵所の基準

1 指定数量の20倍以下の第四石油類等の危険物の屋内貯蔵所には、位置に関する規定が適用されないものとされたこと(令第10条第1項第1号ただし書)

2 指定数量の20倍以下の第四石油類及び動植物油類の貯蔵倉庫に係る空地の幅は、生石灰及び第6類の危険物の貯蔵倉庫に係る空地の幅と等しい幅とされたこと(令第10条第1項第2号ただし書及び規則第14条)

3 指定数量の20倍以下の危険物(1に掲げる危険物を除く。)の屋内貯蔵所のうち、その貯蔵食庫が特定な構造及び設備を有するものには、位置に関する規定を適用しないものとし、また、その貯蔵倉庫に係る空地の幅を減ずることができるものとされたこと(令第10条第2項及び規則第16条の2)

 

第4 屋内タンク貯蔵所の基準

1 屋内貯蔵タンクの容量は、指定数量の40倍以下とされたこと。

ただし、第四石油類及び動植物油類以外の危険物にあつては、2万Lを限度とされていること(令第12条第1項)

2 タンク専用室を平屋建以外の建築物に設けることができる屋内タンク貯蔵所として、引火点が摂氏40度以上の第四類の危険物の屋内タンク貯蔵所が追加され、あわせて、当該タンク専用室の構造及び設備の技術上の基準が改められたこと(令第12条第2項)

なお、本規定については、次の事項に留意されたいこと。

(1) 「危険物の量を覚知することができる装置」(第2項第2号)には、自動的に危険物の量が表示される計量装置、注入される危険物の量が一定量に達した場合に警報を発する装置、注入される危険物の量を連絡することができる伝声装置等が該当するものであること。

(2) 「随時開けることができる自動閉鎖の甲種防火戸」(第2項第6号)とは、通常、自動ドアーチエツクと呼ばれる装置を設けた甲種防火戸をいうものであること。

(3) 「屋内貯蔵タンクからもれた危険物がタンク専用室以外の部分に流出しないような構造」(第2項第8号)とするには、出入口のしきいの高さを高くするか又はタンク専用室内に堰を設ける等の方法があるが、いずれの方法によるとしても、タンク専用室内に収納されている危険物の全容量が収納できなければならないものであること。

 

第5 移動タンク貯蔵所の基準

1 移動貯蔵タンクの容量は、2万L以下とされ、あわせて、4,000L以下ごとに間仕切を設けることとするとともに、間仕切の材質及び厚さが定められたこと(令第15条第1項第4号)

2 防波板の材質及び厚さが定められた(令第15条第1項第5号)ほか、一定容量以上のタンク室には、横揺れの防波板を設ける等、防波板の構造及び設置方法についての細目が改められたこと(規則第24条の2)

3 安全装置の作動圧力が改められたほか、安全装置の蒸気の吹出し面積について、細目が設けられたこと(規則第19条第2項)

4 マンホール及び注入口のふたの材質及び厚さが定められたこと(令第15条第1項第6号)

5 マンホール、注入口、安全装置等(以下「附属装置」という。)が突出している移動貯蔵タンクには、移動タンク貯蔵所の転覆による附属装置の損傷を防止するため、転覆防止用の側面枠及び万一転覆した場合の附属装置の損傷防止用の防護枠を設けることとされ、あわせて、その設置の細目が設けられたこと。

ただし、セミトレーラーに固定された移動貯蔵タンクには、側面枠を設けることを要しないものとされていること(令第15条第1項第7号及び規則第24条の3)

なお、側面枠及び防護枠については、別図3の1及び3の2を参照されたいこと。

6 移動貯蔵タンクのうち、タンクの下部に排出口が設けられているものには、排出口に底弁を設けるほか、手動及び自動の底弁の閉鎖装置を設けることとされたこと。

ただし、特定の移動貯蔵タンクの排出口に設ける底弁には、自動閉鎖装置を設けることを要しないものとされたこと(令第15条第1項第9号)

なお、自動閉鎖装置とは、移動タンク貯蔵所の下部が火炎を受けた場合に、自動的に底弁を閉鎖することができる装置をいうものであること。

7 底弁の手動閉鎖装置の作動機構及びレバーの長さが定められたこと(令第15条第1項第10号及び規則第24条の4)

8 底弁を設ける移動貯蔵タンクには、自動車の追突等による外部からの衝撃による底弁の損傷を防止するための措置を講ずることとされたこと(令第15条第1項第11号)

具体的な防止措置としては、追突等による衝撃が直接底弁に加わらないように、底弁に接続する配管の途中に緩衝用の継手を設けるか又は配管と底弁とを直線的に結ばせないよう直角の屈曲部を設けた配管とする等の方法があること(別図4参照)

9 ガソリン、ベンゾールその他静電気による災害が発生するおそれのある液体の危険物の移動貯蔵タンクには、接地導線を設けることとされたこと(令第15条第1項第14号)

なお、接地導線は、移動貯蔵タンクに危険物を入れ、又は移動貯蔵タンクから危険物を出すときに、当該移動貯蔵タンクを接地するために用いるものであつて、従来設けていた鎖のように走行中に接地すべきものではないこと。

10 ガソリン、ベンゾールその他静電気による災審が発生するおそれのある液体の危険物の移動貯蔵タンクのうち、計量棒によつて危険物の量を計量するものには、計量時の静電気による災害を防止する装置を設けることとされたこと(令第15条第1項第16号)

具体的な防止装置としては、タンク内部の上部から底部にかけて設けられる計量棒を通す金属製の筒等があること(別図5参照)

11 移動貯蔵タンクには、底弁の緊急手動閉鎖装置のレバーの表示をすることとされたこと(令第15条第1項第17号)

この場合、レバーに関する表示は、別図6によられたいこと。

12 移動タンク貯蔵所の標識は、従来の昼夜間の別による区分を改め、昼夜の別なく「危」の標識を掲げることとされ、また、標識の大きさ及び文字を表わす材料が定められたこと(規則第17条第2項)

なお、本規定については、次の事項に留意されたいこと。

(1) 文字を表わす材料のうち「反射性を有する材料」には、合成樹脂製の反射シートが該当すること。

(2) 標識は、金属板とし、文字の大きさ等については別図7によること。

13 アルキルアルミニウム等の特定の危険物の移動タンク貯蔵所については、その位置、構造及び設備の技術上の基準に関し、自治省令で特別な基準を定めることができるものとされたこと(令第15条第2項)

なお、特別な基準については、これを定め次第通知するものであること。

14 移動タンク貯蔵所の位置、構造及び設備に係る新基準は昭和46101日から施行されることとなるが、施行されるまでの間の運用については、次の事項に留意されたいこと。

(1) 昭和46930日以前において移動タンク貯蔵所の設置又は変更の許可をするときは、安全装置(改正前の規則第19条第2項)、防波板(改正前の規則第24条の2)、接地装置(改正前の政令第15条第8号)又は標識(改正前の規則第17条第2項)については、それぞれ改正後の基準によつてもさしつかえないものとして取り扱われたいこと。

(2) 新基準による移動タンク貯蔵所の設置又は変更の許可の申請書は、昭和46930日以前においてもこれを受理し、審査することができるものであること。

ただし、この場合であつても申請に対する許可は、昭和46101日以降とすること。

 

第6 第一種販売取扱所及び第二種販売取扱所の基準

1 第一種販売取扱所及び第二種販売取扱所の区分が設けられたことに伴い、それぞれの取扱所について位置、構造及び設備の基準が定められたこと(令第18条)

2 第一種販売取扱所の位置、構造及び設備の基準は、危険物を配合する室に関する基準を除き、従来の販売取扱所の位置、構造及び設備の基準と同様とされたこと(令第18条第1項)

3 第二種販売取扱所については、その位置、構造及び設備の基準が新たに定められたが、これらのうち設置場所、標識、掲示板、網入ガラス、電気設備及び危険物を配合する室の基準は、第一種販売取扱所の例によることとされたこと(令第18条第2項)

なお、本規定については、次の事項を留意されたいこと。なお、危険物法令中の同趣旨の規定の運用と同様に行なわれたいこと。

ただし、当該取扱所の雨側に近接する建築物との間隔が0.9m未満である取扱所の部分は、延焼のおそれのある部分として取り扱われたいこと(別図9参照)

 

第7 消火設備の基準

1 第二種販売取扱所が消火困難な製造所等に該当するものとされたこと(令第20条第1項)

2 令別表のうち、第五種の消火設備に膨張ひる石又は膨張真珠岩が加えられたほか、消火設備の名称を改める等の整備が行なわれたこと。

なお、令別表については、次の事項に留意されたいこと。

(1) 「膨張ひる石」とは、通常、バーミキユライトと呼ばれているものであり、また「膨張真珠岩」とは、バーライトと呼ばれているものであること。

(2) 「不燃性ガス」を「二酸化炭素」に改めたのは、従来消火薬剤としての不燃性ガスが二酸化炭素に限られていたので、これを明確にしたものであること。

(3) 「蒸発性液体」を「ハロゲン化物」に改めたのは、蒸発性液体と呼ばれる消火薬剤には、常温で液体のもののほか常温で気体のものもあるので、化学的総称に改めることによつて、これらの意味を明確にしたものであること。

したがつて、実質的には、この名称の変更によつて、従来蒸発性液体と呼ばれていた消火薬剤の範囲が改められたものではないこと。

3 第五種の消火設備のうち、消火器の能力単位の数値については、消火器の技術上の規格を定める省令によることとし、その他のものの能力単位の数値については、規則別表第2に定めるところによることとされたこと(規則第31条)

また、令別表の改正に伴い、規則別表第2に膨張ひる石又は膨張真珠岩が加えられる等の整備が行なわれたこと。

4 引火点が摂氏40度以上70度未満の第四類の危険物の屋内タンク貯蔵所が平屋タンク貯蔵所が平屋建以外の建築物に、設けることができることとされたこと(令第12条第2項)及び特定屋内貯蔵所に関する規定が設けられたこと(規則第16条の2)及び特定屋内貯蔵所に関する規定が設けられたこと(規則第16条の2)等に伴い、著しく消火困難な製造所等及び消火困難な製造所等の消火設備に関する基準が改められたこと(規則第33条及び第34条)

5 移動タンク貯蔵所に設ける消火器は、自動車用のものとされるとともに、消火器の種類ごとにそれぞれ消火薬剤の量が定められたこと。また、アルキルアルミニウムに係る移動タンク貯蔵所については、消火器のほか、乾燥砂及び膨張ひる石又は膨張真珠岩を一定量以上設けることとされたこと(規則第35条)

なお、本規定は、昭和46101日以降に設置の許可を受ける移動タンク貯蔵所について適用されるものであるが、同日において現に法第11条の許可を受けているものについても、努めて新基準に適合したものとするよう指導されたいこと。

 

第8 貯蔵及び取扱の基準

1 セミトレーラーの移動タンク貯蔵所を設置することができることとされたことに伴い、セミトレーラーに危険物が貯蔵されているときは、当該セミトレーラーと牽引自動車とを結合しておくこととされたこと(令第26条第1項第8号)

2 移動タンク貯蔵所には、当該移動タンク貯蔵所の完成検査済証(規則別記様式第5の3に定められるもの)を備えることとされたこと(令第26条第1項第9号)

なお、本規定は、昭和46101日から施行されることとなっているが、同日において現に完成検査済証が交付されている移動タンク貯蔵所については、既に交付されている完成検査済証を備えていれば足りること(改正省令附則第2項)

3 アルキルアルミニウム等の特定の危険物の移動タンク貯蔵所には、緊急時における連絡先その他応急の措置に関し必要な事項を記載した書類及び緊急時に必要な用具を備えておくこととされたこと(令第26条第1項第10号及び規則第40条の2)

なお、本規定については、次の事項に留意されたいこと。

(1) 「緊急時の連絡先を記載した書類」とは、移送する危険物の製造工場及び移送先の工場等の事業所名、電話番号、関係部課名、及び所在地を記載した書類をいうものであること。

(2) 「応急措置に関し必要な事項を記載した書類」とは、次に掲げる事項を記載した書類をいうものであること。

ア 消防隊の現場指揮者あての応急措置に関する注意事項

イ 警察の現場指揮者あての応急措置に関する注意事項

ウ 救急医師あての応急措置に関する依頼事項

エ 移送する危険物の性状の概要

(3) 「その他自治省令で定める危険物」については、現在のところアルキルアルミニウムのほかは指定されていないが、今後、特殊な危険物の出現に応じて定めていく予定である。

4 引火点が40度未満の危険物を移動貯蔵タンクから危険物を貯蔵し、又は取り扱うタンクに注入するときは、自動車のエンジンを停止して行なうこととされたこと(令第27条第6項第3号ハ)

したがつて、移動タンク貯蔵所からの落差によつて危険物を注入することができない場合は、当該危険物を受け入れるタンクの側に受け入れのためのポンプ設備を設ける等の措置を講じなければならないものであること。

5 ガソリン、ベンゾールその他静電気による災害が発生するおそれのある液体の危険物を移動貯蔵タンクに注入管によつて注入する場合について、注入中の事故を防止するため、注入の方法が規定されたこと(令第27条第6項第3号ニ)

6 ガソリンと灯油又は軽油を交互に貯蔵する移動タンク貯蔵所について、注入中の事故を防止するため、注入の方法が規定されたこと(令第27条第6項第3号ホ及び規則第40条の5)

 

第9 移送の基準

1 危険物の移送を開始する前には、附属装置等を点検すべきことが規定されたこと(令第30条の2第1号)

2 長距離にわたる危険物の移送については、危険物の移送中の安全を図るため、2人以上の運転要員を確保すべきことが規定ざれ(令第30条の2第2号)あわせて、運転要員を確保すべき距離の算定方法及び2人以上の運転要員の確保を必要としない危険物が定められたこと(規則第47条の2)

なお、本規定については、次の事項に留意されたいこと。

(1) 2人以上の運転要員の確保を必要とするのは、移動タンク貯蔵所に危険物が貯蔵されている状態で長距離走行する場合に限られるものであること。

(2) 2人以上の運転要員の確保の方法としては移送の当初から2人以上の運転者を同乗させる方法と、規則第47条に定める距離(以下「基準距離」という。)以内ごとに運転要員をあらかじめ配置しておき運転者が交代する方法とがあること。

(3) 規定上は、基準距離に達するまでは、1人の運転者が継続して運転することができるとされているが、実際の運用にあたつては、基準距離以内であつても、疲労状態に応じて適宜交代することとし、特に夜間に移送する場合は交代ひん度を多くさせることが望ましいこと。

(4) 移送中において連続して3時間以上の休憩をとるときは、基準距離を1.2倍とすることができること。

(5) 運転要員の確保を必要としない危険物のうち「第一石油類及び第二石油類のうち原油分りゆう品」とは、ガソリン、灯油、軽油、ジエット燃料、ジーゼル油及びナフサが該当するものであること。

3 移動タンク貯蔵所を休憩、故障等のため一時停止させる場合の安全な場所の選定に関する規定及び移動貯蔵タンクから危険物が著しくもれる等災害が発生するおそれのある場合の消防機関等への通報に関する規定は、従来、移動タンク貯蔵所における貯蔵の基準として規定されていたが、これが移送の基準として改めて規定されたこと(同第3号及び第4号)

なお、本規定については、次の事項に留意されたいこと。

(1) 移動タンク貯蔵所を休憩、故障等のため一時停止させる場合、従来の基準では安全な場所を選定するとともに、貯蔵する危険物の保安に注意することが義務づけられていたが、改正規定においては、従来と異なり、安全な場所の選定義務だけを定めているのは、危険物の保安に注意すべき旨の規定が法第16条の2第2項に定められたからであること。

(2) 移動タンク貯蔵所による災害の通報を受けた消防機関は、当該災害が高速自動車国道、一般国道、首都高速遺路又は阪神高速道路上におけるものであつて、かつ、当該災害の発生のためこれらの道路の通行が危険又は不能であることを知つた場合は、路上における危険物災害の特殊性にかんがみ、その概要をすみやかにもよりの当該道路の管理者に連絡し、路上における災害拡大の防止に努められたいこと。

危険物の運搬中の災害についても同様に措置されたいこと。この場合において、これらの道路の管理者に対する具体的な連絡先は、次のとおりであること。

ア 高速自動車国道高速道路管理局通信指令室又は管理局支局若しくは営業所

イ 一般国道各都道府県国道工事事務所又は国道工事事務所出張所

ウ 首都高速道路中央管理局交通管理課又は神奈川管理部

エ 阪神高速遣路大阪又は神戸管理部交通管理課

4 アルキルアルミニウムその他自治省令で定める危険物を移送する者は、移送の経路その他必要な事項を記載した書面(以下「移送計画書」という。)を通過地の消防機関に送付するほか、当該書面の写しを携帯すること等が規定されたこと(令第30条の2第5号)

現在のところ、同号にもとづく自治省令は定められていないが、今後、特殊な危険物の出現に応じ定めていく予定であること。

また、移送計画書の様式は、規則別記様式第7の2により定められているものであること。

なお、移送計画書の記載方法、送付方法その他必要な事項については、別途通達するものであること。

 

第10 危険物保安監督者、危険物取扱者及び危険物取扱者免状

1 危険物取扱者制度の改正に伴い、危険物の保安の監督をする者(以下「保安監督者」という。)と危険物取扱者との責務がそれぞれ定められたこと(令第31条)

2 保安監督者は、従来の危険物取扱主任者が行なうこととされていた業務のうち、総括的な保安の監督に関する業務を行なうこととされているが、危険物の取扱作業の実施の際、保安監督者の監督に服する者の中には、当該取扱作業に立ち会う危険物取扱者も含まれることとされたこと(規則第48条)

3 保安監督者を定めなければならない製造所等としては、貯蔵し、又は取り扱う危険物の種類、数量及び取扱いの態様により、特定の施設を除いた施設が指定されていること(令第31条の2)

なお、同条第6号のロに該当する施設としては、灯油専用の一般取扱所(昭和3934日自消丙予発第16号通達に示したもの)等が該当すること。

4 危険物取扱者が取り扱うことができる危険物の種類及び危険物取扱者が立ち会うことができる危険物の種類がそれぞれ規定されたこと(規則第49条)

甲種危険物取扱者又は乙種危険物取扱者が取り扱うことができる危険物の種類は、従来の甲種危険物取扱主任者又は乙種危険物取扱主任者が保安監督をすることができる危険物の種類と同様であること。

5 免状の記載事項については、従来の免状の記載事項のうち現住所が除かれたこと(令第33条)

6 免状の様式が全面的に改められたこと(規則別記様式第11)

なお、新免状の表紙は、濃紺色のビニール製とし、表紙の文字は正楷体の金文字、その大きさは2号活字を標準とされたいこと。

7 危険物敢扱者の受験資格である実務経験は、製造所等における実務経験に限ることとされたこと(規則第53条の2)

なお、本規定は、昭和47101日から施行されるので、それまでの間は、一般的な実務上の経験で足りるものであること。

また、法第13条の3第4項に規定する試験の受験資格の認定については、昭和35727日付け自消甲予発第5号都道府県知事あて消防庁長管通達「危険物取扱主任者試験の受験資格について」の例によるものとすること。

8 甲種及び乙種の危険物取扱者の試験科目は、従来の甲種及び乙種の危険物取扱主任者の試験科目と同様のものとされていること(規則第55条第1項及び第2項)

ただし、試験科目に関する規定については、部分的に字句の整備が行なわれているが、実質的には、その内容を変更したものではないこと。

したがつて、甲種及び乙種危険物取扱者の試験に関する基準については、従来と同様昭和35727日付け自消甲予発第3号都道府県知事あて消防庁長官通達「危険物取扱主任者試験の基準の制定について」の例によるものとすること。

9 丙種危険物取扱者の試験科目としては、丙種危険物取扱者の責務及び権限の程度に応じ、もつぱら基礎的な知識等が定められたこと(規則第55条第3項)

なお、丙種危険物取扱者試験の基準は、別添のとおりであること。

10 受験に関する規定のうち、写真の大きさ等に関する部分が改められたこと(規則第57条)

11 その他危険物取扱主任者制度が危険物取扱者制度に改められたことに伴い、必要な規定の整備が行なわれたこと。

 

第11 危険物取扱者講習

1 危険物取扱者は、原則として、5年以内ごとに受講すべきこと等が定められたこと(規則第58条の2第1項及び第2項)

2 講習の科目、講習時間その他講習の実施に関し必要な細目は、消防庁長官が定めることとされたこと(規則第58条の2第3項)

なお、講習の実施に関し必要な細目は、追つて示す予定であること。

3 昭和4661日現在製造所等において危険物の取扱作業を行なつている危険物取扱者は、同年61日から5年以内に講習を受ければ足りることとされていること(規則附則第4項)

 

第12 予防規定

灯油の危険物を容器に詰め替える一般取扱所のうち、一定のものが予防規程を定めなけばならない製造所等から除かれたこと(規則第61条)

 

第13 自衛消防組織

1 自衛消防組織を置かなければならない事業所のうち、最大取扱数量が指定数量の48万倍以上の事業所は、人員数20人以上、化学消防自動車4台以上の自衛消防組織を編成しなければならないこととされたたこと(令第38条の2)

また、自衛消防組織の編成の特例について、相互応援に関する協定を締締している各事業所が編成する人員数及び化学消防自動車の台数の最低の基準が引き上げられたこと(規則第64条ただし書)

2 化学消防自動車は、従来、泡を放射するものに限定されていたが、消火粉末を放射するものも化学消防自動車として認められることとされたこと。

また、あわせて、化学消防自動車の消火能力及び設備の基準の強化整備が図られたこと(規則第65条)

なお、本規定については、次の事項に留意されたいこと。

(1) 泡を放射する化学消防自動車が保有すべき消火薬液の量は、3%原液にあつては7,200L以上、6%原液にあつては14,400L以上とすること。

なお、消火薬液は、必ずしもその全量を化学消防自動車に積載している必要はないが常に、当該化学消防自動車の用に供されるように保管されていなければなないこと。

(2) 消火粉末を放射する化学消防自動車の保有すべき消火粉末は、当該化学消防自動車の消火粉末槽に規定量の全量が保有されていなければならないものであること。

なお、カリウム塩を主剤とする消火粉末を保有する場合は、規定量の70%の量とすることができるものであること、

(3) 化学消防自動車として消火粉末を放射するものが認められることとなつたことに伴い、泡を放射する化学消防自動車と消火粉末を放射するものとの台数の比が定められたこと(同条第4号)

例えば、化学消防自動車を2台置くことが義務づけられている事業所にあつては全台数、3台置くことが義務づけられている事業所にあつては2台がそれぞれ泡を放射するものでなければならないものであること。

 

第14 手数料

手数料は、従来の手数料の額の2倍に引き上げるとともに、新たに、法第11条第3項ただし書の規定による仮使用の承認(以下「仮使用の承認」という。)、法第13条の5の規定による講習等に係る手数料が定められたこと(令第40条)

なお、本規定については、次の事項に留意されたいこと。

(1) 手数料の表中「販売取扱所」とは、第一種販売取扱所及び第二種販売取扱所を意味するものであること。

(2) 本条の改正規定は、仮使用の承認に係るものは昭和4661日から、仮使用の承認に係るもの以外のものは昭和46101日から施行されるものであること(令附則第1項)

(3) 昭和46930日以前において危険物取扱者試験の告示をし、同年101日をはさんで受験願書の受付けをする場合の手数料の徴収については、当該受験願書の受付けが同年930日以前である場合は旧手数料、同年101日以降である場合は、新手数料とすること。

 

第15 運搬の基準

車両に掲げる標識については、昼間及び夜問の別による標識の区分を改め、昼夜の別なく、「危」の標識を掲げることとし、文字を黄色の反射塗料その他反射性を有する材料で表示することとされたこと(規則第47条)

なお、本条については、次の事項に留意されたいこと。

(1) 反射性を有する材料には、合成樹脂製の反射シートが該当すること。

(2) 「危」の標識の字体は丸ゴジツク体とし、文宇の大きさは25cm平方を標準とすること。

(3) この改正規定は、昭和47101日から施行されるので、それまでの間に、本条の規定に適合しないこととなる標識は、基準に適合したものを付け替えるよう関係者への周知徹底を図られたいこと。

 

第16 その他の事項

1 法別表の改正に伴う品名の整備が行なわれたこと。

2 緩燃性でない映画上映の届出義務の廃止(許可、認可等の整理に関する法律(昭和45年法律第111)第49条)に伴い、届出書等に関する規定を整備したこと(規則第69条、第70条及び規則別記様式第21)

3 規則別表第3に過さく酸(濃度40重量%以下のもの)用の容器が一部追加されたほか、過硫酸塩類の項が新たに設けられる等の整備が行われたこと。

4 その他規定の整備が行われたこと。

 

別図1 (省略)

1 移動タンク貯蔵所として認められる被牽引自動車にタンクの固定したもの

セミトレーラ連結車

2 移動タンク貯蔵所として認められないもの

(1) フルトレーラー連結車

(2) ダブルス連結車

 

別図2 タンク検査済証 (省略)

 

別図3の1 側面枠及び防護枠 (省略)

 

別図3の2 側面枠取り付け方法 (省略)

防護枠構造詳細図例

 

別図4 底弁の損傷を防止するための措置 (省略)

配管による措置例

 

別図5 静電気による災害を防止するための装置の例 (省略)

 

別図6 (省略)

 

別図7 「危」の標識 (省略)

 

別図8 上階への延焼を防止するための措置例 (省略)

 

別図9 「延焼のおそれのある壁又はその部分」及び「延焼のおそれのない部分」の例 (省略)

 

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