消防危第2号
平成24年1月11日
各都道府県消防防災主管部長
東京消防庁・各指定都市消防長 殿
消防庁危険物保安室長
エタノール等を取り扱う給油取扱所の技術上の基準に係る運用について
危険物の規制に関する政令の一部を改正する政令(平成23年政令第405号)及び危険物の規制に関する規則等の一部を改正する省令(平成23年総務省令第165号)が平成23年12月21日に公布され、第四類の危険物のうちエタノール又はこれを含有するもの(以下「エタノール等」という。)を取り扱う給油取扱所の技術上の基準に係る改正については、平成24年1月11日から施行されることとなりました。
エタノールを3%含有するガソリン(以下「E3」という。)を取り扱う給油取扱所の技術上の基準については、「エタノール3%含有ガソリン(E3)を取り扱う給油取扱所に関する運用について」(平成20年3月24日付け消防危第44号。以下「44号通知」という。)により運用をお願いしているところですが、今般、エタノール等を取り扱う給油取扱所の技術上の基準が整備されたことから、44号通知を廃止するとともに、エタノール等を取り扱う給油取扱所の技術上の基準の運用に係る留意事項を下記のとおり取りまとめましたので、通知します。
貴職におかれましては、その運用に配慮されるとともに、各都道府県におかれましては、貴管内の市町村(消防の事務を処理する一部事務組合等を含む。)に対してもこの旨周知されるようお願いします。
なお、本通知は消防組織法(昭和22年法律第226号)第37条の規定に基づく助言として発出するものであることを申し添えます。
なお、本通知中においては、法令名について次のとおり略称を用いましたので御承知おき願います。
消防法(昭和23年法律第186号)・・・法
危険物の規制に関する政令の一部を改正する政令(平成23年政令第405号)・・・改正政令
危険物の規制に関する規則等の一部を改正する省令(平成23年総務省令第165号)・・・改正省令
改正政令による改正後の危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)・・・令
改正省令による改正後の危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)・・・規則
記
令第17条第4項に規定するエタノールを含有するものとは、エタノールを含有する第4類の危険物の総称であること。なお、44号通知で運用基準を示しているE3についても、エタノールを含有するものに含まれるものであること。また、バイオエタノールの一種であるETBE(エチル―ターシャリ―ブチルエーテル)をガソリンに混合したものは、令第17条第4項に規定するエタノールを含有するものには含まれないものであること。
1 エタノールを取り扱う給油取扱所に関する事項について
エタノールを取り扱う給油取扱所に係る位置、構造及び設備の技術上の基準の運用については、「メタノール等を取り扱う給油取扱所に係る規定の運用について(通知)」(平成6年3月25日付け消防危第28号。以下「28号通知」という。)第2の例によること。
2 エタノールを含有するものを取り扱う給油取扱所に関する事項について
(1) エタノールを含有するもののうち、「揮発油等の品質の確保等に関する法律(昭和51年法律第88号)」に規定する規格に適合し、販売されるものについては、当該法律において揮発油と位置付けられるが、改正政令及び改正省令により、当該揮発油を取り扱う給油取扱所については、令第17条第4項に規定する位置、構造及び設備の技術上の基準が適用されるものであること。
(2) 専用タンクの注入口の周囲に設ける排水溝、切替弁及び漏れた危険物を収容する容量4L以上の設備の設置等については、次のとおりとすること。
ア 専用タンクの注入口の周囲に設ける排水溝、切替弁及び漏れた危険物を収容する容量4L以上の設備(以下「収容設備等」という。)は、28号通知第2、1(2)及び(3)の例によること。
イ 規則第28条の2第3項第1号のただし書きに規定する「専用タンクの注入口からエタノールを含有するものが漏れた場合において危険物が給油空地及び注油空地以外の部分に流出するおそれのない場合」とは、専用タンクの注入口からエタノールを含有するものが4,000L漏れた場合において、当該危険物に含まれるエタノール量を当該給油取扱所に設置される油分離装置の収容量で除した値が0.6未満となる場合であること(例えば、エタノールを10%含有するガソリン(以下「E10」という。)を取り扱う給油取扱所に設置される油分離装置の収容量が1,200Lの場合、4,000Lの当該危険物に含まれるエタノール量400Lを油分離装置の収容量1,200Lで除した値は約0.3(<0.6)となることから、収容設備等の設置は要しないものであること。)。
(3) E3及びE10を取り扱う給油取扱所は、規則第28条の2第3項第2号及び第28条の2の2第3項第2号の規定(規則第23条の3第2号に規定する設備のうち、専用タンクの周囲に4箇所以上設ける管により液体の危険物の漏れを検知する設備(以下「検知管」という。)により当該専用タンクから漏れた危険物を検知することが困難な場合)に該当しないものであること。
E10よりも多量にエタノールを含有するガソリンを取り扱う給油取扱所にあっては、個別に確認のうえ判断すること。
なお、検知管にエタノールの漏れを検知することができる装置を設けた給油取扱所は、危険物に含まれるエタノール量に関わらず、当該規定に該当しないものであること。
(4) エタノールを含有するもののうち、E3及びE10を取り扱う給油取扱所に設置する消火設備については、次のとおりとすること。ただし、E10よりも多量にエタノールを含有するガソリンを取り扱う給油取扱所にあっては、個別に確認のうえ判断すること。
ア E3及びE10を取り扱う給油取扱所に泡を放射する消火器を設置する場合、当該消火器の泡消火薬剤は、耐アルコール型のものとすること。
イ E10を取り扱う給油取扱所に設置する第三種の固定式の泡消火設備にたん白泡消火薬剤を用いる場合にあっては、耐アルコール型のものとすること。
第3 エタノール等を取り扱う給油取扱所における取扱いの技術上の基準に関する事項
エタノール等を取り扱う給油取扱所におけるエタノール等の取扱いの技術上の基準の運用については、28号通知第3の例によること。
1 エタノール等を貯蔵し、又は取り扱う設備・機器等については、腐食等劣化の状況に留意して日常点検及び定期点検を実施するとともに、異常がみられたとき等には、速やかに修理・交換等を行うこと。特に、エタノール等と直接接するゴム製又はコルク製のパッキン類、強化プラスチック製の地下貯蔵タンクや配管については、念入りに点検を実施し安全性の確認を行うこと。
2 改正政令及び改正省令の施行に伴い、既設のE3を取り扱う給油取扱所は新たに令第17条第4項の給油取扱所に変更されることとなるため、立入検査等を活用して当該給油取扱所の施設状況を把握した上で、位置、構造及び設備の基準に係る区分を変更すること。
なお、当該位置、構造及び設備の基準に係る区分の変更に伴って、当該給油取扱所の位置、構造及び設備並びに貯蔵し、又は取り扱う危険物の品名及び指定数量の倍数等に変更が生じることはないことから、当該給油取扱所の所有者等に当該区分の変更に係る届出を行わせる必要はないものであること。
3 ガソリンとエタノールを混合してエタノールを含有するものを製造する行為について、給油取扱所において行うことは認められないものであること。
以上