消防危第7号
昭和63年1月19日
各都道府県消防主管部長 殿
消防庁危険物規制課長
危険物の規制に関する規則の一部を改正する省令等の施行について
昭和62年12月20日、危険物の規制に関する規則の一部を改正する省令(昭和62年自治省令第36号、以下「改正省令」という。)及び危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示の一部を改正する告示(昭和62年自治省告示第200号)が公布され、同日から施行されたところである。
今回の改正は、危険物の規制に関する政令の一部を改正する政令(昭和62年政令第86号)が昭和62年5月1日から施行され、特殊液体危険物タンクに係る屋外タンク貯蔵所について、危険物の規制に関する政令(以下「政令」という。)第11条第2項の規定により、同条第1項の基準の特例を定めることができることとされたことに伴い、特殊液体危険物タンクに係る屋外タンク貯蔵所の完成検査前検査、保安に関する検査、位置、構造及び設備の技術上の基準等を定めるとともに、併せて地下配管の外面の防食措置及び運搬容器の基準の拡大・整備を行うことをその主な内容とするものである。
貴職におかれては、下記事項に留意のうえ、その運用に遺憾のないようお願いする。
なお、管下市町村に対してもこの旨示達ざれ、よろしく御指導願いたい。
記
第1 地中タンクに係る屋外タンク貯蔵所に関する事項
1 適用範囲に関する事項
政令第11条第2項の規定により、同条第1項に定める位置、構造及び設備の技術上の基準の特例を定めることのできる特殊液体危険物タンクに係る屋外タンク貯蔵所として、第四類の危険物を地中タンクにおいて貯蔵し、又は取り扱う屋外タンク貯蔵所が定められたこと(危険物の規制に関する規則(以下「規則」という。)第22条の2第2号)。
なお、地中タンクとは、次の各号に該当するものをいうものであること(規則第4条第3項第4号)。
(1) 底部が地盤面下にあり、頂部が地盤面以上にあるタンクであること。
(2) 危険物の最高液面が、地盤面下にあるタンクであること。
(3) 縦置きの円筒型のタンクであること。
2 添付書類に関する事項
設置及び変更の許可の申請の際の添付書類について規定されたこと(規則第4条第3項第6号及び第5条第3項第6号)。
3 完成検査前検査に関する事項
地中タンクに係る屋外タンク貯蔵所のうち、タンク容量が1,000kL以上のものに係る完成検査前検査の検査事項、検査基準及び申請時期が定められたこと(規則第6条の2、第6条の2の2、第6条の2の3、第6条の2の5、第6条の3及び第6条の5)。
なお、完成検査前検査は、液体危険物タンクの基礎及び地盤に関する事項、漏れ及び変形に関する事項及び溶接部に関する事項を確認するために、次に掲げる試験を行うものであること。
(1) 水張試験
(2) 地中タンク下部の地盤の平板載荷試験及び粘性土地盤にあつては圧密度試験、砂質土地盤にあつては標準貫入試験
(3) 地中タンクの漏液防止板(4(5)の漏液防止板をいう。)の溶接部について、磁粉探傷試験(磁粉探傷試験が困難な場合は、浸透探傷試験)
4 位置、構造及び設備に関する事項
地中タンクに係る屋外タンク貯蔵所の位置、構造及び設備の技術上の基準の特例が新たに定められたこと(規則第22条の3の2第3項、第33条第1項第3号及び第2項第9号、危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示(以下「告示」という。)第4条の24~第4条の46)。〔告示第4条の24、第4条の25、第4条の6、第4条の27、第4条の28、第4条の29、第4条の30、第4条の31、第4条の32、第4条の33、第4条の34、第4条の35、第4条の36、第4条の37、第4条の38、第4条の39、第4条の40、第4条の41、第4条の42、第4条の43、第4条の44、第4条の45、第4条の46〕
なお、地中タンクに係る屋外タンク貯蔵所の位置、構造及び設備の技術上の基準の概要は、次のとおりであること。
(1) 設置の禁止場所
地中タンクに係る屋外タンク貯蔵所を設置してはならない場所が定められたこと(規則第22条の3の2第3項第1号、告示第4条の24)。
(2) 保安距離地中タンクに係る屋外タンク貯蔵所の位置は、政令第9条第1号に掲げる製造所の位置の例によるほか、地中タンクに係る屋外タンク貯蔵所の存する敷地の境界線から地中タンクの地盤面上の側板までの間に所定の距離を保つこととされたこと(規則第22条の3の2第3項第2号)。
(3) 保有空地
地中タンクの周囲に、所定の幅の空地を保有することとされたこと(規則第22条の3の2第3項第3号)。
なお、消防法第11条第1項の規定により許可を受けている地中タンクに係る屋外タンク貯蔵所のうち、規則第22条の3の2第3項第3号に定める基準に適合しないこととなる地中タンクに係る屋外タンク貯蔵所にあつては、なお従前の例によるとされたこと(改正省令附則第2項)。
(4) 地盤の強度
地中タンクの地盤は地中タンク及びその附属設備の自重、貯蔵する危険物の重量等によつて生ずる応力に対して安全でなければならないとされるとともに、地盤の支持力の安全率等地盤に関し必要な事項が定められたこと(規則第22条の3の2第3項第4号、告示第4条の25~第4条の31〔第4条の25、第4条の26、第4条の27、第4条の28、第4条の29、第4条の30、第4条の31〕)。
なお、地盤には、人工地盤(タンクの周囲に土を盛ることにより造られた人工の地盤をいう。)も含まれるものであること。
(5) 地中タンクの構造
地中タンクの側板及び底板は鉄筋コンクリート等で造り、屋根を鋼板で造るとともに、タンク内側には漏液防止板を設けることとされるとともに、地中タンクの材料、タンクの強度、許容応力、屋根及び漏液防止板の構造等タンク構造に関し必要な事項が定められたこと(規則第22条の3の2第3項第5号、告示第4条の32、第4条の34~第4条の39〔第4条の34、第4条の35、第4条の36、第4条の37、第4条の38、第4条の39〕、第4条の44及び第4条の45)。
なお、告示第4条の36第2項第2号に定める「3時間以上の耐火性能を有するもの」とは、隣接したタンクにおいて火災が発生した場合に、当該地中タンクの浮き屋根がその上面に受ける放射熱に耐え、又は適切に吸収することができる次のいずれかの措置をいうものであること。
ア 屋根の上面をロックウール等で被覆する。
イ 屋根の上面に、防火上有効に散水又は張水することができる設備を設ける。
この場合において、放射照度及び水量の算定は次によること。
① 隣接するタンクにおいて火災が発生した場合の放射照度は、次によること。
E0は、浮き屋根上における放射照度(kcal/㎡・h)
φは、次の式により求めた形態係数
Lは、想定火面(タンクの水平断面の内径を直径とし、当該直径の数値に1.5を乗じて得た数値を高さとした火面体がタンクの設置位置の地盤面上にあるものをいう。)の中心から浮き屋根上までの水平距離(m)
Rは、想定火面の半径(m)
Rf(放射発散度)は、次の表の左欄に掲げるタンクにおいて貯蔵し、又は取り扱う危険物の引火点の区分に応じ、同表の右欄に掲げる数値とする。
引火点 |
放射発散度(kcal/m・h) |
21℃未満のもの |
50,000 |
21℃以上70℃未満のもの |
43,000 |
70℃以上のもの |
20,000 |
② 散水によつて放射照度を吸収する場合には、浮き屋根の面積1㎡につき2?/min以上の割合の水を浮き屋根全面に3時間以上均等に散水できるものであること。
③ 張水によつて放射照度を吸収する場合には、一斉に散水することにより浮き屋根全面を30分以内に水で被覆し、均等に張水できるものであること。
また、張水設備は、次式で求めた量以上の水を3時間以上補給できるとともに張水を適切に維持できるものであること。
Vは、1時間当たりの補給水量(㎏/h)
E0は、浮き屋根の平均放射照度(kcal/㎡・h)
Sは、浮き屋根面積(㎡)
Cは、次により求めた水の単位吸熱量
C=(100-t)+539
tは、補給水温(℃)
(6) ポンプ設備
地中タンクのポンプ設備は、岩盤タンクのポンプ設備の例によることとされ、また、危険物中に設けるポンプ設備(以下「油中ポンプ設備」という。)の保護管の溶接部は、漏れ試験に適合しなければならないものとされたこと(規則第22条の3の2第3項第6号、告示第4条の46)。
なお、油中ポンプ設備は、規則第22条の3第3項第7号イに掲げるポンプ設備の例によるほか、次によること。
ア 油中ポンプ設備のポンプは、その吸込側にストレーナー、吐出側に逆止弁を設けたものであること。
イ 油中ポンプ設備の電動機は、次によること。
(ア) 電動機は、その内部が循環冷却水により水封された構造とすること。
(イ) 循環冷却水の供給管及び排出管は、金属製とすること。
(ウ) 電動機は、次の場合に自動的に停止し、かつ、警報を発するものであること。
a 過負荷運転又は低負荷運転となつた場合
b 冷却水の漏えい、異常な温度上昇、異常な流速変動等が生じた場合
c 電動機が液面上に露出した場合
d 漏電が発生した場合
(エ) 電動機の警報設備は、次の各号に適合するものであること。
a 警報装置は、音響装置及び表示装置により警報するものであること。
b 手動で操作しない限り、警報を持続するものであること。
c 表示装置は、(ウ)の異常を自動的に、かつ、容易に識別できるものであること。
d 警報装置の受信部は、警報を受信した場合に、直ちに必要な措置を講ずることができる場所に設けること。
(オ) 電動機は、その内部に危険物の浸入するおそれのないものであること。
(カ) 電動機は、接地すること。
ウ 電動機と電線は、電気的及び機械的に安全かつ有効に接続するとともに、次によること。
(ア) 電線は、危険物の浸入するおそれのない金属管内に設けること。
(イ) 使用する電線は、接点のない三種キャプタイヤケーブル、三種クロロプレンキャプタイヤケーブル、四種キャプタイヤケーブル又は四種クロロプレンキャプタイヤケーブルとすること。
エ 油中ポンプ設備は、次に掲げる保護管内に設置すること。
(ア) 保護管は、金属製のものとし、油中ポンプ設備の設置等に際し保安上必要な口径を有すること。
(イ) 保護管は、地震の影響を考慮して、地中タンクの側壁等に強固に固定すること。
(ウ) 保護管には、その頂部に可燃性蒸気の漏えいを防止するための蓋を設けるとともに、保護管内の液面上部の酸素濃度を体積百分率8%以下とするため不燃ガス封入設備を設けること。
オ 油中ポンプ設備は、運転時に異常な振動が生じないように措置すること。
カ 油中ポンプ設備のポンプ及び電動機は、地震の影響を考慮して、保護管に固定すること。
キ 油中ポンプ設備に接続する地中タンク内の配管は次によること。
(ア) フランジ結合されていること。
(イ) フランジ結合部付近ごとに、その配管内の危険物を排出するための排油プラグが設けられていること。
ク 地盤面下に設けられるポンプ設備(油中ポンプ設備を除く。)は規則第22条の3第3項第7号ロに掲げるポンプ設備の例によるほか、次によること。
(ア) ポンプ室(ポンプ及びこれに附属する電動機のための建築物その他の工作物をいう。以下同じ。)と坑道との境界には、2時間以上の耐火性能を有する壁及び随時開けることができる自動閉鎖の甲種防火戸を設けること。
(イ) ポンプ室には、当該ポンプ室に隣接する坑道内の気圧より5㎜Aq以上低い圧力を保つための設備を設けること。
(7) 揚水設備底板に作用する地下水を排水することにより、揚圧力を作用させないために設ける揚水設備について、その構造、能力等が定められたこと(規則第22条の3の2第3項第5号ハ、告示第4条の33)。
(8) 排水設備
地中タンク内の水を適切に排出することができる排水設備を設けなければならないこととされたこと(規則第22条の3の2第3項第7号)。
なお、排水設備として、危険物中にポンプ設備を設ける場合にあつては、当該ポンプ設備は、(6)の油中ポンプ設備の例によること。
(9) 配管
地中タンクの配管は、政令第11条第1項第12号及び第12号の2の基準の適用を受けるものであるが、このほか次の点に留意すること。
ア 容易に点検ができる坑道内に設置する配管は、地上に設置する配管とみなすことができるものであること。
イ 地中タンクの配管は、当該配管に過大な応力又は変形の生ずるおそれのないよう適切に支持すること。
ウ 地盤面上に存する施設に連絡する配管は、当該地中タンクの最高液面を超える位置を経由して設置すること。
この場合において、当該配管が、地中タンクの最高液面以下の位置に存する施設に連絡されるものにあつては、当該地中タンクの最高液面を超える位置に緊急しや断弁等を設けること。
ただし、次に掲げるところにより緊急しや断弁を設ける場合は、当該配管を当該地中タンクの最高液面を超える位置を経由しないで設置することができる。
(ア) 常時点検でき、かつ、有効な2以上の箇所に設けること。
(イ) 遠隔操作及び現地操作によつて閉鎖する機能を有するものであること。
(ウ) 緊急しや断弁を閉鎖するための制御が不能となつた場合に自動的に、かつ、速やかに閉鎖する機能を有するものであること。
(エ) 緊急しや断弁の設置場所において、その開閉状態が容易に確認できるものであること。
エ 配管は必要に応じ、接地すること。
オ 地中貯蔵タンクに危険物を注入するための配管は、当該配管の先端が、地中タンクの底部に達するように設置すること。
カ 配管の溶接部は、放射線透過試験(放射線透過試験を実施することが適当でない場合にあつては、磁粉探傷試験又は浸透探傷試験)を行い異常のないものであること。
(10) 坑道
坑道の出入口の位置及び可燃性蒸気の排出設備について定められたこと(規則第22条の3の2第3項第8号)。
なお、可燃性蒸気が滞留するおそれのある坑道に設ける可燃性蒸気を排出する設備は、当該場所の空間容積に対し、毎時その4倍以上の換気を行うことができる能力を有するものであること。
(11) 構内道路地中タンクは、その周囲が高さ30㎝以上の構内道路に面するように設けなければならないこととされたこと(規則第22条の3の2第3項第9号、告示第4条の40)。
なお、消防法第11条第1項の規定により許可を受けている地中タンクに係る屋外タンク貯蔵所のうち、規則第22条の3の2第3項第9号に定める基準に適合しないこととなる地中タンクに係る屋外タンク貯蔵所については、なお従前の例によることとされたこと(改正省令附則第2項)。
(12) 漏えい検知装置
地中タンクの外周、坑道及び地盤面下に設けられたポンプ室等には、危険物又は可燃性蒸気の漏えいを自動的に検知し、警報を発する漏えい検知装置を設けなければならないこととされたこと(規則第22条の3の2第3項第10号、告示第4条の41)。
なお、漏えい検知装置の警報装置は次によること。
ア 漏えいした可燃性蒸気を検知する漏えい検知装置にあつては、可燃性蒸気の爆発下限界値の25%以下の濃度において、自動的に警報を発するものであること。
イ 検出部は、可燃性蒸気による爆発又は火災の発生を防止するための措置を講ずるとともに容易に点検できるように適切な措置を講じたものであること。
ウ 警報装置は、音響装置及び表示装置により、警報するものであること。
エ 手動で操作しない限り警報を持続するものであること。
オ 装置が検知した場所を自動的に、かつ、容易に識別できるものであること。
カ 警報装置の受信部は、警報を受信した場合に、直ちに必要な措置を講ずることができる場所に設けること。
なお、消防法第11条第1項の規定により許可を受けている地中タンクに係る屋外タンク貯蔵所のうち、規則第22条の3の2第3項第10号に定める基準に適合しないこととなる地中タンクに係る屋外タンク貯蔵所については、なお従前の例によるとされたこと(改正省令附則第2項)。
(13) 地下水位監視装置
地中タンクの周囲には、地下水位を監視するための地下水位監視装置を設けなければならないこととされたこと。
また、揚水設備を設ける地中タンクにあつては、集水槽にも地下水位監視装置を設けることとされ、当該地下水位監視装置は、当該地中タンクの構造に影響を与えるおそれのある地下水位の変動を覚知した場合に警報を発する設備を設けなければならないこととされたこと(規則第22条の3の2第3項第10号、告示第4条の42)。
この場合において、集水槽内に設ける地下水位監視装置の警報装置が作動すべき水位は、地中タンク底板下部の水位が、地中タンク底板下面から設計湧水量の72時間分に相当する層の厚さに等しい距離の位置となつた場合であること。
なお、消防法第11条第1項の規定により許可を受けている地中タンクに係る屋外タンク貯蔵所のうち、規則第22条の3の2第3項第10号に定める基準に適合しないこととなる地中タンクに係る屋外タンク貯蔵所については、なお従前の例によるとされたこと(改正省令附則第2項)。
(14) 地中壁
地中タンクの周囲には、漏えいした危険物が拡散することを防止するため、地中壁を設けるごととされたこと(規則第22条の3の2第3項第11号、告示第4条の43)。
なお、漏えいした危険物に対し、安全かつ適切な拡散防止効果が期待できる場合にあつては、地中壁の上部については、必ずしも堅固な壁体構造であることを要しないものであること。
(15) 消火設備
地中タンクに係る屋外タンク貯蔵所はすべて著しく消火困難な製造所等として位置づけられ、第三種の泡消火設備及び二酸化炭素消火設備又はハロゲン化物消火設備を設けなければならないものとされたこと(規則第33条第1項第3号及び第2項第1号)。
なお、地中タンクに係る屋外タンク貯蔵所には、次に掲げるところにより消火設備を設けること。
ア 地中タンクにあつては、第三種の泡消火設備のうち固定泡放出口方式のもの及び第三種の二酸化炭素消火設備又はハロゲン化物消火設備のうち局所放出方式のものを、その放射能力範囲が当該地中タンク及び危険物を有効に包含するように設けるとともに、第五種の消火設備を設けること。
なお、二酸化炭素消火設備又はハロゲン化物消火設備は、浮き屋根と側板とのシール部に対し、消火薬剤を有効に放射できるものであること。
イ ポンプ設備のうちポンプ室を有するものにあつては、第三種の泡消火設備のうち泡ヘッド方式のもの若しくは床面用泡ノズル方式のもの又は第三種の二酸化炭素消火設備若しくはハロゲン化物消火設備のうち全域放出方式のものを、その放射能力範囲が当該ポンプ設備を有効に包含するように設けるとともに、第五種の消火設備を設けること。
また、ポンプ室を有しないもの(油中ポンプ設備を除く。)にあつては、第三種の泡消火設備のうち泡消火栓方式のものを、その放射能力範囲が当該ポンプ室を有効に包含するように設けるとともに、第五種の消火設備を設けること。
ウ 危険物を取り扱う配管が設置される坑道(人が立ち入ることができるものに限る。)にあつては、第五種の消火設備を15mの距離ごとに1個以上設けること。
エ アからウまでのほか、電気設備、可燃性蒸気が滞留するおそれがある建築物等にあつては、その用途、規模等に応じ、適応する消火設備を有効に設けること。
5 保安検査に関する事項
地中タンクに係る屋外タンク貯蔵所の保安検査は、原則として10年ごとに漏液防止板の部分について、板の厚さ及び溶接部に関する試験を行うこととされ、定期的な保安検査以外に保安検査を受けなければならない事由として、地中タンクに設計上の荷重を著しく超える荷重が加えられることその他の危険物又は可燃性蒸気の漏えいのおそれがあると認められた場合が定められたこと(規則第62条の2の2及び第62条の2の3)。
また、地中タンクに係る屋外タンク貯蔵所の保安に関する検査の基準が定められたこと(規則第62条の3第3項、告示第70条)。
6 定期点検(内部点検)に関する事項
地中タンクに係る屋外貯蔵タンクのうち、容量が1,000kL以上1万kL未満のものについては、原則として10年ごとに内部点検を行うこととされているが、容量が1万kL以上のものについては、内部点検を要しないこととされたこと(規則第62条の5第2号)。
なお、内部点検においては、漏液防止板の部分について、板の厚さ及び溶接部に関する試験を行うこと。
7 変更の許可に係る手数料に関する事項
地中タンクに係る特定屋外タンク貯蔵所の変更(タンク本体及び地盤の変更以外の変更に限る。)の許可に係る手数料については、政令第40条第1項の表の(3)の項中手数料の額の欄のかつこ書を適用するものとされたこと(規則第70条第1号)。
8 その他の事項
地中タンクに係る屋外タンク貯蔵所の設置又は変更に係る工事は、当該屋外タンク貯蔵所の構造等の特殊性にかんがみ、高度の専門的判断が必要となるものであるので、危険物保安技術協会の技術援助を求めさせる等その活用について指導されたいこと。
第2 地下配管の外面の防食措置に関する事項
新たにポリエチレンのコーティングによる防食措置が定められたこと(規則第13条の4、告示第3条の2)。
第3 運搬容器に関する事項
1 危険物の運搬形態の変化、新しい運搬容器の考案等に伴い、運搬容器、収納及び包装の基準が次のように改められたこと(規則別表第3)。
(1) 第一類の危険物のうち、フレキシブルコンテナーがその危険物に係る運搬容器として規定されていた硝酸アンモニウム(純度99.9%以上の火薬原料用のもの)が硝酸アンモニウム(含有する無機の可燃物の量及び有機物中の炭素の量の合計が硝酸アンモニウムの量の0.2%以下のもの)と改められたこと。
(2) 第一類の危険物のうち、硝酸カリウム(純度98%以上のもの)に係る運搬容器として、フレキシブルコンテナーが追加されたこと。
(3) 第一類の危険物のうち、硝酸銀に係る運搬容器として、段ボール箱が追加されたこと。
(4) 第三類の危険物のうち、炭化カルシウム(カーバイト)及びりん化石灰に係る運搬容器として、鋼製ドラムが追加されたこと。
(5) 第四類の危険物のうち、第一石油類(アセトンを除く。)、第二石油類(ジケテン、ぎ酸、酢酸及びジメチルホルムアミドを除く。)及びアルコール類に係る運搬容器として、ポリブチレンテレフタレート瓶が追加されたこと。
(6) 第四類の危険物のうち、第一石油類、第二石油類又は第三石油類に該当する塗料、ワニス及び接着剤に係る運搬容器として、従来から規定されていた鋼製ドラムのうち「天板取外し式のもの」が別掲され、収納の基準が改められたこと。
2 鋼製ドラム等金属製のドラムについて試験方法が定められたこと(規則別表第3備考1、告示第68条の2の2及び第68条の2の3)。
(1) 危険物の運搬容器又は運搬容器の外装として用いられる鋼製ドラム、アルミニウム製ドラム、金属製ドラム及びステンレス鋼製ドラム(いずれもポリエチレンコーティング、プラスチックライニング若しくはアルミニウムで内張りしたもの又はプラスチック内容器付き若しくはふつ素樹脂内容器付きのものを含む。)を対象とされたこと。
ただし、容積が20L未満のもの及び日本工業規格Z1620「ぺール缶」に適合するものは対象外とされたこと。
(2) 固体の危険物を収納するものにあつては、落下試験及び積み重ね試験を、液体の危険物を収納するものにあつては、落下試験、気密試験、内圧試験及び積み重ね試験を行うものとされたこと。
ただし、第四類の液体の危険物のうち、第一石油類、第二石油類又は第三石油類に該当する塗料、ワニス及び接着剤を収納する鋼製ドラム(天板取外し式のもの)にあつては、内圧試験を行わないものとされたこと。
(3) 試験方法の詳細については、追つて通知する予定であること。
3 危険物の運搬容器、収納及び包装については、施行の日から起算して6月間は、改正前の規則別表第3によることができるものとされたこと(改正省令附則第3項)。
4 その他所要の規定の整備が行われたこと。
第4 その他
今回の改正に伴い、「地中タンク貯蔵所の規制に関する運用基準等について」(昭和55年3月18日付け消防危第35号消防庁次長通知)は、廃止する。