消防危第144号

平成22年7月8日

各都道府県消防防災主管部長

東京消防庁・各指定都市消防長 殿

消防庁危険物保安室長

 

既設の地下貯蔵タンクに対する流出防止対策等に係る運用について

 

危険物の規制に関する規則等の一部を改正する省令(平成22年総務省令第71)及び危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示の一部を改正する件(平成22年総務省告示第246)がそれぞれ公布され、平成2321日から施行されることとなりました。

今回の改正は、地盤面下に直接埋没された既設の地下貯蔵タンクのうち設置年数、塗覆装の種類及び設計板厚が一定の要件を満たすものを「腐食のおそれが特に高いもの」等として区分し、当該区分に応じて、内面の腐食を防止するためのコーティング等の措置を講ずること並びに地下貯蔵タンク等の規制の合理化等を主な内容とするものです。

今般、これらの技術上の基準の運用に係る留意事項を下記のとおり取りまとめましたので、貴職におかれましては、その運用に配慮されるとともに、各都道府県消防防災主管部長におかれましては、貴都道府県内の市町村に対してもこの旨周知されるようお願いします。

なお、本通知は、消防組織法(昭和22年法律第226)第37条の規定に基づく助言として発出するものであることを申し添えます。

また、本通知中においては、法令名について次のとおり略称を用いましたので御承知おきください。

消防法(昭和23年法律第186)・・・・・・・・・・・・・・・・・法

危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306)・・・・・・・政令

危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55)・・・・・・規則

危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示(昭和49年自治省告示第99)・・・・・・・・・・・・・・・・・告示

危険物の規制に関する規則等の一部を改正する省令(平成22年総務省令第71)・・・・・・・・・・・・・・・・改正省令

危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示の一部を改正する件(平成22年総務省告示第246)・・・・・・・・・・・・・改正告示

 

 

第1 地下貯蔵タンクの流出事故防止対策に係る事項

1 腐食のおそれが特に高い地下貯蔵タンク等の要件等に関する事項

(1) 対象となる地下貯蔵タンクに係る設置年数、塗覆装の種類及び設計板厚の定義は、以下のとおりとする。

ア 設置年数は、当該地下貯蔵タンクの設置時の許可に係る完成検査済証の交付年月日を起算日とした年数をいうこと。

イ 塗覆装の種類は、告示第4条の48第1項に掲げる外面の保護の方法をいうこと。

ウ 設計板厚は、当該地下貯蔵タンクの設置時の板厚をいい、設置又は変更の許可の申請における添付書類に記載された数値で確認すること。

(2) 腐食のおそれが特に高い地下貯蔵タンク及び腐食のおそれが高い地下貯蔵タンクの要件は、次のとおりであること。

ア 腐食のおそれが特に高い地下貯蔵タンク

腐食のおそれが特に高い地下貯蔵タンクは次表に掲げるものであること。

設置年数

塗覆装の種類

設計板厚

50年以上

アスファルト

(告示第4条の48第1項第2号に定めるもの。以下同じ。)

全ての設計板厚

モルタル

(告示第4条の48第1項第1号に定めるもの。以下同じ。)

8.0mm未満

エポキシ樹脂又はタールエポキシ樹脂

(告示第4条の48第1項第3号に定めるもの。以下同じ。)

6.0mm未満

強化プラスチック

(告示第4条の48第1項第4号に定めるもの。以下、同じ。)

4.5mm未満

40年以上50年未満

アスファルト

4.5mm未満

イ 腐食のおそれが高い地下貯蔵タンク

腐食のおそれが高い地下貯蔵タンクは次表に掲げるものであること。

設置年数

塗覆装の種類

設計板厚

50年以上

モルタル

8.0mm以上

エポキシ樹脂又はタールエポキシ樹脂

6.0mm以上

強化プラスチック

4.5mm以上12.0mm未満

40年以上50年未満

アスファルト

4.5mm以上

モルタル

6.0mm未満

エポキシ樹脂又はタールエポキシ樹脂

4.5mm未満

強化プラスチック

4.5mm未満

30年以上40年未満

アスファルト

6.0mm未満

モルタル

4.5mm未満

20年以上30年未満

アスファルト

4.5mm未満

2 腐食のおそれが特に高い地下貯蔵タンクに講ずべき措置に関する事項

腐食のおそれが特に高い地下貯蔵タンクに講ずべき措置のうち、内面の腐食を防止するためのコーティングは、別添1に掲げる事項に基づき、適切に講じること。

3 腐食のおそれが高い地下貯蔵タンクに講ずべき措置に関する事項

腐食のおそれが高い地下貯蔵タンクに講ずべき措置のうち、地下貯蔵タンクからの危険物の微少な漏れを検知するための設備には、例えば高い精度でタンクの液面を管理することができる高精度液面計があること。

4 その他

(1) 腐食のおそれが特に高い地下貯蔵タンク等に該当しないものに対し、内面の腐食を防止するためのコーティングを講じる場合は、マンホールの取付け等の工事が必要な場合を除き、従前のとおり「製造所等において行われる変更工事に係る取扱いについて」(平成14329日付け消防危第49)における「資料の提出を要する軽微な変更」等として運用して差し支えないこと。

(2) 地下貯蔵タンクの仕様及び設置年数に応じて腐食のおそれが特に高い地下貯蔵タンク等の判定を行うことから、改正省令及び改正告示が施行された後も、地下貯蔵タンクの設置年数の経過に伴い、ある時点から腐食のおそれが特に高い地下貯蔵タンク等の要件に該当することとなる場合があり、その時点で内面の腐食を防止するためのコーティング等の措置を講じる義務が生ずる。したがって、腐食のおそれが高い地下貯蔵タンクの設置者等に対する指導に当たっては、当該タンクの仕様、設置年数、使用予定年数等を踏まえ、この点も念頭に置いた適切な措置を講ずるよう指導されたいこと。

(3) 「鋼製地下タンクの内面保護に係るFRPライニング施工に関する指針について」(平成19227日付け消防危第48、以下「48号通知」という。)に基づき改正省令等が施行される以前にFRPライニングを講じた地下貯蔵タンクで、今回の改正により腐食のおそれが特に高い地下貯蔵タンク等に該当する場合、設置者等からFRPライニングに係る資料が提出され、適切に当該措置が施工されたことが確認できれば、内面の腐食を防止するためのコーティングの技術上の基準に適合するものとして取り扱って差し支えないこと。

(4) 本通知の発出をもって、48号通知を廃止すること。

 

第2 強化プラスチック製二重殻タンクの内殻に用いる強化プラスチックの性能に係る運用に係る事項

1 強化プラスチック製二重殻タンクの内殻に用いる材質の耐薬品性能に関する事項

強化プラスチック製二重殻タンクの内殻に用いる材質については、貯蔵し、又は取り扱う危険物を試験液とし、二重殻タンクの内殻で危険物と接する部分に使用される強化プラスチックを試験片とした(1)に示す耐薬品性試験において、(2)の評価基準に適合していることがあらかじめ確認されていなければならないこと。

(1) 耐薬品性試験

「繊維強化プラスチックの耐薬品試験方法」(JIS K7070)による浸せき試験

(2) 評価基準

「ガラス繊維強化プラスチック製耐食貯槽」(JIS K7012)6.3に規定される耐薬品性の評価基準に示されている外観変化、曲げ強さ、バーコル硬さがそれぞれ次のとおりであること。

ア 外観変化

各浸せき期間後の外観変化はJIS K7070表4に示す等級1、等級2に該当する又はこれより小さいこと。

イ 曲げ強さ

1年間の浸せき期間後の曲げ強度の保持率が60%以上であり、かつ、180日から1年にかけての変化が急激でないこと。

ウ バーコル硬さ

各浸せき期間後のバーコル硬さが、15以上であること。

2 その他

改正省令及び改正告示の施行後、既設の強化プラスチック製二重殻タンクにおいて、自動車ガソリン、灯油、軽油及び重油(1種に限る。)以外の危険物を貯蔵し、又は取り扱う場合は、設置者等から消防法第11条に基づく変更許可の申請又は法第11条の4に基づく危険物の品名変更の届出がなされた際に、当該タンクの内殻に使用される強化プラスチックと同じ材質の強化プラスチックと判断できる試験片を用いた1(1)に示す耐薬品性能試験の結果を設置者等に提出させ、基準に適合していることを確認すること。

 

第3 地下貯蔵タンク及び地下埋設配管の漏れの点検に係る事項

1 危険物の貯蔵及び取扱いを休止している地下貯蔵タンク又は地下埋設配管の漏れの点検に関する事項

(1) 漏れの点検期間及び点検記録保存期間延長の事由

危険物の貯蔵及び取扱いが休止され、かつ、市町村長等が保安上支障がないと認める場合は次のとおりとすること。

ア 危険物が清掃等により完全に除去されていること。

イ 危険物又は可燃性の蒸気が流入するおそれのある注入口又は配管に閉止板を設置する等、誤って危険物が流入するおそれがないようにするための措置が講じられていること。

(2) 危険物の貯蔵及び取扱いを再開する場合の漏れの点検の実施時期

規則第62条の5の2第2項ただし書き及び第62条の5の3第2項ただし書きの規定に基づき漏れの点検の期間が延長された後、所有者等が申請した期間延長後の漏れの点検予定日より前に危険物の貯蔵又は取扱いを再開する場合には、地下貯蔵タンク等の所有者等は、次のア又はイに定める期限までに漏れの点検を実施すること。

ア 延長申請前の漏れの点検の実施期限までに危険物の貯蔵及び取扱いが再開される場合にあっては、延長申請前の漏れの点検の実施期限

イ 延長申請前の漏れの点検の実施期限より後で、かつ、期間延長後の漏れの点検予定日以前に危険物の貯蔵及び取扱いが再開される場合にあっては、再開の日の前日

2 地下貯蔵タンク及び地下埋設配管の漏えい拡散を防止するための措置に関する事項

地下埋設配管について、危険物の漏えい拡散を防止するための告示で定める措置として、さや管その他漏れた危険物の流出を防止するための区画を地下埋設配管の周囲に設けることに加え、電気防食の措置が講じられている場合又は当該配管が設置される条件の下で腐食するおそれのないものとされたところであるが、このうち、強化プラスチック製配管及び合成樹脂製配管は、設置される条件の下で腐食するおそれのない配管に該当するものであること。

3 強化プラスチック製二重殻タンクの外殻の漏れの点検に関する事項

(1) 地下貯蔵タンク、二重殻タンクの強化プラスチック製の外殻及び地下埋設配管に係る漏れの点検については、「地下貯蔵タンク等及び移動貯蔵タンクの漏れの点検に係る運用上の指針について」(平成16318日付け消防危第33。以下、「33号通知」という。)により運用されてきたところであるが、改正省令等において漏れの点検に関する規定が改正されたことにより、従来運用していた33号通知の一部を別添2のとおり改正する。

(2) 本通知の発出をもって、「強化プラスチック製二重殻タンクの外殻の漏れ点検について」(平成20122日付け消防危第386)は、廃止する。

 

別添1

 

内面の腐食を防止するためのコーティングについて

 

第1 内面の腐食を防止するためのコーティングの施工に関する事項

1 施工方法

(1) 地下貯蔵タンク内面の処理

ア 地下貯蔵タンク内面のクリーニング及び素地調整を行うこと。

イ 素地調整は、「橋梁塗装設計施工要領(首都高速道路株式会社)」に規定する素地調整2種以上とすること。

(2) 板厚の測定

50㎝平方につき3点以上測定した場合において、鋼板の板厚が3.2㎜以上であることを確認すること。ただし、3.2㎜未満の値が測定された部分がある場合には、「危険物規制事務に関する執務資料の送付について」(平成211117日消防危第204 )問2により対応することで差し支えないこと。

(3) 内面の腐食を防止するためのコーティングの成形

ア 内面の腐食を防止するためのコーティング(以下「コーティング」という。)に用いる樹脂及び強化材は、当該地下貯蔵タンクにおいて貯蔵し、又は取り扱う危険物に対して劣化のおそれのないものとすること。

イ コーティングに用いる樹脂及び強化材は、必要とされる品質が維持されたものであること。

ウ コーティングの厚さは、2㎜以上とすること。

エ 成形方法は、ハンドレイアップ法、紫外線硬化樹脂貼付法その他の適切な方法とすること。

(4) 成形後のコーティングの確認

成形後のコーティングについて次のとおり確認すること。

ア 施工状況

気泡、不純物の混入等の施工不良がないことを目視で確認すること。

イ 厚さ

膜厚計によりコーティングの厚さが設計値以上であることを確認すること。

ウ ピンホールの有無

ピンホールテスターにより、ピンホールが無いことを確認すること。

2 その他

(1) 工事中の安全対策

コーティングの施工は、地下貯蔵タンクの内部の密閉空間において作業等を行うものであることから、可燃性蒸気の除去等火災や労働災害等の発生を防止するための措置を講ずること。

(2) 作業者の知識及び技能

職位業能力開発促進法に基づく「二級強化プラスチック成形技能士(手積み積層成形作業)」又はこれと同等以上の知識及び技能を有する者がコーティングの成型及び確認を行うことが望ましいこと。

(3) マニュアルの整備

1並びに2(1)及び(2)の事項を確実に実施するため、施工者は、次に掲げる事項につき、当該各号に定める基準に適合するマニュアルを整備しておくことが望ましいこと。

① コーティングの施工方法1に適合すること。

② 工事中の安全対策(1)に適合すること。

③ 作業者の知識及び技能(2)に適合すること。

(4) 液面計の設置

地下貯蔵タンクの内面に施工されたコーティングを損傷させないようにするため、政令第13条第1項第8号の2に規定する危険物の量を自動的に表示する装置を設けることが望ましいこと。

3 完成検査前検査

マンホールの取付けを行う場合については、完成検査前検査が必要であること。この場合において、水圧試験に代えて、告示第71条第1項第1号に規定するガス加圧法として差し支えない。

 

第2 コーティングの維持管理に関する事項

コーティングを施工したすべての地下貯蔵タンクについて、施工した日から10年を超えない日までの間に1回以上タンクを開放し、次に掲げる事項を確認することが望ましいこと。

(1) コーティングに歪み、ふくれ、亀裂、損傷、孔等の異常がないこと。

(2) 第1 1(2)に規定する方法により測定した地下貯蔵タンクの板厚が3.2㎜以上であること又は規則第23条に規定する基準に適合していること。ただし、次のア又はイにより確認している場合については、確認を要さないものとして差し支えないこと。

ア コーティング施工にあわせて地下貯蔵タンク及びこれに接続されている地下配管に告示第4条に規定する方法により電気防食措置を講じ、防食電圧・電流を定期的に確認している場合

イ 地下貯蔵タンクの対地電位を1年に1回以上測定しており、この電位が-500mV以下であることを確認している場合

 

別添2

 

「地下貯蔵タンク等及び移動貯蔵タンクの漏れの点検に係る運用上の指針について」の一部改正について

 

1 33号通知第1.1点検対象の表を次の表に改正する。

対象

免除部分

地下貯蔵タンク

○ 二重殻タンクの内殻

○ 危険物の微少な漏れを検知*1しその漏えい拡散を防止するための措置*2が講じられているもの

FRP外殻

○ FRP外殻と地下貯蔵タンクとの間げきに危険物の漏れを検知するための液体が満たされているもの

地下埋設配管

○ 危険物の微少な漏れを検知*3しその漏えい拡散を防止するための措置*4が講じられているもの

*1 直径0.3mm以下の開口部からの危険物の漏れを検知することができる設備により常時監視していること。(例:タンク内の高精度液面計設置等)

*2 タンク室その他漏れた危険物の流出を防止するための区画が地下貯蔵タンクの周囲に設けられていること。ただし、内面に腐食を防止するためのコーティングを講じた地下貯蔵タンクにあってはこの限りでない。

内面の腐食を防止するためのコーティングは、告示第4条の47の2の規定及び「既設の地下貯蔵タンクに対する流出防止対策等に係る運用について」(平成2278日付け消防危第144)別添1によること。

*3 直径0.3mm以下の開口部からの危険物の漏れを検知することができる設備により常時監視していること。

*4 次のいずれかの措置が講じられていること。

・さや管その他漏れた危険物の流出を防止するための区画が地下埋設配管の周囲に設けられていること。

・当該配管に電気防食の措置が講じられていること。((2)参照)

・当該配管が設置される条件の下で腐食するおそれのないものであること。((2)参照)

2 33号通知第1.3(1)点検周期の区分の表を次の表に改正する。

対象

点検周期

地下貯蔵タンク

下記以外

1年以内

次のいずれかに該当するもの

○ 完成検査(設置・交換)を受けた日から15年を超えないもの

○ 危険物の漏れを覚知*1しその漏えい拡散を防止するための措置*2が講じられているもの

細目→(2)参照

既設の製造所等に係る経過措置→(3)参照

3年以内

地下埋設配管

下記以外

1年以内

次のいずれかに該当するもの

○ 完成検査(設置・交換)を受けた日から15年を超えないもの

○ 危険物の漏れを覚知*1しその漏えい拡散を防止するための措置*3が講じられているもの

細目→(2)参照

既設の製造所等に係る経過措置→(3)参照

3年以内

FRP外殻

3年以内

*1 危険物の漏れを次のいずれかにより1週間に1回以上確認していること。

○ 漏えい検査管(区画内設置)

○ 在庫管理(貯蔵・取扱い数量の1/100以上の精度)

*2 タンク室その他漏れた危険物の流出を防止するための区画が地下貯蔵タンクの周囲に設けられていること。ただし、内面に腐食を防止するためのコーティングを講じた地下貯蔵タンクにあってはこの限りでない。

内面の腐食を防止するためのコーティングは、告示第4条の47の2の規定及び「既設の地下貯蔵タンクに対する流出防止対策等に係る運用について」(平成2278日付け消防危第144)別添1によること。

*3 次のいずれかの措置が講じられていること。

・さや管その他漏れた危険物の流出を防止するための区画が地下埋設配管の周囲に設けられていること。

・当該配管に電気防食の措置が講じられていること。((2)参照)

・当該配管が設置される条件の下で腐食するおそれのないものであること。((2)参照)

 

3 33号通知別添1の改正内容

 

(1) 表題を次のように改める。

 

「地下貯蔵タンク、鋼製強化プラスチック製二重殻タンクの外殻、強化プラスチック製二重殻タンクの外殻及び地下埋設配管に係る漏れの点検実施要領」

 

(2) 2を次のように改める。

 

「2 鋼製強化プラスチック製二重殻タンクの外殻(検知層)の点検方法」

 

(1)()中「1ka」を「0.1ka」に改める。

 

(1)()を削除する。

 

(1)カ中「()」を「()」に改める。

 

(2)()中「下記の点検器具を取付ける。」の次に「(図6 減圧法点検器具設置例)」を加える。

 

2中「図5 減圧法点検器具設置例」を「図6 減圧法点検器具設置例」に改める。

 

(3) 3を次のように追加する。

 

3 強化プラスチック製二重殻タンクの外殻(検知層)の点検方法

(1) ガス加圧法検知層に、窒素ガスを封入し、一定時間内の圧力変動を計測することにより、漏えいの有無を確認する方法である。

ア 点検範囲

強化プラスチック製の外殻(検知層)

イ 点検の準備と手順

() 開口部をバルブ、止め板、閉鎖治具等で閉鎖する(加圧状態を安全に維持、確保できる強度を有する方法で行うこと。)

() 下記の点検器具を取付ける。

・圧力計・・・・・・最小目盛が0.1ka以下であり、これを読み取り、記録できる精度のもの。

・温度計・・・・・・試験圧力に十分耐えうるもので、最小目盛が1℃以下の表示式又は記録式のもの。

・加圧装置・・・・・・窒素ガスボンベ及び圧力調整装置

・使用ガス・・・・・・窒素ガスを加圧媒体とする。

ウ 加圧の方法

() 圧力計を監視しながら加圧装置により窒素ガスを1ka/min程度の速度で注入し、試験圧力まで加圧する。試験圧力は20kaとする。

() ()の状態で50分以上(容量50kLを超える地下貯蔵タンクにあっては、当該容量を50kLで除した値(その値に小数点以下1位未満の端数があるときは、これを切り上げる。)1を減じた値を、15分間に乗じた値を加えた時間)圧力変動値を計測する。

() 試験前後の地下タンク内温度(気相部及び液相部)及び気温並びにその間の気象変化を記録する。

() 加圧後15分間の静置時間の圧力降下が、試験圧力の15%以下であることを確認する。

エ 判定方法

加圧後15分間の静置時間をおいて、その後35分間(容量50kLを超える地下貯蔵タンクにあっては、当該容量を50kLで除した値(その値に小数点以下1位未満の端数があるときは、これを切り上げる。)1を減じた値を、15分間に乗じた値に、35分間を加えた時間)の圧力の降下が試験圧力の10%以下の場合は「異常なし」とする。

オ 安全対策

() 消火器、安全柵、警戒ロープ、作業標識等を設置して防火・災害予防に努める。

() 加圧装置が万一不調になった場合にも、 過大な圧力が加わらないよう、 試験中は常時圧力を監視し、 加圧装置から離れない。 又、加圧ラインには、 30ka以下の安全弁を設ける。

() 試験後、 検知層のガスの放出は安全な場所、方法で行う。

() 閉鎖部の止め板等は、 圧力計指示度がゼロであることを確認してから開放する。

カ 留意点

() 気象変化の激しい時は、試験を実施しない。

() 地下タンクに危険物を荷卸しして10時間以上経過していない時は、 試験を実施しない。

() 圧力は必ずゼロの状態から記録を開始し、 加圧状態の全体を把握する。

() 圧力の開放は、1分以上の時間で徐々に行う。

() 試験中は貯蔵液の入出荷を行わない。ただし、給油又は注油作業はこの限りでない。

() 検知層のみに20kaの圧力をかけた場合に地下タンク本体に損傷を与えるおそれのあるものにあっては、 試験を実施する前に地下タンク本体に20kaの圧力を加え、そのままの状態で試験を実施する。ただし、この場合地下タンク・地下配管内の貯蔵液は全て抜き取り、空の状態とする。

() 試験は、複数の地下タンクの検知層を接続することなく、単独で実施する。

(2) 減圧法

検知層を減圧し、所定の減圧状態を維持し、一定の時間内の圧力変動を計測することにより、漏えいの有無を確認する方法である。

ア 点検範囲

強化プラスチック製の外殻(検知層)

イ 点検の準備と手順

() 開口部をバルブ、止め板、閉鎖治具等で閉鎖する(減圧状態を安全に維持、確保できる強度を有する方法で行うこと。)

() 下記の点検器具を取付ける(図6 減圧法点検器具設置例)

・圧力計(圧力自記記録計)・・・最小目盛が0.1ka以下であり、これを読み取り、記録できる精度のもの。

・温度計・・・試験圧力に十分耐えうるもので、最小目盛りが1℃以下の表示式又は記録式のもの。

・真空ポンプ…点検範囲を手動又はその他動力により真空にできるもの。

ウ 減圧の方法

() 圧力計を監視しながら真空ポンプにより1ka/min程度の速度で減圧し、試験圧力まで減圧する。この際、減圧値は20kaとする。

() ()の状態で120(容量50kLを超える地下タンクにあっては、当該容量を50kLで除した値(その値に小数点以下一位未満の端数があるときは、これを切り上げる。)1を減じた値を、75分間に乗じた値を加えた時間)以上の圧力変動値を計測する。

() 試験前後の地下タンク内温度(気相部及び液相部)及び気温並びにその間の気象変化を記録する。

() 減圧後15分間の静置時間の圧力上昇が15%以下であることを確認する。

エ 判定方法

減圧後15分間の静置時間をおいて、その後105分間(容量50kLを超える地下タンクにあっては、当該容量を50kLで除した値(その値に小数点以下一位未満の端数があるときは、これを切り上げる。)1を減じた値を、75分間に乗じた値に、105分間を加えた時間)の圧力の上昇が試験圧力の10%以下の場合は「異常なし」とする。

オ 安全対策

() 消火器、安全柵、警戒ロープ、作業標識等を設置して防火・災害予防に努める。

() 真空ポンプが万一不調になった場合にも、急激な圧力変化がおきないよう、試験中は常に圧力を監視し、真空ポンプから離れない。

() 閉鎖部の止め板等は、圧力指示度がゼロであることを確認してから開放する(特に、口径の大きなものは十分注意する。)

カ 留意点

() 気象変化の激しい時は、試験を実施しない。

() 地下タンクに危険物を荷卸しして10時間以上経過していない時は、試験を実施しない。

() 圧力は必ずゼロの状態から記録を開始し、 減圧状態の全体を把握する。

() 圧力の開放は、1分以上の時間で徐々に行う。

() 試験中は貯蔵液の入出荷を行わない。ただし、給油又は注油作業はこの限りでない。

() 試験は、複数の地下タンクの検知層を接続することなく、単独で実施する。

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