消防危第89号

平成9年9月1日

各都道府県消防主管部長 殿

消防庁危険物規制課長

 

特定屋外貯蔵タンクの溶接施工方法確認試験について(通知)

 

特定屋外貯蔵タンクの溶接施工方法確認試験の方法等については、危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示第4条の21の2に規定されているところであるが、同条第1項第1号に規定されている「これに準ずるもの」等の内容については、「危険物の規制に関する規則の一部を改正する省令等の施行について」(平成9年3月26日付け消防危第29)において、別途通知することとしていたところである。

このたび、特定屋外貯蔵タンクの鋼板、溶接材料、溶接方法等の組合せがほぼ同等であり、同一となる溶接条件に準ずるとみなし得る溶接条件の区分について、下記のとおり定めたので通知する。

溶接施工方法確認試験については、従前から危険物保安技術協会で実施してきたところであるが、引き続き、改正内容に即して実施することとしていることを申し添える。

なお、貴管下市町村に対してもこの旨示達され、よろしく御指導願いたい。

 

 

溶接施工方法確認試験は、次に定める溶接条件の区分の組合せがすべて同一となる場合においては、同一の溶接条件に準ずるとみなすものとする。

 

1 鋼板の厚さ

(1) 突合せ継手

試験材の厚さに応じ、次表に定める厚さを区分とする。なお、板厚が異なる場合は、薄い方の板の厚さによる。

試験材の厚さ()

鋼板の厚さ

10㎜未満

3.2㎜以上で試験材の厚さの2倍以下※

10㎜以上

4.5㎜以上で試験材の厚さの2倍以下※

※ 各ビードの厚さが13㎜を超える場合、試験材の厚さの1.1倍以下

(2) 重ねすみ肉継手

試験材の厚さの組合せを区分とする。なお、鋼板の板厚が異なる場合は薄い方の板の厚さによる。

(3) T継手

アニュラ板又は底板用試験材の厚さを12㎜以下、12㎜を超え15㎜以下、15㎜を超え18㎜以下、18㎜を超え21㎜以下、21㎜を超えるものに区分し、これに応じてアニュラ板又は底板の鋼板の厚さを同様の区分とする。

 

2 鋼板の種類

鋼板の種類の区分は次表による。なお、材料規格には同等以上の機械的性質及び溶接性を有する材料を含むものとし、2以上の鋼板の種類を使用する場合は、その組合せを1区分とする。

種類

材料規格

軟鋼

SS400SM400SMA400SPV235

50kg級高張力鋼

SM490SMA490SM520SPV315SPV355SM490Y

60kg級高張力鋼

SM570SM570SPV450SPV490

高張力鋼で、焼入れ及び焼戻しによって規定の性質を得るもの

SM570QSMA570QSPV450QSPV490Q

 

3 被覆アーク溶接棒

日本工業規格Z3211「軟鋼用被覆アーク溶接棒」、Z3212「高張力鋼用被覆アーク溶接棒」及びZ3221「ステンレス鋼被覆アーク溶接棒」をそれぞれ1区分とする。これ以外のものについては、溶接棒の種類ごとに区分する。

なお、2種類以上の溶接棒を併用する場合は、その組合せごとに区分とする。

 

4 フラックス

フラックスの種類ごとに区分とする。

 

5 溶接用ワイヤ

マグ溶接用ワイヤ、ティグ溶接用ワイヤ、ミグ溶接用ワイヤ及びサブマージアーク溶接用ワイヤごとに区分とする。ただし、ミグ及びマグ溶接ワイヤについては、ソリッドワイヤとフラックス入りワイヤをそれぞれ1区分とする。これ以外のワイヤについては、溶接用ワイヤの種類ごとに区分とする。

 

6 溶接姿勢

溶接姿勢の区分は、下向き、横向き及び立向きとする。

 

7 溶接方法

次表に示す溶接方法の種類ごと、又はその組合せにより区分とする。

種類

備考

被覆アーク溶接

手動

サブマージアーク溶接

自動

テイグ溶接

手動

ミグ溶接

半自動

マグ溶接(炭酸ガス溶接を含む)

半自動

自動アーク溶接

上記の溶接方法の内で自動で行うもの

なお、エレクトロガスアーク溶接、エレクトロスラグ溶接などはそれぞれ1区分とする。

 

8 予熱

予熱は、それを行うか行わないかにより区分とする。また、予熱を行う場合は、その温度の下限を区分とする。

 

9 溶接後熱処理

溶接後熱処理の区分は、それを行うか行わないかにより区分とする。また、溶接後熱処理を行う場合は保持温度の下限と最低保持時間の組合せにより区分とする。

 

10 シールドガス

シールドガスの区分は、その種類ごとに区分とする。なお、2以上のガスを混合する場合には、その組合せごとに1区分とする。

 

11 裏面からのガス保護

裏面からのガス保護の区分は、それを行うか行わないかにより区分とする。

 

12 電極

電極の区分は、単極又は多極とする。

 

13 層盛り

多層盛りと一層盛りにより区分とする。

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