報道資料

平成26年5月30日

消防庁

 

平成25年中の危険物に係る事故の概要の公表

 

消防庁では、今般、平成25年中(平成2511日~1231)に全国で発生した危険物に係る火災及び流出事故の概要を取りまとめました。

事故の発生件数については、前年に比べて減少しているものの、依然高い水準にあり、発生要因については、火災事故は人的要因が、流出事故は物的要因が多くを占めています。

このような状況を踏まえ、関係省庁と連携し、事業者が危険物等事故防止安全憲章に掲げた項目等について、積極的に取り組むように働きかけていきます。

 

○ 危険物施設における事故発生件数

平成25年中の事故発生件数は564件であり、前年に比べて9件減少しました。しかし、事故発生件数は依然高い水準で推移しており、平成元年以降、事故が最も少なかった平成6年と比べると、危険物施設数は減少しているにも関わらず、事故発生件数は約2倍に増加しています。

() 事故発生件数の年別の傾向を把握するために、東日本大震災その他震度6弱以上(平成89月以前は震度6以上)の地震により発生した件数を除いています。

○ 事故の発生要因(別紙参照)

最近の事故要因別発生件数の推移より、次のような特徴が分かります。

① 火災事故発生原因については、維持管理や操作に当たっての不手際など、人的要因によるものが多くを占めています。(火災事故発生件数188件中105)

② 流出事故発生原因については、腐食疲労等劣化など、物的要因によるものが多くを占めています。(流出事故発生件数376件中205)

○ 危険物事故防止対策の推進

上記の事故の状況等を踏まえ、危険物等に関わる業界全体での現状の課題や必要な取組等について認識を共有するとともに、事故防止の取組の推進及び更なる安全意識の高揚を図るため、危険物等事故防止懇談会が開催され、危険物等事故防止安全憲章が取りまとめられました。また、厚生労働省及び経済産業省と共に、石油コンビナート等における災害防止対策検討関係省庁連絡会議が開催され、重大事故の発生防止に向けて事業者や業界団体が取り組むべき対策及び関係機関の連携強化策として国や地方公共団体等が連携して取り組むべき事項に関する報告書※1が取りまとめられました(平成26516日付け報道発表)。これらの報告書等で提案されている取組事項を確実に実施していくことを主眼におきつつ、引き続き地震・津波対策の推進を図る観点から「平成26年度危険物事故防止アクションプラン」※2がまとめられました。

このような状況を踏まえ、関係省庁と連携し、事業者が危険物等事故防止安全憲章に掲げる項目等について、積極的に取り組むように働きかけていきます。

 

1.安全に関する技術の伝承・人材育成

危険物等を取り扱う施設の設備等の自動制御化の進展や担当業務の細分化・専門化に伴い、事故・トラブル経験が減少し、現場の危険予測・対応能力の弱まりにつながる危険性も高まっていることを踏まえ、安全に係る技術の伝承や人材育成を推進する。

2.設備等の安全性を向上させる取組

危険物等を取り扱う施設・設備等の設計部門と現場運用部門の連携を強化し、原理・原則の理解に基づく適切な現場運用、運用実態を踏まえた設備等の安全性の向上を図る。

3.安全対策を確実に実施するための体制作り

安全が事業の基礎であることを再認識し、企業経営陣の関与により現場の力を引き出し、安全対策を確実に実施する体制作りを推進する。

4.地震・津波対策の推進

地震想定や津波想定を踏まえたハード面及びソフト面双方における地震・津波対策の再検証を行うとともに、被害を最小限にするため、復旧対応等を適切に実施することができるよう、平常時から、事前計画の作成や、訓練等を通じた習熟度の向上を図る。

 

○ 平成25年中の危険物に係る事故の概要

 

※1 「石油コンビナート等における災害防止対策検討関係省庁連絡会議」について(平成26516日付け報道発表)

※2 「平成26年度危険物事故防止アクションプランの取組について」(平成26年5月16日付け消防危第131)

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