自消丙予発第178号

昭和40年11月2日

各都道府県消防主管部長 殿

消防庁予防課長

 

予防規程の認可について

 

予防規程を定めなければならない製造所等については、危険物の規制に関する政令の一部を改正する政令(昭和40年政令第308)及び危険物の規制に関する総理府令の一部を改正する省令(昭和40年自治省令第28)により指定されたところであるが、その認可にあたつては、下記の事項に御留意のうえ、遺憾ないようせられたい。

おつて、関係市町村長等に対しても周知方をお願いする。

 

 

1 予防規程の性格

予防規程は、火災の予防に資するため、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第10条第3項に基づく危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号。以下「政令」という。)第4章の規定に従い、製造所等の具体的態様に応じて定められた危険物の貯蔵又は取扱いに係る具体的保安基準たるところにその本質があり、その内容が企業の発案にかかるところから自主保安基準とも称されるものである。

2 作成単位

予防規程の作成が義務づけられている施設は、政令第37条に定める製造所等であるが、予防規程としては該当する個々の製造所ごとに作成するよりは、むしろ災害発生の関連性及び企業の有機的、一体的運営を勘案し、事業所単位に一の予防規程に集約し、該当するすべての危険物施設を網羅するように規定することが適当である。

3 内容の具体性の程度

予防規程の内容は、できるだけ具体的に記載させることが望ましいが、法律上の要件として綿密かつ詳細なものまで要求すべきではなく、具体性の程度は、関係当事者に委せるべきである。

ただ、指導上の指針としては、危険物施設の態様に応じ、複雑で規模の大きいものほど、より具体的で、かつ、詳しい内容になるように作成をさせるべきである。

しかし、この場合においても個々の作業にわたる基準や防災計画等まで記載させることは、予防規程を極めて繁雑なものとするおそれがあるので、このような場合は従業員等に対して火災予防上指針となる事項を概括的に記載させるに留め、具体的な細目や計画については法第16条の4の規定による資料の提出権又は質問権によつて把握するように努められたい。

4 記載事項

記載事項は、基本的事項と細目的事項とに分かれるが、基本的事項は、予防規程作成の目的を達しうる最少限度の内容に留めるべきである。

細目的事項は、火災その他の災害を防止するため、企業側が任意に記載した保安上の遵守事項や基本的事項に附随した事項がこれに該当するが、危険物施設以外の施設にわたる内容が記載されていても、これを排除すべきではない。

基本的事項はおおむね次のとおりである。

(1) 危険物施設において危険物の貯蔵又は取扱いの作業を行なう者及び取扱作業にかかる設備等の保守を行なう者並びに危険物施設の防火管理業務を行なう者の職務及び組織に関する事項

(2) 危険物施設における危険物の貯蔵又は取扱いにかかる作業の方法及び設備等に関する事項

(3) 危険物施設における火気の使用その他防火管理について一般的に遵守しなければならない事項

(4) 危険物施設において危険物の貯蔵又は取扱いの作業を行なう者及び保守を行なう者の保安教育に関する事項

(5) 危険物施設における設備等の検査に関する事項

(6) 危険物施設の設備等の整備及び補修に関する事項

(7) 危険物施設において火災等が発生した場合における消防活動その他応急措置に関する事項

5 認可基準

次の各号の一に該当するときは、認可を与えないものとする。

(1) 基本的事項が明確でないとき

(2) 予防規程に政令第4章の規定に達反するものがあるとき

(3) その他火災の予防上不適当と認められる事項があるとき

なお、給油取扱所に隣接して設置した灯油専用の一般取扱所その他これに類する簡易な危険物施設については、基本的事項についても適宜市町村長等において簡路化できるものとする。

6 他の保安法規の適用をうける危険物施設に対する取扱い

鉱山保安法第10条第1項の規定による保安規程を定めている製造所等及び火薬類取締法第28条の規定による危害予防規程を定めている製造所等は、予防規程を定めなければならない製造所等から除外されているが、このことはこれらの製造所等については予防規程の内容に相当する保安規程等があることを考慮したものである。

したがつて、政令第37条に規定する規模以上の危険物施設を有するこの種の事業所に対しては、法第16条の4の規定に基づき、当該事業所で定めた保安規程又は危害予防規程の提出を求めるものとする。

また、電気事業法に基づく保安規程の適用をうけている危険物施設については、当該保安規程の認可に影響を与えないよう考慮するものとする。

7 参考資料

政令第37条の規定により予防規程を定めなければならない製造所等の存する事業所の所有者、管理者又は占有者から、製造所等の区分、予防規程の適用の有無及び他の法律に基づく保安に関する規程の適用の有無を示した危険物施設の配置一覧表を予防規程の参考資料として提出させるよう指導するものとする。

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