消防危第204号

平成21年11月17日

各都道府県消防防災主管部長

東京消防庁・各指定都市消防長 殿

消防庁危険物保安室長

 

危険物規制事務に関する執務資料の送付について

 

危険物規制事務に関する執務資料を別紙のとおり送付しますので、執務上の参考としてください。

また、各都道府県消防防災主管部長におかれましては、貴都道府県内の市町村に対してもこの旨周知されるようお願いします。

なお、本通知中においては、法令名について次のとおり略称を用いたので御承知おき願います。

危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306)・・・政令

 

別紙

 

問1 給油取扱所の固定注油設備に簡易タンクを接続することについて、下記の要件に適合している場合は、政令第23条を適用して差し支えないか。

1 屋外給油取扱所(航空機給油取扱所、船舶給油取扱所及び鉄道給油取扱所を除く。)であること。

2 防火地域及び準防火地域以外の地域であること。

3 給油取扱所には、固定給油設備及び固定注油設備に接続する簡易タンクが、その取り扱う同一品質の危険物ごとに1個ずつ3個までであること。

4 簡易タンクの容量は600L以下であること。

5 簡易タンクの構造及び設備は、政令第14条第4号及び第6号から第8号までに掲げる簡易タンク貯蔵所の構造及び設備の規定によること。

 

答 差し支えない。

 

 

問2 地下タンクからの危険物の流出事故を未然に防止するため、「鋼製地下タンクの内面保護に係るFRPライニング施工に関する指針について」(平成19年2月27日付け消防危第48号)に基づき内面ライニングを施工するため地下タンクを開放したところ、板厚が3.2mm未満となるような減肉又はせん孔が発見される事例が報告されている。

この場合において、いかなる補修及び維持管理が実施されれば、政令第23条を適用して、当該地下タンクを継続使用することを認めて良いか。

 

答 以下の要件に適合する場合には、認めて差し支えない。

1 地下タンクからの危険物の流出が確認されていないこと。

なお、確認方法については、例えば、漏れの点検及び漏えい検査管による点検の結果により異常がないことが挙げられる。

2 減肉又はせん孔の個数と大きさは「地下タンクの内面ライニング及び定期点検」(API(米国石油協会)標準規格1631)を参考として、次のいずれかを満たすこと。この場合において、減肉の大きさは、板厚が3.2mm未満の部分の大きさとし、せん孔の大きさは、せん孔部の周囲を板厚が3.2mm以上保持しているところまで削り取った大きさとする。

(1) タンクに1か所のみ減肉又はせん孔がある場合、減肉又はせん孔の直径が38mm以下であること。

(2) タンクに複数の減肉又はせん孔がある場合、次のとおりとする。

ア 0.09㎡あたりの数が5か所以下であり、かつ、減肉又はせん孔の直径が12.7㎜以下であること。

イ 46㎡あたりの数が20か所以下であり、かつ、減肉又はせん孔の直径が12.7㎜以下であること。

3 減肉又はせん孔部分について次のとおり補修を行う。

(1) 地下タンク内面の処理については、クリーニング後、「橋梁塗装設計施工要領」(平成184月首都高速道路株式会社)に示されている素地調整第1種相当となるように行うこと。

(2) せん孔部分については、板厚が3.2mm以上保持しているところまで削り取り、防水セメント又は金属パテで穴及び削り取った部分を埋める。

(3) 次に示すFRPを減肉又はせん孔部位から全方向に150mm以上被覆し、厚さが2mm以上なるよう積層すること。

ア FRPは次表の樹脂及び強化材から造ること。

樹脂

日本工業規格 K6919「繊維強化プラスチック用液状不飽和ポリエステル樹脂」(UP-CM、UP-CE又はUP-CEEに係る規定に限る。)に適合する樹脂又はこれと同等以上の耐薬品性を有するビニルエステル樹脂

強化材

日本工業規格 R3411「ガラスチョップドストランドマット」及び日本工業規格 R3417「ガラスロービングクロス」に適合するガラス繊維

イ FRPの引張強さの限界値及び空洞率の最大値は、日本工業規格K7011「構造用ガラス繊維強化プラスチック」の「第Ⅰ類、2種、GL-10」に適合すること。

ウ FRPは、日本工業規格K7070「繊維強化プラスチックの耐薬品性試験方法」に規定する耐薬品性試験において日本工業規格K7012「ガラス繊維強化プラスチック製耐食貯槽」6.3に規定する事項に適合すること。この場合において、試験液は、貯蔵し、又は取り扱う危険物とすること。

4 補修後、「鋼製地下タンクの内面保護に係るFRPライニング施工に関する指針について」(平成19227日付け消防危第48)の別添第1の2から4までの指針に基づきタンク内部全体に内面ライニングを実施する。

なお、完成検査前検査は、補修後から全体の内面ライニングを成形する前までの間に実施する必要がある。

5 内面ライニング実施後、10年以内に開放点検を行い、次の点について点検すること。さらに、その後5年ごとに同様の点検を繰り返すこと。

(1) 内面ライニングにゆがみ、ふくれ、き裂、損傷、穴等の異常がないこと。

(2) 減肉又はせん孔の個数及び大きさが、上記2に適合していること。

以上

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