消防危第208号

平成24年9月12日

各都道府県消防防災主管部長

東京消防庁・各指定都市消防長 殿

消防庁危険物保安室長

 

既設の地下貯蔵タンクに対する流出事故防止対策の徹底について

 

危険物の規制に関する規則等の一部を改正する省令(平成22年総務省令第71号。以下「改正省令」という。)及び危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示の一部を改正する件(平成22年総務省告示第246号)が平成2321日から施行され、腐食のおそれが特に高い地下貯蔵タンク等について、流出事故防止対策を平成25131(改正省令附則第2条第2項の地下貯蔵タンクに同条第4項に掲げる措置が講じられているものについては平成28131日。以下同じ。)までに措置することとされているところです。

今般、地下貯蔵タンクの流出事故防止対策に係る事項について以下の通り取りまとめましたので通知します。

貴職におかれましては、このことに留意され、引き続き適切な運用をお願いするとともに、貴管内の市町村(消防の事務を処理する一部事務組合等を含む。)に対してもこの旨周知されるようお願いします。

なお、本通知は消防組織法(昭和22年法律第226)第37条の規定に基づく助言として発出するものであることを申し添えます。

また、本通知中においては、法令名について次のとおり略称を用いたのでご承知おき願います。

消防法(昭和23年法律第186)・・・法

危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306)・・・政令

危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55)・・・規則

 

 

第1 経過措置期間までの対応

平成25年1月31日までに措置することとされている流出事故防止対策を迅速かつ円滑に進めるため、以下の事項に留意すること。

1 地下貯蔵タンクの把握

腐食のおそれが特に高い地下貯蔵タンク等については、「既設の地下に埋設されたタンクに関する実態調査について」(平成2312月1日付け事務連絡)等により、その把握に努めていただいているところであるが、引き続きその把握に努めること。

その際、対象となる地下貯蔵タンクの設置年等が不明のものにあっては、所有者等に聞き取りを行う等、その調査に努めること。

2 所有者等への周知

地下貯蔵タンクの所有者等に対し、立入検査や説明会等を通じて流出事故防止対策に係る周知を行うとともに、実情に応じた助言を行うこと。

その際、流出事故防止対策を講じる代わりに、地下貯蔵タンクの入替えや廃止を行う場合については、解体作業時等における爆発事故を防ぐため、「地下貯蔵タンクの用途廃止に係る安全管理指導について」(平成3年7月11日付け消防危第78号)や「危険物施設の廃止に伴う作業等の安全対策について」(平成11年11月8日付け消防危第103号)を参考に指導すること。

また、日本政策金融公庫等各金融機関の融資制度や社団法人全国石油協会の債務保証制度、利子補給制度が活用できる場合もあるので、必要に応じて情報提供すること。

3 事務手続の迅速化

法第11条第1項後段の流出事故防止対策に係る変更の許可について、事前相談を十分に行う等、事務手続の迅速化に努めること。

 

第2 経過措置期間後の対応

1 平成25年1月31日を過ぎても流出事故防止対策が講じられないものについては、当該地下貯蔵タンクを有する施設に対して速やかに立入検査を行い、違反事実を通知するとともに、期限(1週間から1ヶ月程度)内に具体的な改修予定期日を記載した改修計画又は改修報告書を提出するよう指導すること。

提出された改修計画については、改修内容が法令基準に沿った適切なものであること及び改修予定期日が社会通念上是正可能と認められる客観的な所要日数と火災予防上の必要性とを比較して妥当であることを確認し、その内容に不備がある場合、改修計画を一定の期限内に再提出するよう指導すること。

2 改修計画又は改修報告書を期限内に提出しないもの及び改修計画の改修

予定期日に改修が完了していないものについては、違反処理基準に基づき速やかな警告書の交付、基準適合命令の発出等所要の措置を講じること。

3 改修予定期日前から適宜経過確認等を実施して改修の促進を図るとともに、やむを得ず改修まで期日を要する場合は、危険物の流出防止の観点から、必要な対策を講じるよう指導すること。この場合に講ずべき対策としては、例えば次のものが考えられること。

(1) 規則第62条の4第1項及び第62条の5の2第2項の規定にかかわらず、法第14条の3の2の規定による定期点検及び規則第62条の5の2第1項の規定による地下貯蔵タンクの漏れの点検について、当該施設の実情に応じて頻度を上げること。

(2) 危険物の貯蔵又は取扱数量の100分の1以上の精度で1日に1回以上在庫管理を行うとともに、当該地下貯蔵タンクに設けられた漏えい検査管を用いることにより1週間に1回以上危険物の漏れを確認すること。

(3) 当該地下貯蔵タンクにおける危険物の在庫管理に従事する者の職務及び組織に関すること、当該者に対する教育に関すること、在庫管理の方法及び危険物の漏れが確認された場合に取るべき措置に関することその他必要な事項について別途計画を定めること。

4 立入検査の結果、著しい腐食が認められる等、火災等の災害発生危険が著しく大きい場合には、改修計画の提出を待つことなく、基準適合命令の発出等所要の措置を講じること。

また、定期点検の長期未実施等維持管理状況が不適当な場合にも、火災等の災害発生危険が著しく大きい状態である可能性があることから、早急な是正を図ること。

 

第3 その他

腐食のおそれが特に高い地下貯蔵タンク等のうち、危険物の貯蔵及び取扱いを休止し、政令第23条を適用して、流出事故防止対策を講じないこととしたものについては、これを再度使用しようとする場合にあっては、当該地下貯蔵タンク及びそれに付随する地下埋設配管の腐食等の状況を十分確認し、流出事故防止対策を講じた上で使用させること。

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