消防危第24号
平成元年3月22日
改正:平3危71、平24危90
各都道府県消防主管部長 殿
消防庁危険物規制課長
消火設備及び警報設備に係る危険物の規制に関する規則の一部を改正する省令の運用について(通知)
危険物の規制に関する規則の一部を改正する省令(平成元年自治省令第5号)が平成元年2月23日に公布され、消火設備及び警報設備に関する規定のうち、給油取扱所に係る部分については平成元年3月15日から、その他の製造所等に係る部分については平成2年5月23日から施行されることとされた。今回の危険物の規制に関する規則の改正のうち消火設備及び警報設備に関する改正は、消防法の一部を改正する法律(昭和63年法律第55号)により危険物の範囲が改められたこと、危険物の規制に関する政令等の一部を改正する政令(昭和63年政令第358号)により新たな形態の製造所等が認められたこと等に伴い、これらに対応した消火設備及び警報設備の技術上の基準を定めたものである。
貴職におかれては、下記事項に留意のうえ、その運用に遺憾のないよう格段の配慮をされるとともに、貴管下市町村に対してもこの旨示達され、よろしく御指導願いたい。
記
第1 消火設備に関する事項
1 消火設備の所要単位の計算方法
建築物の一部を設ける製造所等の規定が整備されたことに伴い、「延べ面積」の定義を「製造所等の用に供する部分以外の部分を有する建築物に設ける製造所等にあっては当該建築物の製造所等の用に供する部分の床面積の合計、その他の製造所等にあつては当該製造所等の建築物の床面積の合計をいう。」と明確に規定されたこと(危険物の規制に関する規則(以下「規則」という。)第30条)。
2 消火設備の設置の基準
従来からの運用の実態を基本として消火設備の設置の基準が改められたこと(規則第32条から第32条の11まで)。[第32条、第32条の2、第32条の3、第32条の4、第32条の5、第32条の6、第32条の7、第32条の8、第32条の9、第32条の10、第32条の11]
なお、この基準については、次の事項に留意されたいこと。
(1) 第一種、第二種及び第三種の消火設備の設置に関しては、規則に定められたもののほか、別紙のとおり運用指針を定めることとしたので、これによられたいこと。
(2) 屋内消火栓設備等の予備動力源として内燃機関を使用するものにあっては、地震等による停電時においても当該消火設備の遠隔起動等の操作回路の電源等が確保されているものであり、当該消火設備が有効に作動できるものであること。
(3) 第三種の消火設備について、泡消火設備にあっては固定式及び移動式、二酸化炭素消火設備、ハロゲン化物消火設備及び粉末消火設備にあっては全域放出方式、局所放出方式及び移動式の区分が設けられたが、これらの区分は、消防法施行令における区分と同様のものであること。
(4) 規則第32条の10ただし書は第一種、第二種又は第三種の消火設備と併置する場合の第四種の消火設備についての緩和規定であり、第32条の11ただし書は第一種から第四種までの消火設備と併置する場合の第五種の消火設備の緩和規定であるが、それぞれ第四種又は第五種の消火設備の設置を免除するものではなく、防護対象物から設置場所に至る歩行距離等に関する規定を適用しないことを定めたものであること。
3 著しく消火困難な製造所等
(1) 著しく消火困難な製造所等の範囲
危険物の範囲の見直し並びに製造所等の位置、構造及び設備の技術上の基準の見直しに伴い、著しく消火困難な製造所等の範囲が見直されたこと(規則第33条第1項)。
その概要は、次のとおりであること。
ア 製造所又は一般取扱所
(ア) 高引火点危険物(引火点が130℃以上の第四類の危険物をいう。以下同じ。)のみを100℃未満の温度で取り扱うものにあつては、延べ面積(前記1の延べ面積をいい、屋外の工作物の設置面積は含めない。以下同じ。)が1,000m2以上のものを除き、指定数量の倍数にかかわらず著しく消火困難なものとならないこととされたこと。
(イ) 第三類及び第六類の危険物については、危険物の範囲の見直しにより危険性の程度が明らかにされたことから、消火設備の設置義務の判断基準となる指定数量の倍数の計算の際の数量から除かれないこととされたこと。
(ウ) 平屋建以外の製造所等も多数存するという危険物施設の実態を考慮し、「床面積」は「延べ面積」に改められたこと。
(エ) 高さ6m以上の部分で危険物を取り扱う設備(高引火点危険物のみを100℃未満の温度で取り扱うものを除く。)を有するものについては、消火器の放射能力範囲等を考慮し、著しく消火困難なものとなることとされたこと。この場合において、高さの算定の起点となる消火活動上有効な床面とは、必ずしも建築物の床に限られるものではなく、火災時において第四種の消火設備等による消火活動を有効に行い得るものでなければならないものであること。
(オ) 建築物の一部に設ける一般取扱所のうち、高引火点危険物のみを100℃未満の温度で取り扱うもの及び他の部分と開口部のない耐火構造の床又は壁で区画されているもの以外のものにあっては、著しく消火困難なものとなることとされたこと。
イ 屋内貯蔵所
(ア) 第三類及び第六類の危険物については、ア(イ)と同様に消火設備の設置義務の判断基準となる指定数量の倍数の計算の際の数量から除かないこととされたこと。
(イ) 高引火点危険物のみを貯蔵し、又は取り扱うものにあつては、原則として指定数量の倍数にかかわらず、著しく消火困難なものとならないこととされたこと。
(ウ) 延べ面積が150m2を超えるもの(貯蔵倉庫が150m2以内ごとに不燃材料で造られた開口部のない隔壁で完全に区分されているもの及び第二類の危険物又は第四類の危険物(引火性固体及び引火点が70℃未満の第四類の危険物を除く。)のみを貯蔵し、又は取り扱うものを除く。)、軒高が6m以上の平屋建のもの又は建築物の一部に設ける屋内貯蔵所(他の部分と開口部のない耐火構造の床又は壁で区画されているもの及び第二類又は第四類の危険物(引火性固体及び引火点が70℃未満の第四類の危険物を除く。)のみを貯蔵し、又は取り扱うものを除く。)については、著しく消火困難なものとなることとされたこと。
ウ 屋外タンク貯蔵所又は屋内タンク貯蔵所
(ア) 高引火点危険物を100℃未満の温度で貯蔵し、又は取り扱うもの及び第六類の危険物を貯蔵し、又は取り扱うものについては、原則として著しく消火困難なものとならないこととされたこと。
(イ) タンク専用室を建築物に設ける屋内タンク貯蔵所で、タンク専用室とその他の部分とが開口部のない耐火構造の床又は壁で区画されているものについては、引火点が70℃未満の危険物に係るものであっても、著しく消火困難なものとならないこととされたこと。
エ 給油取扱所
給油取扱所に関しては、平成元年3月3日付け消防危第15号各都道府県消防主管部長あて消防庁危険物規制課長通達「給油取扱所に係る危険物の規制に関する政令等の一部を改正する政令等の運用について」により既に通知したところであること。
(2) 危険物施設に対応する第一種から第三種までの消火設備の区分
製造所等の区分に応じ、設置しなければならない第一種から第三種までの消火設備として、次のように定められたこと(規則第33条第2項)。
ア 高引火点危険物のみを100℃未満の温度で取り扱う製造所又は一般取扱所で、延べ面積1000m2以上のものについては、危険物に係る部分には第一種から第三種までの消火設備を要せず、第四種及び第五種の消火設備を設けることとし、建築物又はその他の工作物に係る部分に第一種から第三種までの消火設備を設けることとされたこと。
イ 屋内貯蔵所については、その施設形態による消火困難性を考慮し、屋内消火栓設備及び第三種の消火設備のうち泡消火栓を屋外に設ける泡消火設備を除き移動式のものは認められないこととされ、建築物の一部に設ける屋内貯蔵所又は軒高が6m以上の平屋建のものにあっては第二種の消火設備又は移動式以外の第三種の消火設備に限られることとされたこと。
ウ 屋外タンク貯蔵所又は屋内タンク貯蔵所のうち溶触した硫黄又は硫黄のみを含有するもののみを貯蔵するものにあっては、高温で貯蔵されているという危険物の性状を考慮し、水噴霧消火設備又は水蒸気消火設備を設けることとされたこと。
エ 屋外タンク貯蔵所又は屋内タンク貯蔵所に設ける第三種の消火設備は、固定式のものに限ることとされたこと。
オ 屋内消火栓、屋外消火栓、第三種の消火設備のうち移動式のもの等は、人が操作して消火活動を行うものであることから、区画された室内など、火災のときに煙が充満するおそれのある場所等においては設置が認められないこととされたこと。
4 消火困難な製造所等(規則第34条)
(1) 3と同様に消火困難な製造所等の範囲等が見直されたこと。
(2) 第一種から第三種までの消火設備の放射能力範囲内の部分については、第四種の消火設備を設けないことができることとされたこと。この場合における第一種から第三種までの消火設備は、危険物の規制に関する政令第20条第1項第1号に定める技術上の基準に従い、又は当該技術上の基準の例により設置されているものでなければならないものであることに留意されたいこと。
5 その他の製造所等(規則第35条)
(1) ハロゲン化物消火剤を放射する消火器について、消火器の流通実態を考慮し、一塩化一臭化メタン(ハロン1011)を削り、ブロモクロロジフルオロメタン(ハロン1211)及びブロモトリフルオロメタン(ハロン1301)を加えることとされたこと。
(2) ハロゲン化物消火剤の名称について消火器の技術上の規格を定める省令との整合を図り、「二臭化四ふつ化エタン」を「ジブロモテトラフルオロエタン」に変更することとしたこと。
(3) 第一種から第四種までの消火設備の放射能力範囲内の部分については、第五種の消火設備を、必要とされる能力単位の数値の5分の1以上となるように設けることで足りることとされたこと。この場合における第一種から第四種までの消火設備は、危険物の規制に関する政令第20条第1項第1号若しくは第2号に定める技術上の基準に従い、又は当該技術上の基準の例により設置されているものでなければならないものであることに留意されたいこと。
第2 警報設備に関する事項
1 自動火災報知設備の設置義務対象施設
危険物の範囲の見直し、製造所等の位置、構造及び設備の技術上の基準の見直しに伴い、自動火災報知設備を設けなければならない製造所等の範囲が見直されたこと(規則第38条第1項)。その概要は、次のとおりであること。
(1) 製造所又は一般取扱所
ア 高引火点危険物のみを100℃未満の温度で取り扱うものについては、原則として指定数量の倍数にかかわらず自動火災報知設備の設置義務の対象とはしないこととされたこと。
イ 延べ面積が500m2以上のものについては、製造所等以外の一般の防火対象物との整合を図るため自動火災報知設備を設けなければならないこととされたこと。
ウ 第六類の危険物については、第一類の危険物と同様の危険性があるものであることから自動火災報知設備の設置義務の判断基準となる指定数量の倍数の計算の際の数量から除かないこととされたこと。
エ 建築物の一部に設ける一般取扱所(他の部分と開口部のない耐火構造の床又は壁で区画されているもの及び高引火点危険物のみを100℃未満の温度で取り扱うものを除く。)にあつては、自動火災報知設備を設けなければならないこととされたこと。
(2) 屋内貯蔵所
ア 指定数量の倍数が100以上の屋内貯蔵所(高引火点危険物のみを貯蔵し、又は取り扱うものを除く。)にあつては、自動火災報知設備を設けなければならないこととされたこと。
イ 第六類の危険物については、(1)ウと同様に自動火災報知設備の設置義務の判断基準となる指定数量の倍数の計算の際の数量から除かないこととされたこと。
ウ 延べ面積が150㎡を超えるもの(貯蔵倉庫が150㎡以内ごとに不燃材料で造った開口部のない隔壁で完全に区分されているもの又は第二類若しくは第四類の危険物(引火性固体及び引火点が70℃未満の第四類の危険物を除く。)のみを貯蔵し、若しくは取り扱うものにあっては、延べ面積が500㎡以上のものとする。)、軒高が6m以上の平家建のもの及び建築物の一部に設ける屋内貯蔵所(他の部分と開口部のない耐火構造の床又は壁で区画されているもの及び第二類又は第四類の危険物(引火性固体及び引火点が70℃未満の第四類の危険物のみを貯蔵し、又は取り扱うものを除く。)については、自動火災報知設備を設けなければならないこととされたこと。
(3) 屋内タンク貯蔵所
タンク専用室を建築物に設ける屋内タンク貯蔵所(他の部分と開口部のない耐火構造の床又は壁で区画されているもの等一定のものを除く。)については、自動火災報知設備を設けなければならないこととされたこと。
(4) 給油取扱所
給油取扱所に関しては、第1の3(1)エと同様に既に通知したところであること。
2 自動火災報知設備の設置の基準
自動火災報知設備の設置の基準について、消防法施行令第21条に準じて定められたこと(規則第38条第2項)。なお、自動火災報知設備の設置に関しては、規則に定められたもののほか、別紙のとおり運用指針を定めることとしたので、これによられたいこと。
別紙
消火設備及び警報設備に関する運用指針
第1 消火設備の設置の区分
第一種、第二種及び第三種の消火設備の設置の区分は、次のとおりとする。
1 屋内消火栓設備及び移動式の第三種の消火設備は、火災のときに煙が充満するおそれのない場所等火災の際容易に接近でき、かつ、火災等の災害による被害を受けるおそれが少ない場所に限って設けることができること。
2 屋外消火栓設備は、製造所等に屋外消火栓設備を設ける場合であっても建築物の1階及び2階の部分のみを放射能力範囲内とすることができるものであり、当該製造所等の建築物の地階及び3階以上の階にあっては、他の消火設備を設けること。また、屋外消火栓設備を屋外の工作物の消火設備とする場合においても、有効放水距離等を考慮した放射能力範囲に応じて設置する必要があること。
3 水蒸気消火設備は、第二類の危険物のうち硫黄及び硫黄のみを含有するものを溶融したもの又は引火点が100℃以上の第四類の危険物を貯蔵し、又は取り扱うタンクに限り設けることができること。
4 規則第33条第1項第1号に規定する製造所等のタンクで、引火点が21℃未満の危険物を貯蔵し、又は取り扱うもののポンプ設備、注入口及び払出口(以下「ポンプ設備等」という。)には、第一種、第二種又は第三種の消火設備をポンプ設備等を包含するように設けること。この場合において、ポンプ設備等に接続する配管の内径が200mmを超えるものにあっては、移動式以外の第三種の消火設備を設けなければならないこと。
第2 屋内消火栓設備の基準
危険物の規制に関する規則(以下「規則」という。)第32条の規定によるほか、屋内消火栓設備の基準の細目は、次のとおりとする。
1 屋内消火栓の開閉弁及びホース接続口は、床面からの高さが1.5m以下の位置に設けること。
2 屋内消火栓の開閉弁及び放水用器具を格納する箱(以下「屋内消火栓箱」という。)は、不燃材料で造るとともに、点検に便利で、火災のとき煙が充満するおそれのない場所等火災の際容易に接近でき、かつ、火災等の災害による被害を受けるおそれが少ない箇所に設けること。
3 加圧送水装置の始動を明示する表示灯(以下「始動表示灯」という。)は、赤色とし、屋内消火栓箱の内部又はその直近の箇所に設けること。ただし、4(2)により設けた赤色の灯火を点滅させることにより加圧送水装置の始動を表示できる場合は、表示灯を設けないことができる。
4 屋内消火栓設備の設置の標示は、次の(1)及び(2)に定めるところによること。
(1) 屋内消火栓箱には、その表面に「消火栓」と表示すること。
(2) 屋内消火栓箱の上部に、取付け面と15度以上の角度となる方向に沿って10m離れたところから容易に識別できる赤色の灯火を設けること。
5 水源の位置がポンプより低い位置にある加圧送水装置には、次の(1)から(3)までに定めるところにより呼水装置を設けること。
(1) 呼水装置には専用の呼水槽を設けること。
(2) 呼水槽の容量は、加圧送水装置を有効に作動できるものであること。
(3) 呼水槽には減水警報装置及び呼水槽へ水を自動的に補給するための装置が設けられていること。
6 屋内消火栓設備の予備動力源は、自家発電設備又は蓄電池設備によるものとし、次の(1)及び(2)に定めるところによること。ただし、次の(1)に適合する内燃機関で、常用電源が停電したときに速やかに当該内燃機関を作動するものである場合に限り、自家発電設備に代えて内燃機関を用いることができる。
(1) 容量は、屋内消火栓設備を有効に45分間以上作動させることができるものであること。
(2) 消防法施行規則(以下「施行規則」という。)第12条第1項第4号ロ(自家発電設備の容量に係る部分を除く。)、ハ(蓄電池設備の容量に係る部分を除く。)及びニに定める基準の例によること。
7 操作回路及び4(2)の灯火回路の配線は、施行規則第12条第1項第5号に定める基準の例によること。
8 配管は、施行規則第12条第1項6号に定める基準によること。
9 加圧送水装置は、施行規則第12条第1項第7号に定める基準の例に準じて設けること。
10 加圧送水装置は、点検に便利で、かつ、火災等の災害による被害を受けるおそれが少ない箇所に設けること。
11 貯水槽、加圧送水装置、予備動力源、配管等(以下「貯水槽等」という。)には、地震による地震動に耐えるための有効な措置を講ずること。
12 屋内消火栓設備は、湿式(配管内に常に充水してあるもので、加圧送水装置の起動によって直ちに放水できる方式をいう。以下同じ。)とすること。ただし、寒冷地において水が凍結するおそれのある等市町村等が湿式としないことができると認めた場合は、この限りでない。
第3 屋外消火栓設備の基準
規則第32条の2の規定によるほか、屋外消火栓設備の基準の細目は、次のとおりとする。
1 屋外消火栓の開閉弁及びホース接続口は、地盤面からの高さが1.5m以下の位置に設けること。
2 放水用器具を格納する箱(以下「屋外消火栓箱」という。)は、不燃材料で造るとともに、屋外消火栓からの距離が5m以下の箇所で、火災の際容易に接近でき、かつ、火災等の災害による被害を受けるおそれが少ない箇所に設けること。
3 屋外消火栓設備の設置の標示は、次の(1)及び(2)に定めるところによること。
(1) 屋外消火栓箱には、その表面に「ホース格納箱」と表示すること。ただし、ホース接続口及び開閉弁を屋外消火栓設箱の内部に設けるものにあっては、「消火栓」を表示することをもって足りる。
(2) 屋外消火栓には、その直近の見やすい箇所に「消火栓」と表示した標識を設けること。
4 貯水槽等には、地震による地震動に耐えるための有効な措置を講ずること。
5 加圧送水装置、始動表示灯、呼水装置、予備動力源、操作回路の配線及び配管等は、屋内消火栓設備の例に準じて設けること。
6 屋外消火栓設備は、湿式とすること。ただし、寒冷地において水が凍結するするおそれがある市町村長等が湿式としないことができると認めた場合は、この限りではない。
第4 スプリンクラー設備の基準
規則第32条の3の規定によるほか、スプリンクラー設備の基準の細目は、次のとおりとする。
1 開放型スプリンクラーヘッドは、防護対象物のすべての表面がいずれかのヘッドの有効射程内にあるように設けるほか、施行規則第14条第1項第1号の2ロ及びハに定める基準の例によること。
2 閉鎖型スプリンクラーヘッドは、防護対象物のすべての表面がいずれかのヘッドの有効射程内にあるように設けるほか、施行規則第14条第1項第1号の3及び施行規則第14条第1項第7号に定める基準の例によること。
3 開放型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備には、一斉開放弁又は、手動式開放弁を次の(1)及び(2)に定めるところにより設けること。
(1) 一斉開放弁の起動操作部又は手動式開放弁は、火災のとき容易に接近することができ、かつ、床面からの高さが、1.5m以下の箇所に設けること。
(2) (1)に定めるもののほか、一斉開放弁又は手動式開放弁は、施行規則第14条第1項第2号(ハを除く。)に定める基準の例によること。
4 開放型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備に2以上の放射区域を設ける場合は、火災を有効に消火できるように、隣接する放射区域が相互に重複するようにすること。
5 スプリンクラー設備には、施行規則第14条第1項第3号に定める基準の例により、各階又は放射区域ごとに制御弁を設けること。
6 自動警報装置は、施行規則第14条第1項第4号に定める基準の例によること。
7 流水検知装置は、施行規則第14条第1項第4号の2及び第4号の3に定める基準の例によること。
8 閉鎖型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備の配管の末端には、施行規則第14条第1項第5号の2に定める基準の例により末端試験弁を設けること。
9 スプリンクラー設備には、施行規則第14条第1項第6号に定める基準の例により消防ポンプ自動車が容易に接近することができる位置に双口型の送水口を附置すること。
10 起動装置は、施行規則第14条第1項第8号に定める基準の例によること。
11 乾式又は予作動式の流水検知装置を設けられているスプリンクラー設備にあっては、スプリンクラーヘッドが開放した場合に1分以内に当該スプリンクラーヘッドから放水できるものとすること。
12 貯水槽等には、地震による地震動に耐えるための有効な措置を講ずること。
13 加圧送水装置、呼水装置、予備動力源、操作回路の配線又は配管等は、屋内消火栓設備の例に準じて設けること。
第5 水蒸気消火設備の基準
規則第32条の4の規定によるほか、水蒸気消火設備の基準の細目は、次のとおりとする。
1 予備動力源は、1時間30分以上水蒸気消火設備を有効に作動させることができる容量とするほか、屋内消火栓設備の基準の例によること。
2 配管は、金属製等耐熱性を有するものであること。
3 水蒸気発生装置は、点検に便利で、かつ、火災等の災害による被害を受けるおそれが少ない箇所に設けること。
4 水蒸気発生装置及び貯水槽等には、地震による地震動に耐えるための有効な措置を講ずること。
第6 水噴霧消火設備の基準
規則第32条の5の規定によるほか、水噴霧消火設備の基準の細目は、次のとおりとする。
1 水噴霧消火設備に2以上の放射区域を設ける場合は、火災を有効に消火できるように、隣接する放射区域が相互に重複するようにすること。
2 高圧の電気設備がある場所においては、当該電気設備と噴霧ヘッド及び配管との間に電気絶縁を保つための必要な空間を保つこと。
3 水噴霧消火設備には、各階又は放射区域ごとに制御弁、ストレーナー及び一斉開放弁を次の(1)及び(2)に定めるところにより設けること。
(1) 制御弁及び一斉開放弁は、スプリンクラー設備の基準の例によること。
(2) ストレーナー及び一斉開放弁は、制御弁の近くで、かつ、ストレーナー、一斉開放弁の順にその下流側に設けること。
4 起動装置は、スプリンクラー設備の基準の例によること。
5 貯水槽等には、地震による地震動に耐えるための有効な措置を講ずること。
6 加圧送水装置は、呼水装置、予備動力源、操作回路の配線及び配管等は、屋内消火栓設備の例に準じて設けること。
第7 粉末消火設備の基準
規則第32条の9の規定によるほか、粉末消火設備の基準の細目は、次のとおりとする。
1 全域放出方式の粉末消火設備の噴射ヘッドは、次に定めるところにより設けること。
(1) 放射された消火剤が規則第32条の7第1号の区画された部分(以下「防護区画」という。)の全域に均一に、かつ、速やかに拡散することができるように設けること。
(2) 噴射ヘッドの放射圧力は、1kgf/cm2以上であること。
(3) 3(1)に定める消火剤の量を30で除して得られた量以上の量を毎秒当たりの放射量として放射できるものであること。
2 局所放出方式の粉末消火設備の噴射ヘッドは、1(2)の例によるほか、次に定めるところにより設けること。
(1) 噴射ヘッドは、防護対象物のすべての表面がいずれかの噴射ヘッドの有効射程内にあるように設けること。
(2) 消火剤の放射によって危険物が飛び散らない箇所に設けること。
(3) 3(2)に定める消火剤の量を30で除して得られた量以上の量を毎秒当たりの放射量として放射できるものであること。
3 粉末消火剤の貯蔵容器又は貯蔵タンクに貯蔵する消火剤の量は、次に定めるところによること。
(1) 全域放出方式の粉末消火設備にあっては、次のアからウまでに定めるところにより算出された量以上の量とすること。
ア 次の表に掲げる消火剤の種別に応じ、同表に掲げる量の割合で計算した量
消火剤の種別 |
防護区画の体積1?当たりの消火剤の量(kg) |
炭酸水素ナトリウムを主成分とするもの(以下「第一種粉末」という。) |
0.60 |
炭酸水素カリウムを主成分とするもの(以下「第二種粉末」という。)又はりん酸塩類等を主成分とするもの(りん酸アンモニウムを90%以上含有するものに限る。以下「第三種粉末」という。) |
0.36 |
炭酸水素カリウムと尿素の反応生成物(以下「第四種粉末」という。) |
0.24 |
特定の危険物に適応すると認められるもの(以下「第五種粉末」という。) |
特定の危険物に適応すると認められる消火剤に応じて定められた量 |
イ 防護区画の開口部に自動閉鎖装置(防火設備又は不燃材料で造った戸で消火剤が放射される直前に開口部を自動的に閉鎖する装置をいう。)を設けない場合にあっては、アにより算出された量に、次の表に掲げる消火剤の種別に応じ、同表に掲げる量の割合で計算した量を加算した量
消火剤の種別 |
開口部の面積1m2当たりの消火剤の量(kg) |
第一種粉末 |
4.5 |
第二種粉末又は第三種粉末 |
2.7 |
第四種粉末 |
1.8 |
第五種粉末 |
特定の危険物に適応すると認められる消火剤に応じて定められた量 |
ウ 防護区画内において貯蔵し、又は取り扱う危険物に応じ別表に定める消火剤に応じた係数をア及びイにより算出された量に乗じて得た量。ただし、別表に掲げられていない危険物にあっては、別添1に定める試験により求めた係数を用いること。
(2) 局所放出方式の粉末消火設備にあっては、次のア又はイにより算出された量に貯蔵し、又は取り扱う危険物に応じ(1)ウに定める係数を乗じ、さらに1.1を乗じた量以上の量とすること。
ア 面積式の局所放出方式
液体の危険物を上面を開放した容器に貯蔵する場合その他火災のときの燃焼面が一面に限定され、かつ、危険物が飛散するおそれがない場合にあっては、次の表に掲げる液表面積及び放射方法に応じ、同表に掲げる数量の割合で計算した量
消火剤の種別 |
防護対象物の表面積※1㎡当たりの消火剤の量(kg) |
第一種粉末 |
8.8 |
第二種粉末又は第三種粉末 |
5.2 |
第四種粉末 |
3.6 |
第五種粉末 |
特定の危険物に適応すると認められる消火剤に応じて定められた量 |
※ 当該防護対象物の一辺の長さが0.6m以下の場合にあっては、当該辺の長さを0.6として計算した面積とする。
イ 容積式の局所放出方式
アに掲げる場合以外の場合にあっては、次の式によって求められた量に防護空間(防護対象物の全ての部分から0.6m離れた部分によって囲まれた空間の部分をいう。以下同じ。)の体積を乗じた量
Q=X-Y a/A
Q:単位体積当たりの消火剤の量(単位kg/m3)
a:防護対象物の周囲に実際に設けられた固定側壁(防護対象物の部分から0.6m未満の部分にあるものに限る。以下同じ。)の面積の合計(単位 m2)
A:防護空間の全周の側面積(実際に設けられた固定側壁の面積と固定側壁のない部分に固定側壁があるものと仮定した部分の面積の合計をいう。)(単位m2)
X及びY:次の表に掲げる消火剤の種別に応じ、同表に掲げる値
消火剤の種別 |
Xの値 |
Yの値 |
第一種粉末 |
5.2 |
3.9 |
第二種粉末又は第三種粉末 |
3.2 |
2.4 |
第四種粉末 |
2.0 |
1.5 |
第五種粉末 |
特定の危険物に適応すると認められる消火剤に応じて定められた量 |
(3) 全域放出方式又は局所放出方式の粉末消火設備において同一の製造所等に防護区画又は防護対象物が2以上存する場合には、それぞれの防護区画又は防護対象物について(1)及び(2)の例により計算した量のうち、最大の量以上の量とすることができる。ただし、防護区画又は防護対象物が互いに隣接する場合にあっては、1の貯蔵容器等を共用することはできない。
(4) 移動式の粉末消火設備にあっては、1のノズルにつき次の表に掲げる消火剤の種別に応じ、同表に掲げる量以上の量とすること。
消火剤の種別 |
消火剤の量(kg) |
第一種粉末 |
50 |
第二種粉末又は第三種粉末 |
30 |
第四種粉末 |
20 |
第五種粉末 |
特定の危険物に適応すると認められる消火剤に応じて定められた量 |
4 全域放出方式又は局所放出方式の粉末消火設備の基準は、施行規則第21条第4項に定める基準に準じて設けること。
5 移動式の粉末消火設備は、施行規則第21条第5項に定める基準に準じて設けること。
第8 自動火災報知設備の基準
規則第38条第2項の規定によるほか、自動火災報知設備の基準の細目は、次のとおりとする。
1 感知器等の設置は、施行規則第23条第4項から第8項までの規定の例によること。
2 1に定めるもののほか、施行規則第24条及び第24条の2の規定の例によること。
消化剤の種別 危険物 |
粉末 |
|||
第一種 |
第二種 |
第三種 |
第四種 |
|
アクリロニトリル |
1.2 |
1.2 |
1.2 |
1.2 |
アセトアルデヒド |
- |
- |
- |
- |
アセトニトリル |
1.0 |
1.0 |
1.0 |
1.0 |
アセトン |
1.0 |
1.0 |
1.0 |
1.0 |
アニリン |
1.0 |
1.0 |
1.0 |
1.0 |
エタノール |
1.2 |
1.2 |
1.2 |
1.2 |
塩化ビニル |
- |
- |
1.0 |
- |
ガソリン |
1.0 |
1.0 |
1.0 |
1.0 |
軽油 |
1.0 |
1.0 |
1.0 |
1.0 |
原油 |
1.0 |
1.0 |
1.0 |
1.0 |
酢酸
|
1.0 |
1.0 |
1.0 |
1.0 |
酢酸エチル |
1.0 |
1.0 |
1.0 |
1.0 |
酸化プロピレン |
- |
- |
- |
- |
ジエチルエーテル |
- |
- |
- |
- |
ジオキサン |
1.2 |
1.2 |
1.2 |
1.2 |
重油 |
1.0 |
1.0 |
1.0 |
1.0 |
潤滑油 |
1.0 |
1.0 |
1.0 |
1.0 |
テトラヒドロフラン |
1.2 |
1.2 |
1.2 |
1.2 |
灯油 |
1.0 |
1.0 |
1.0 |
1.0 |
トルエン |
1.0 |
1.0 |
1.0 |
1.0 |
ナフサ |
1.0 |
1.0 |
1.0 |
1.0 |
菜種油 |
1.0 |
1.0 |
1.0 |
1.0 |
二硫化炭素 |
- |
- |
- |
- |
ピリジン |
1.0 |
1.0 |
1.0 |
1.0 |
ブタノール |
1.0 |
1.0 |
1.0 |
1.0 |
プロパノール |
1.0 |
1.0 |
1.0 |
1.0 |
ヘキサン |
1.2 |
1.2 |
1.2 |
1.2 |
ヘプタン |
1.0 |
1.0 |
1.0 |
1.0 |
ベンゼン |
1.2 |
1.2 |
1.2 |
1.2 |
ペンタン |
1.4 |
1.4 |
1.4 |
1.4 |
ボイル油 |
1.0 |
1.0 |
1.0 |
1.0 |
メタノール |
1.2 |
1.2 |
1.2 |
1.2 |
メチルエチルケトン |
1.0 |
1.0 |
1.2 |
1.2 |
モノクロルベンゼン |
- |
- |
1.0 |
- |
備考 -印は、当該危険物の消化剤として使用不可
粉末消火剤に係る係数を定めるための試験方法
1 器材
器材は、次のものを用いる。
(1) 1m×1×0.1mの鉄製の燃焼槽
(2) 噴射ヘッド1個(オーバーヘッド用で放出角度90度のフルコーン型。等価噴口面積は、流量の0.7の値を目途として、ヘッドの吐出圧力と圧力容器で調整する。)
(3) 消火剤容器 体積20L以上(消火剤の種別により定める)
(4) 消火剤重量 12±1kg(消火剤の種別により定める)
2 試験方法
(1) 前記1(1)の燃焼槽に対象危険物を深さ3㎝となるように入れて点火する。
(2) 点火1分後に次図の噴射ヘッドから表に示す標準放出量Qs(kg/秒)の消火剤を放出圧力(ノズル圧力)1±0.2kgf/cm2で、30秒間放出する。
(3) 消火しない場合は、(1)及び(2)の操作を放出量を増して行い、消火するまで繰り返して、消火した時の放出量を記録する。
(4) (1)から(3)までの操作を3回以上繰り返し、その平均放出量Q(kg/秒)を求める。
3 係数の求め方
当該危険物の係数Kは、次の式により求める。
K=Q/Qs
Kは、小数点以下第2位を四捨五入し、0.2刻みとして切り上げる。
(計算例‥第一種粉末消火剤の場合の平均放出量が0.25kg/秒の場合
K=0.25/0.2=1.25≒1.3→1.4となる)
表 粉末消火剤の種別と標準放出量
消火剤の種別 |
標準放出標準放出量(kg/秒) |
第一種粉末 |
0.20 |
第二種粉末又は第三種粉末 |
0.12 |
第四種粉末 |
0.08 |
【参考】
○ 危険物施設の消火設備、屋外タンク貯蔵所の歩廊橋及び屋内貯蔵所の耐震対策に係る運用について(平成8年10月15日消防危第125号)