消防危第122号

平成27年5月29日

各都道府県消防防災主管部長

東京消防庁・各指定都市主管部長 殿

消防庁危険物保安室長

 

平成26年中の危険物に係る事故に関する執務資料の送付について(通知)

 

今般、平成26年中の危険物に係る事故の概要が別添のとおりまとめられました。それにあわせ、下記のとおり、平成26年中の危険物に係る事故の主なポイント、指導上の留意事項等を取りまとめましたので、執務上の参考として下さい。

各都道府県消防防災主管部長におかれましては、貴都道府県内の市町村(消防の事務を処理する一部事務組合等を含む。)に対しでもこの旨周知くださいますようお願いします。

なお、本通知は消防組織法(昭和22年法律第226)第37条の規定に基づく助言として発出するものであることを申し添えます。

 

 

1 平成26年中の危険物に係る事故の主なポイント

(1) 火災事故

ア 火災事故の発生及び被害の状況

前年と比較して火災事故の発生件数は15件増加しており、合計203件となっている。

火災危険性(1万施設当たりの火災事故の発生件数)の高い危険物施設は、製造所、一般取扱所の顧となっており、近年この傾向は変わっていない。

施設別の火災事故発生件数については、一般取扱所、製造所、給油取扱所の順となっており、この3施設で全体の約93(188/203)を占め、火災事故1件当たりの損害額も同順序となっている。

また、火災事故1件当たりの損害額は、一般取扱所、製造所の順となっている。

イ 出火の原因に関係した物質

火災事故のうち、危険物が出火原因物質となる火災事故が約57(116/203)を占めている。このうち、第4類の危険物が約93(108/116)を占めている。

ウ 火災事故の発生原国及び着火原因

火災事故の発生原因では、維持管理不十分等の人的要因が約61%と最も高い割合を占めている。一方、主な着火原因では、静電気火花が約21%と最も高い割合を占めている。

(2) 流出事故

ア 流出事故の発生及び被害の状況

前年と比較して流出事故の発生件数は20件増加しており、合計396件となっている。

施設別の流出事故件数については、一般取扱所、移動タンク貯蔵所、屋外外タンク貯蔵所、給油取扱所、地下タンク貯蔵所、製造所の順となっており、この6施設で約97(383/396)を占めている。

流出事故の危険性(1万施設当たりの流出事故の発生件数)の高い危険物施設は、製造所、移送取扱所、一般取扱所、屋外タンク貯蔵所、移動タンク貯蔵所の順となっているが、平成26年中の流出事故については、製造所及び移動タンク貯蔵所における流出事故の発生件数が著しく増加している。一方、地下タンク貯議所については、流出事故件数の減少傾向が続いている。

また、流出事故1件当たりの損害額は、屋内タンク貯蔵所、屋外タンク貯蔵所の順となっている。

イ 流出した危険物

流出事故のうち、第4類の危険物は約98(389/396)を占めており、これを品名別にみると、第2石油類が第4類のうち約44(171/389)と最も高い割合を占めている。

ウ 流出事故の発生原因

流出事故の発生原因は、物的要因が約57(227/396)を占めている。このうち、腐食疲労等劣化によるものが約65(148/227)を占めている。腐食疲労等劣化による流出事故が多い施設は、屋外タンク貯蔵所、一般取扱所、給油取扱所、地下タンク貯蔵所の順となっている。

また、約32(125/396)を市める人的要因についてみると、流出事故件数が著しく増加した移動タンク貯蔵所では、操作確認、不十分によるものが約55(18/33)を占めている。

 

2 対策及び指導上の留意事項

(1) 火災事故

火災事故件数やその危険性の高い製造所及び一般取扱所に対して、維持管理不十分等の人的要因や、静電気火花による火災事故を防止するための対策を徹底することが重要である。

(2) 流出事故

流出事故件数の多くを占める一般取扱所、移動タンク貯蔵所、屋外タンク貯蔵所、給油取扱所、地下タンク貯蔵所、製造所に対して、流出事故を防止するための対策を徹底することが重要で、ある。具体的には、屋外タンク貯蔵所、一般取扱所、給油取扱所及び地下タンク貯蔵所に対して、璃食疲労等劣化の物的要因による流出事故防止、移動タンク貯蔵所に対して、操作確認不十分等の人的要因による流出事故防止のための対策を徹底することが重要である。

(3) その他

前述の統計データから見た事故防止対策を進めるとともに、平成27年事故防止アクションプランや、危険物等事故防止安全憲章を踏まえ、事業者の安全確保に係る組織的な取組を継続的に実施していくことが必要である。

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