消防危218号
平成19年9月21日
各都道府県知事
各指定都市市長 殿
消防庁次長
危険物の規制に関する規則等の一部改正について
危険物の規制に関する規則の一部を改正する省令(平成19年総務省令第106号)、危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示の一部を改正する件(平成19年総務省告示第532号)及び化学に関する学科又は課程を修めて卒業した者等が甲種危険物取扱者試験の受験資格を有する学校を定める件の一部を改正する件(平成19年消防庁告示第5号)が本日公布され、平成19年10月1日(一部の事項については平成20年4月1日)から施行されることとなりました。
今回の改正は、顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所(以下「セルフスタンド」という。)における給油時の静電気火災等を防止するため必要な安全対策を講ずること、近年の専修学校教育の高度化等を踏まえ、甲種危険物取扱者試験の受験資格の追加を行うこと等を主な内容とするものです。
貴職におかれましては、下記事項に十分留意の上、その運用に配慮されるとともに、各都道府県知事におかれましては、貴都道府県内の市町村に対してもこの旨周知されるようお願いします。
なお、本通知中においては、法令名について次のとおり略称を用いたので御承知おき願います。
危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号) ・・・・・・・規則
危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示(昭和49年自治省告示第99号) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・告示
化学に関する学科又は課程を修めて卒業した者等が甲種危険物取扱者試験の受験資格を有する学校を定める件(平成6年消防庁告示第8号) ・・・・・消防庁告示
危険物の規制に関する規則の一部を改正する省令(平成19年総務省令第106号) ・・・・・・・・・・・・・・・・改正省令
危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示の一部を改正する件(平成19年総務省告示第532号) ・・・・・・・・・・・・・・・改正告示
化学に関する学科又は課程を修めて卒業した者等が甲種危険物取扱者試験の受験資格を有する学校を定める件の一部を改正する件(平成19年消防庁告示第5号) ・・・・・・・・・・・・・・改正消防庁告示
記
第1 セルフスタンドにおける安全対策に関する事項
セルフスタンドにおける給油時の静電気対策及び燃料の吹きこぼれ対策については、これまで「顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所における静電気対策について」(平成13年8月13日付け消防危第95号)及び「顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所における給油時の安全対策について」(平成19年3月16日付け消防危第61号)を通知し、セルフスタンドの関係者への指導等を依頼してきたところであるが、今回、セルフスタンドにおける顧客に自ら自動車等に給油させるための固定給油設備(以下「顧客用固定給油設備」という。)の給油ノズルの技術基準に係る規則の規定を見直し、安全対策の徹底を図ることとしたものであること。
なお、これらの安全対策は、顧客用固定給油設備について適用されるものであるが、その他の固定給油設備についても同様の対策を講ずることが望ましいものであること。
1 給油時の静電気火災の防止対策
セルフスタンドにおける給油時の静電気火災を防止するため、引火点が40度未満の危険物を取り扱う給油ノズルについて、給油中に人体に蓄積された静電気を有効に除去することできる構造とすることを義務付けたこと。ただし、自動車等の燃料タンクに給油するときに放出される可燃性の蒸気を回収する装置を設けた顧客用固定給油設備については、適用が除外されるものであること(規則第28条の2の5第2号ハ関係)。
2 給油時の吹きこぼれ対策
セルフスタンドにおける吹きこぼれ事故時の被害を極小化するため、自動車等の燃料タンク給油口から危険物が噴出した場合において顧客に危険物が飛散しないための措置を危険物を取り扱う給油ノズルに講ずることを義務付けたこと(規則第28条の2の5第2号ニ関係)。
3 その他の事項
既に設置されているセルフスタンドにおける給油ノズルの改修について、その改修が1及び2の技術基準に適合するためものに限られる場合は、消防法第11条第1項後段の規定による変更の許可を要しない軽微な工事として取り扱って差し支えのないものであること。
第2 甲種危険物取扱者試験の受験資格に関する事項
1 高等学校、中等教育学校の専攻科の追加
高等学校、中等教育学校の専攻科のうち、修業年限が2年以上のものについては、一部の受験資格試験等において短期大学と同様の取扱がなされていること等を踏まえ、当該専攻科において、化学に関する課程の修了者に甲種危険物取扱者試験の受験資格を認めることとしたこと(規則第53条の3第1号関係)。
2 専修学校の追加
近年の専修学校教育の高度化等に伴い、一定の要件を満たす専修学校専門課程(専門学校)の卒業者は、大学に編入学できる等、短期大学及び高等専門学校の卒業者と同等の取扱いがなされていることを踏まえ、学校教育法(昭和22年法律第26号)第82条の10に規定する専門課程(修業年限が2年以上かつ課程の修了に必要な総授業時間数が1,700時間以上の基準を満たす専門課程)において化学に関する学科又は課程の修了者に甲種危険物取扱者試験の受験資格を認めることとしたこと(規則第53条の3第1号関係)。
また、当該専門課程において、化学に関する授業科目を専修学校設置基準(昭和51年文部省令第2号)により換算した単位を通算して15単位以上取得した者にも、甲種危険物取扱者試験の受験資格を認めることとしたこと(規則第53条の3第2号関係)。
なお、当該専門課程には、大学院への入学資格が付与される専門課程(修業年限が4年以上かつ課程の修了に必要な総授業時数が3,400時間以上等の基準を満たす専門課程)も当然含まれるものであること。
3 4種類以上の乙種危険物取扱者
複数の類の乙種危険物取扱者の資格を有する者は、危険物法令や取得した類の危険物の性質、消火方法等について必要な知識を有していることから、一定の種類の乙種危険物取扱者の資格を有する者に甲種危険物取扱者試験の受験資格を認めることとしたこと。
具体的には、乙種危険物取扱者のうち取り扱うことができる危険物及びその取扱いに関して立ち会うことができる危険物の種類が、第1類又は第6類の危険物、第2類又は第4類の危険物、第3類の危険物及び第5類の危険物である者が対象となるものであること(規則第53条の3第5号関係)。
4 工業の高校普通免許状所有者の削除
高校普通免許状所有者について、実質的に規則第53条の3第3号の要件を満たすと考えられること、「教科に関する専攻科目」は教育職員免許法令にはない概念であり、実務上も判断基準がないことを踏まえ、削除したこと。
なお、かつての国立工業教員養成所の修了者について、無条件で工業の教科の普通免許状が授与されることを踏まえ、甲種危険物取扱者試験の受験資格を認めることとしたこと(規則第53条の3第6号、消防庁告示第1号ホ関係)。
5 外国に所在する学校に係る規定の見直し
規則第53条の3第1号に規定する「消防庁長官が定める学校」として、消防庁告示で定められていた外国における大学等に関する規定について、外国に所在する大学及び高等専門学校に相当する学校を指すものとして明確にしたこと(消防庁告示第1号チ関係)。
6 その他の改正事項
今回の改正にあわせ、規則と消防庁告示における受験資格の規定について整理を行ったものであること。
ただし、前記の改正事項以外については、実質的な変更はないものであること。
第3 運搬容器の特例に関する事項
ゴムその他の合成樹脂製の容器で、腐食、摩耗等により容易に劣化せず、かつ、収納する危険物の内圧及び取扱い時の荷重によって、当該容器に生ずる応力に対して安全なもの(鋼製のコンテナに収納されているものに限る。)として、規則別表第3又は別表第3の2の基準に適合する容器と安全上同等以上であると認められている容器(いわゆる「フレキシブルコンテナ」)については、従来第4類の危険物のうち動植物油類を運搬することが可能とされていたが、新たに第3石油類(引火点が130度以上のものに限る。)及び第4石油類についても運搬することが可能とされたものであること(告示第68条の2の2第4号関係)。
第4 施行期日等
1 施行期日
第1及び第3の改正事項については平成19年10月1日から、第2の改正事項については平成20年4月1日から施行するものとしたこと(改正省令附則第1条、改正告示附則、改正消防庁告示制定文関係)。
2 経過措置
セルフスタンドにおける給油ノズルの技術基準について、改正省令の施行前に設置されている給油ノズルについては、平成19年11月30日までの間は、なお従前の例によることとしたこと(改正省令附則第2条関係)。
以上