消防危第29号

平成9年3月26日

各都道府県消防主管部長 殿

消防庁危険物規制課長

 

危険物の規制に関する規則の一部を改正する省令等の施行について

 

危険物の規制に関する規則の一部を改正する省令(平成9年自治省令第12)及び危険物の規則に関する技術上の基準の細目を定める告示の一部を改正する件(平成9年自治省告示第65)が、本日公布され、一部の事項については本日から、他の事項については平成941日又は同年91日から施行されることとされた。

今回の改正は、危険物を取り扱う建築物に用いることができる不燃材料の範囲を拡大すること、屋外タンク貯蔵所の変更に係る溶接工事に伴う手続について検査等の簡略化等を図ること、特定屋外貯蔵タンクの溶接工事において行われる溶接施工方法確認試験を明確化すること等を主な内容とするものである。

貴職におかれては、下記事項に十分留意の上、その運用に遺憾のないよう配慮されるとともに、貴管下市町村に対してもこの旨示達の上、よろしく御指導願いたい。

なお、本通知中においては、改正後の省令名等について、次のとおり略称を用いたので承知されたい。

消防法(昭和23年法律第186)・・・法

危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306)・・・令

危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55)・・・規則

危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示(昭和49年自治省告示第99)・・・告示

 

 

第1 危険物を取り扱う建築物に用いることができる不燃材料の範囲に関する事項

危険物を取り扱う建築物に用いることができる不燃材料の範囲については、令第9条第1項第1号の規定により、「建築基準法(昭和25年法律第201)第2条第9号の不燃材料のうち、自治省令で定めるものをいう」こととされ、これにより、従来、不燃材料は、コンクリート、れんが、石綿板、鉄鋼、アルミニウム、モルタル及びしっくいとするというように限定的に列挙されてきたところであるが、今回の改正により、建築基準法令において不燃材料として扱われているものは、ガラスを除き、令第9条第1項第1号の不燃材料として認めることとされたこと(規則第10条関係)

なお、危険物を取り扱う建築物の壁、柱、床、はり、屋根等の主要構造部は不燃材料で造ることとされているため、これらの部分にガラスを用いることはできないが、建築物の窓又は出入口に網入りガラス等を用いることについては従前のとおりであるので、留意すること。

 

第2 屋外タンク貯蔵所の変更に係る溶接工事に伴う完成検査前検査に関する事項

1 特定屋外タンク貯蔵所の溶接部に係る放射線透過試験等

特定屋外タンク貯蔵所のタンク本体の側板のうち、接液部以外の側板に係る溶接部であって、取替え工事を除く変更のための工事に係る溶接部については、放射線透過試験、磁粉探傷試験又は浸透探傷試験の基準が適用されないこととされたこと(規則第20条の7及び第20条の8関係)

ここで、接液部とは、タンク容量(令第5条第2項のタンクの容量をいう。)の危険物を貯蔵する場合に当該危険物に接する部分の側板(1の側板の下部のみが当該危険物に接する場合は、その接する部分のみをいう。)のことをいい、また、取替え工事には、板の全取替えのみならずはめ板による工事も含まれるので、留意すること。

2 特定屋外タンク貯蔵所の溶接部に係る漏れ試験

1により、放射線透過試験等の基準が適用されないこととされた溶接部について、新たに漏れ試験の基準の適用対象に追加されたこと(規則第20条の9関係)

3 屋外タンク貯蔵所に係る水張試験の特例

(1) 令第11条第5項の規定により、屋外タンク貯蔵所について自治省令に定める変更の工事が行われた場合は、自治省令で水張試験又は水圧試験に関する基準の特例を定めることができることとされており、従来よりノズル、マンホール等の取付工事、屋根に係る工事等については、水張試験に関する基準の適用が除外されていたところであるが、今回の改正により、水張試験の基準が適用されない変更の工事として新たに次のものが追加されたこと(規則第22条の4第1項第2号、第5号、第6号及び第8号関係)

ア ノズル、マンホール等に係る溶接部の補修工事

イ 側板に係る肉盛り補修工事(溶接部に対する熱影響が軽微なものに限る。)

ウ 接液部以外の側板に係る溶接部の補修工事

エ 底部に係る肉盛り補修工事(溶接部に対する熱影響が軽微なものに限る。)

ここで、溶接部に対する熱影響が軽微な肉盛り補修工事とは、溶接継手から母材の板厚の5倍以上の間隔を有している肉盛り補修工事をいうものであること。

(2) 底部に係る重ね補修工事に関しては、平成6年9月1日付け消防危第73号通知「危険物の規則に関する規則の一部を改正する省令等の施行について」において、底部のうち、側板から600mm未満の範囲における重ね補修工事が今後行われることがないよう指導をお願いしていることにかんがみ、今回、当該工事が水張試験の特例をうける工事の範囲から除外されたこと(規則第22条の4第1項第7号関係)

4 その他改正後の屋外貯蔵タンクの変更の工事に係る完成検査前検査等については別図を参照のこと。

 

第3 溶接施工方法確認試験に関する事項

特定屋外貯蔵タンクの溶接方法については、昭和52年3月30日付け消防危第56号消防庁次長通知「危険物の規制に関する政令及び消防法施行令の一部を改正する政令等の施行について」の第4.2(3)にあるように、溶接施工方法確認試験(以下第3において「試験」という。)により確認されたものでなければならないこととされていたところであるが、今回の改正により、この試験が特定屋外貯蔵タンクの溶接の方法に係る技術上の基準として位置づけられるとともに、試験の方法等が改められ、その内容が告示に規定されたこと(規則第20条の4第3項後段及び告示第4条の21の2関係)

なお、次の事項に留意されたい。

1 この試験に係る基準は、いわゆる旧法タンク(危険物の規制に関する政令の一部を改正する政令(昭和52年政令第10)施行の際、現に法第11条第1項前段による許可を受け、又は当該許可の申請がされている特定屋外タンク貯蔵所において、同令附則第3項により令第11条第1項第3号の2及び第4号に定める技術上の基準の適用が除外されるタンク)には適用がないこととなるが、これらのタンクの溶接の方法についても、試験において確認されることが望ましいこと。

2 試験は、申請の都度行わなければならないものではなく、既往の確認試験結果によっても差し支えないこと。

3 告示第4条の21の2第1項第1号に規定する「これに準ずるもの」の内容等については、別途通知する予定であること。

4 試験については、第三者機関による確認がなされていることが望ましいこと等から、これまで、溶接施工者等に対し危険物保安技術協会で行われてきたところであるが、今回の改正内容に即したものとして引き続き行われる予定であること。

 

第4 その他の改正事項

1 高圧ガス取締法令の改正に伴う規定の整備

高圧ガス取締法令における改正に伴い、引用法律及び条項名並びに計量単位が改正され、所要の規定の整備が図られたこと(規則第20条の5の2第1号関係)

2 気象庁震度階級表の制定に伴う規定の整備

気象庁より発表される震度階が計測震度として見直されたことに伴い、移送取扱所の災害防止として講じる措置の震度階級が改められたこと(規則第40条の4第2号及び第3号関係)

なお、この改正によって従来の措置と内容が変わるものではないこと。

3 その他日本工業規格の改正に併せた所要の規定の整備が図られたこと(告示第20条第2号関係)等。

 

第5 施行期日及び経過措置

1 施行期日

施行期日については、次に掲げる事項ごとに、それぞれ次に掲げるとおりとされたこと。

(1) 第1の危険物を取り扱う建築物に用いることができる不燃材料の範囲に関する事項、第2の屋外タンク貯蔵所の変更に係る溶接工事に伴う完成検査前検査に関する事頃及び第4のその他の改正事項(1の高圧ガス取締法令の改正に伴う規定の整備を除く。)については、公布の日

(2) 第4のその他の改正事項のうち、1の高圧ガス取締法令の改正に伴う規定の整備については、平成941

(3) 第3の溶接旋工方法確認試験に関する事項については、平成991

2 経過措置

(1) 第2の屋外タンク貯蔵所の変更に係る溶接工事に伴う完成検査前検査に関する事項の3の(2)に関し、この省令の施行(公布の同)の際、現に底部のうち側板から600mm未満の範囲における重ね補修工事を行い、又はそのための変更許可の申請を行っている屋外タンク貯蔵所については、当該変更の許可に係る工事に限り、水張試験の特例を受けることとされたこと。

(2) 第3の溶接施工方法確認試験に関する事項に関し、規則第20条の4第3項後段及び告示第4条の21の2の規定の適用については、これらに係る改正規定の施行の日(平成991)以後に、変更許可の申請を行う特定屋外タンク貯蔵所の溶接工事に係る溶接の方法について適用することとされたこと。

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