消防危第61号
平成19年3月16日
各都道府県消防防災主管部長
東京消防庁・各指定都市消防長 殿
消防庁危険物保安室長
顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所における給油時の安全対策について
顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所(以下「セルフスタンド」という。)における給油時の安全対策については、これまで、静電気対策に関して「顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所における静電気対策について」(平成13年8月13日付け消防危第95号)等を、燃料の吹きこぼれ対策に関して「顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所における吹きこぼれ対策について」(平成18年8月4日付け消防危第181号)を通知し、セルフスタンドの関係者への指導等をお願いしているところです。
消防庁においては、セルフスタンドの給油の一層の安全を図るため、昨年9月から「セルフスタンドにおける給油時の安全確保に関する調査検討会」(委員長平野敏右千葉科学大学学長)を開催し、燃料の吹きこぼれ対策及び静電気火災の防止対策について調査検討を進めてまいりましたが、先般、報告書が取りまとめられました。
これを踏まえ、給油中の静電気火災及び燃料の吹きこぼれを防止するために実施すべき事項を下記のとおり取りまとめましたので、セルフスタンドの関係者に対し、周知徹底を図られるようお願いします。
あわせて、都道府県消防防災主管部長におかれましては、貴都道府県管内市町村に対してもこの旨周知されるようお願いします。
記
1 給油時の静電気火災の防止対策
給油時の静電気火災は、人体に帯電した静電気の除去が十分になされない場合に発生するおそれがあることから、次の対策を講ずること。
(1) ノズルの導電性の確保
最近給油中に発生している静電気火災の多くは、固定給油設備のノズルの手で触れる部分が導電性のないことによるものと考えられることから、次のとおりノズル(可燃性蒸気回収装置を備えているものを除く。)の導電性を確保すること。
これについては、火災発生危険性の高いガソリンを給油する給油ノズルを優先して実施すること。あわせて、灯油又は軽油を詰め替える固定注油設備のノズルについても実施すること。
① ノズルの導電性の確認
ノズルの握りの部分及びレバーについて、導電性のあるものであるか否かを確認すること(別紙参照)。
なお、導電性が不明な場合には、導電性がないものとみなすこと。
② ノズルの導電性の確保
①の確認の結果、ノズルの握りの部分及びレバーが共に導電性のないものである場合には、握りの部分のプラスチックカバーを取り外し、レバーを導電性のある材質のものに交換する等人体に蓄積した静電気を有効に除去できる構造のものとすること。
(2) 給油キャップ開放時の静電気火災の防止
従来どおり、給油キャップを開放する前に、給油客が静電気除去シートに触れるよう周知すること。
(3) 固定給油設備等の接地(アース)の確認
上記の(1)及び(2)の対策は、いずれも、固定給油設備及び固定注油設備の静電気除去装置が有効に機能することが前提となるものであることから、当該装置が有効に機能していることを確認するとともに、十分に機能していない場合には速やかに改修すること。
2 給油時の燃料の吹きこぼれ防止対策
燃料の吹きこぼれは、不適切な給油方法や損傷している給油ノズルで給油することにより発生するものと考えられることから、次の対策を講ずること。
(1) 適切な給油方法の周知
次に掲げる適切な給油方法により給油するよう給油客に周知すること。
なお、早期に満量停止装置が頻繁に作動することが繰り返し発生する場合には、自動車メーカーに相談するように給油客に周知すること。
① 給油ノズルを止まるところまで確実に差し込む。
② 給油ノズルのレバーを止まるところまで確実に引く。
③ 自動的に給油が止まったら、それ以上の給油はしない。
④ 給油後は、給油ノズルを確実に元の位置に戻す。
給油開始後、早期に満量停止装置が作動し、給油できない場合には、給油方法についてセルフスタンドの従業員に指示を仰ぐ。
(2) 給油ノズル等の維持管理
消防法令に定められている点検に加え、随時日常点検を行い、給油ノズル等に故障のないこと(基準に適合していること)を確認すること。
(3) スプラッシュガードの設置
給油ノズルにスプラッシュガード(ガソリン等が吹きこぼれても人体にかかるのを防ぐためのつば状の部品)を設置すること。