消防予第105号

昭和46年7月27日

都道府県知事 殿

消防庁長官

 

消防法の一部を改正する法律の施行について

 

65回国会で成立した消防法の一部を改正する法律は、昭和46年6月1日法律第97号をもって公布され、原則として、同日から施行されることとなった。

今回の改正は、最近における火災の実態にかんがみ、危険物の保安の確保を図るため、危険物取扱者制度の整備、危険物の品名の整理統合及び指定数量の合理化並びに移動タンク貯蔵所による危険物の移送の監視等の措置を講ずるとともに、旅館、中高層建築物等における防火管理の一層の徹底を図るため、消防機関がこれらの建築物等の関係者に対し防火管理者を定めるべきことを命ずることができることとする等の措置を講じたものである。

貴職におかれては、今回の法改正のもつ意義を十分把握され、下記事項にご留意のうえ、その運用に遺憾のないよう格段の配慮をされるとともに、管下市町村に対しでも、この旨示達のうえ、よろしくご指導願いたい。

 

 

第1 防火管理に関する事項

消防長又は消防署長は、防火管理者が定められていないと認める場合文は共同防火管理に関し必要な事項が定められていないと認める場合には、防火管理者を定め、又は共同防火管理に関し必要な事項を定めるべきことを命ずることができるものとされたこと(消防法(以下「法」という。)第8条第3項及び第8条の2第3項)

本規定は、従来、これらの義務違反に対して行政的にこれを是正する手段がないため、昨年暮に火災による大惨事をひき起した水戸市の中央ピルのように、違反事実がそのまま放置される事例もあったことにかんがみ、行政的手段としての是正命令権を消防機関に与えたものであること。したがって、消防機関においては、この是正命令権を十分に活用し、防火管理のより一層の徹底を図られたいこと。

 

第2 危険物に関する事項

1 危険物施設の完成検査前の仮使用の承認

従来、危険物施設の位置、構造又は設備の変更の許可を受けて変更の工事を開始した場合は、完成検査を受けるまでの問、当該施設の全部を使用することができないものとされていたが、当該施設のうち当該変更の工事に係る部分以外の部分を使用することについて市町村長等の承認を受けたときは、完成検査を受ける前においても、仮に当該承認を受けた部分を使用することができるものとされたこと(法第11条第3項ただし書)。なお、本規定については、次の事項に留意されたいこと。

(1) 仮使用の承認にあたっては、当該仮使用の承認申請に係る施設の部分が、変更の工事中においても、火災の発生及び延焼のおそれが著しく少ない部分であるかどうかを調査し、必要に応じ防火上の措置を講ずるよう指導のうえ、火災の発生及び延焼のおそれが著しく少ないと認められる場合に限り承認されたいこと。

(2) 仮使用の承認申請に係る申請書の様式は、別記様式第1によられたいこと。

(3) 仮使用の承認を受け、仮使用を開始する場合には、当該仮使用をする場所の見やすい箇所に仮使用の承認を受けている旨の別記様式第2に定める掲示板を掲げるよう指導されたいこと。

(4) 仮使用の承認の効力の終期は、当該変更に係る製造所等について完成検査済証が交付される日であること。ただし、仮使用の承認に係る部分以外の部分を法に違反して使用した場合は、仮使用の承認を取り消し、又は法第12条の2第2号により使用停止命令を発することとされたいこと。

(5) 仮使用の承認については、手数料の徴収が認められるものとされたこと(法第16条の3)

2 危険物取扱者等

(1) 従来、危険物取扱主任者試験に合格し、免状の交付を受けた者で、あっても、事業主が危険物取扱主任者として選任しない限り危険物を取り扱うことができないこととされていたが、今回、危険物取扱者試験に合格し、免状の交付を受けた者を危険物取扱者とし、危険物取扱者は、すべて選任等の手続を要することなく、危険物を取り扱うことができるものとされたこと(法第13条第3項)

このように、従来の危険物取扱主任者の職務のうち、危険物の取扱作業は危険物取扱者が行なうことができることとされたことに伴い、危険物施設の総括的な保安の監督については、甲種又は乙種危険物取扱者のうちから、当該施設の保安の監督をする者(以下「保安監督者」という。)を選任し、これに当該職務を行なわせなければならないものとされたこと(法第13条第1項)。なお、このことに関しては、次の事項に留意されたいこと。

ア 保安監督者については、危険物施設の保安の監督の責任を明確にするために、原則としては、1の施設につき1人とすべきであるが、当該施設の態様、規模、位置等からみて十分な保安の監督が可能な場合には、1の危険物取扱者を2以上の施設の保安監督者とすることができること。

イ 保安監督者を定めなければならない施設は、貯蔵し、又は取り扱う危険物の種類、数量及び取扱いの態様を勘案のうえ、政令で指定するものとされたこと(危険物の規制に関する政令第31条の2)

(2) 危険物取扱者の免状は、甲種危険物取扱者免状、乙種危険物取扱者免状及び丙種危険物取扱者免状の3種類とし、(法第13条の2第1項)、甲種又は乙種危険物取扱者が取り扱うことができる危険物の種類は、それぞれ従来の甲種又は乙種危険物取扱主任者が取り扱うことができた危険物の種類と同様であり、丙種危険物取扱者が取り扱うことができる危険物の種類は、ガソリン、灯油、軽油、重油、第4石油類及び動植物油類とされたこと(法第13条の2第2項危険物の規制に関する規則(以下「規則」という。)第49条)。なお、丙種危険物取扱者は、小規模な施設において自ら簡易な取扱作業を行なう者のために設けられた資格制度であり、甲種又は乙種危険物取扱者の場合と異なり、無資格者による危険物の取扱作業の立会い権限は認められないものであること(法第13条第3項)

(3) 甲種及び乙種危険物取扱者は、従前の危険物取扱主任者と同様な資格であるので、改正前に危険物取扱主任者免状の交付を受けている者又は危険物取扱主任者試験に合格している者は、それぞれ危険物取扱者免状を受けた者又は危険物取扱者試験に合格した者とみなすものとしたこと(附則第5項及び第6項)

(4) 都道府県知事は、危険物取扱者試験を毎年1回以上行なうべきことが法定された(法第13条の3第3項)が、丙種危険物取扱者試験については、後記3のように、移動タンク貯蔵所に危険物取扱者を乗車させなければならないものとされたこと(法第16条の2)に伴い、必要とされる丙種危険物取扱者数を確保するため、施行日から昭和47930日までの聞において、少なくとも2回以上行なうように努めなければならないものとされたこと(附則第7項)

(5) 石油化学等の進歩により、次々に新たな危険物が出現し、これに対応してその貯蔵及び取扱いの方法も常に変化し、技術上の基準を定める法令の改正もますます多く行なわれる傾向にあることにかんがみ、製造所等において危険物の取扱作業に従事する危険物取扱者は、一定期間ごとに都道府県知事(自治大臣が指定する市町村長等を含む。)が行なう講習を受けなければならないものとされたこと(法第13条の5規則第58条の2)。なお、本規定については、次の事項に留意されたいこと。

ア 講習を受ける義務は、危険物取扱者免状の交付を受けている者のうち、現に危険物の取扱作業に従事している者に課せられているものであって、単なる免状所有者で、あって危険物の取扱作業に従事することのない者は、受講義務の対象とならないものであること。なお、「危険物の取扱作業に従事する者」には、保安監督者も含まれるものであること。

イ 自治大臣が指定する市町村長その他の機関については、現在指定されているものはないが、指定され次第示す予定であること。

ウ 講習を受ける義務がある危険物取扱者が受講すべき期間内に受講しなかった場合は、法の義務規定に違反したこととなるので、法第13条の2第5項の規定に基づき危険物取扱者免状の返納を命ずることができること。

(6) 今回の改正に関連して、昭和35727日付け自消甲予発第2号各都道府県知事あて消防庁長官通達「危険物取扱主任者免状及び映写技術者免状に関する事務処理手続について」を廃止し、今後の取扱いについては、別紙「危険物取扱者免状に関する事務処理手続について」によるものとしたこと。

3 危険物の移送

(1) 移動タンク貯蔵所により危険物を移送するときは、当該移送する危険物を取り扱うことができる危険物取扱者が乗車していなければならないものとされたこと(法第16条の2第1項)。なお、本規定については、次の事項に留意されたいこと。

ア 危険物の移送に関し移動タンク貯蔵所に危険物取扱者を乗車させなければならない義務のある者は、一般的には、移動タンク貯蔵所の所有者、管理者、占有者、運転者等で移送行為に関し責任を有する者であること。

イ 運転者自身が危険物取扱者である場合には、必らずしも運転者のほかに危険物取扱者を乗車させる必要はなく、当該運転者が乗車していることをもって足りるものであること。

ウ 本条の規定は、移動貯蔵タンクに危険物を収納することなく走行する場合は適用されないものであること。

(2) 移動タンク貯蔵所に乗車する危険物取扱者は、危険物の移送に関し政令で定める基準を遵守し、かつ、当該危険物の保安の確保について細心の注意を払わなければならないものとされたこと(法第16条の2第2項)

(3) 危険物取扱者は、危険物の移動タンク貯蔵所に乗車しているときは、危険物取扱者免状を携帯していなければならないものとされたこと(法第16条の2第3項)

4 停車命令等

危険物の移送に伴う火災の防止のため特に必要があると認める場合は、消防吏員又は警察官は、走行中の移動タンク貯蔵所を停止させ、危険物取扱者に対して危険物取扱者免状の提示を求めることができるものとされたこと。また、消防吏員及び警察官がその職務を行なう場合は、相互に密接な連絡をとるものとされたこと(法第16条の4第2項)。なお、本規定については、次の事項に留意されたいこと。

(1) 「危険物の移送に伴う火災の防止のため特に必要があると認める場合」とは、移動タンク貯蔵所から危険物が漏れ出ている等ひっ迫した危険がある場合はいうまでもなく、交通がふくそうしている道路又は密集市街地内の道路を走行する場合等、移動タンク貯蔵所による事故が発生する危険性が大きい場合をいうものであること。

(2) 移動タンク貯蔵所を停止させた場合は、危険物取扱者免状の提示を求めるとともに、法第16条の4第1項の規定に基づく立入検査を実施されたいこと。

また、立入検査の結果、構造及び設備の技術上の基準又は貯蔵若しくは取扱いの技術上の基準に違反していると認める場合は、その違反の内容に応じて、第1に、当該移動タンク貯蔵所が当該立入検査を行なう市町村長の許可に係るものであるときは、法第11条の3若しくは第12条第2項又は第12条の2の規定に基づく基準適合命令又は使用停止命令を発し、第2に、当該移動タンク貯蔵所が当該立入検査を行なう市町村長以外の行政庁の許可に係るものであるときは、法第3条の規定に基づく必要な措置命令を発し、また、第3に、当該移動タンク貯蔵所が無許可のものであるときは、法第16条の5の規定に基づく必要な措置命令を発する等の措置をとられたいこと。なお、違反に対する処分を行なった場合には、その移動タンク貯蔵所が当該立入検査を行なった市町村長以外の行政庁の許可に係るものであるときは、当該移動タンク貯蔵所の設置又は変更の許可をした行政庁に通報されたいこと。

(3) 消防吏員及び警察官は、走行中の移動タンク貯蔵所を停止させる等の職務を行なうに際しては、互いに密接な連絡をとる限り、それぞれ独自にその権限を行使することができるが、走行中の移動タンク貯蔵所から危険物が漏れ出ている等明白に危険がひっ迫している場合を除き、両者は、努めて協同してその職務を行なうよう運用されたいこと。なお、このことに関しては、警察庁においても同様な指示が行なわれる予定であるので承知されたいこと。

【編注】(1)(3)までの部分は、昭和61年消防危120号により変更されている。

5 別表に関する事項

(1) 第1類の危険物の過酸化物A及び過酸化物Bが過酸化物に改められ、あわせて、これら品名に関する備考が削られたが、この品名の改正は、単なる品名の総合で、あって、これにより、危険物としての物品の範囲が改められたものではないこと。

(2) 特殊引火物という品名及びその指定数量が新たに設けられ、あわせて、特殊引火物としての物品の範囲が備考に定められたこと(別表備考2)

これにより、従来、第1石油類に含まれていた酸化プロピレン、イソベンタン、イソプレン、ジビニノレエーテノレ等のほか、品名として掲げられていたエーテル、二硫化炭素、コロジオン及びアセトアルデヒドが特殊引火物に含まれることとなり、これに伴いエーテノレ等の品名が別表から削られたこと。

(3) 第1石油類としての物品の範囲を定める備考が改められたこと(別表備考3)

これにより、従来、危険物とされていなかった第3ブチルアルコール等のほか、品名として掲げられていたアセトンが第1石油類に含まれることとなり、これに伴いアセトンの品名が別表から削られたこと。

(4) 第2石油類としての物品の範囲を定める備考が改められたこと(別表備考3)

これにより、従来、危険物とされていなかった常温で、固状の原油のほか、品名として掲げられていたテレビン油、しよう脳油及び松根油が第2石油類に含まれることとなり、これに伴いテレビン油等の品名が別表から削られたこと。

(5) 第3石油類としての物品の範囲を定める備考が改められたこと(別表備考3)

これにより、従来、危険物として規制されていなかった常温で、固状の重油が第2石油類に含まれることとなり、また、第3石油類とされていた物品のうち引火点が200度以上のものは、第3石油類に含まれないこととなったこと。

(6) 第4石油類という品名及びその指定数量が新たに設けられ、あわせて、第4石油類としての物品の範囲が備考に定められたこと(別表備考3)

これにより、従来、第3石油類とされていた物品のうち、引火点が200度以上のものは、第4石油類に含まれることとなったこと。

(7) 動植物油類としての物品の範囲を定める備考が改められた(別表備考5)が、この改正は、石油類等に関する備考の改正に伴う整備であって、危険物とされる物品の範囲が改められたものではないこと。

(8) その他別表の品名等の改正に伴い、備考について必要な整備が行なわれたこと。

(9) 以上のほか、別表の改正については、次の事項に留意されたいこと。

ア 従来、第4類の危険物は、常温(温度20)で液状である引火性の物品に限られていたが、改正後は、特殊引火物、第1石油類及び第2石油類については、温度20度で液状である引火性物品のほかに、温度20度で固体の物品であっても温度が40度に至るまでに液状となるものも含まれることとなったこと。

イ 「温度20度で、液状」又は「温度20度をこえ40度以下で液状」の液状の判定については、昭和39年7月23日付け自消丙予発第71号都道府県消防主管部長あて消防庁予防課長通達「消防法別表備考1に定める危険物第4類石油類の「常温で液状となるもの」の取扱いについて」に示された判定基準の例によられたいこと。

この場合において、同判定基準中「摂氏20度」とあるのは「摂氏20(20度をこえ40度以下の温度において液状となるものにあっては、その液状となる温度)」と読み替えるものとすること。

ウ 引火点は、引火点が80度以下の物品についてはタク密閉式引火点測定器により、引火点が80度をこえる物品についてはクリーブランド開放式引火点測定器により測定することを原則とすること。

エ 着火温度は、ASTM法発火温度測定装置により測定することを原則とすること。

オ 特殊引火物、第1石油類、第2石油類、第3石油類及び第4石油類に関する備考に掲げられている物品は、それぞれの品名に含まれるものとして指定されているものであること。したがって、例えば、引火点が70度未満の重油で、あっても第3石油類に該当するものであること。

 

第3 救急業務に関すること

従来、消防本部を置かなければならない市町村で政令で定める基準に該当するものは、救急業務を行なわなければならないものとされていたが、今回の改正により、救急業務を行なわなければならない市町村は、政令で指定するものとされたこと(法第35条の5)

本改正は、最近における救急需要の急増に対処し、今後さらに実施体制の整備を促進するためには、従来の「政令で定める基準に該当するもの」という方式では、真に合理的な義務づけが期しがたいので、実態に応じた義務づけができるよう個別指定方式に改めたものであること。

 

第4 罰則

条文の新設等に伴い、所要の罰則の整備が行なわれたこと。

 

第5 施行期日等

1 施行期日

(1) この法律は、公布の日から施行することとされたこと。ただし、別表の改正規定は昭和4711日から、移動タンク貯蔵所による危険物の移送に関する改正規定及び移動タンク貯蔵所の停止等に関する改正規定は昭和47101日から施行することとされたこと(附則第1項)

2 経過措置

(1) 別表の改正に伴い、危険物の指定数量が変更されたこと又は従来危険物とされていなかった物品が新たに危険物に含まれることとなったことにより、これらの物品を貯蔵し、又は取り扱っている施設のうちには、新たに危険物施設として許可を受けなければならなくなるものがあるが、昭和4711日現在において設置されているこれらの施設については、同年1231日までの間は、法第11条第1項の規定の適用がないものとされた(附則第3項)が、この期間中であっても許可の申請書を受理し、審査することができるものであること。ただし、この場合であっても、申請に対する許可は、昭和4811日以降とすること。

(2) 別表の改正に伴い、危険物の品名が変更されたこと、危険物の指定数量が変更されたこと又は従来危険物とされていなかった物品が新たに危険物に含まれることとなったことにより、これらの物品を貯蔵し、又は取り扱っている危険物施設のうちには当該危険物施設の位置、構造及び設備の技術上の基準に適合しないこととなるものがあるが、昭和4711日に設置されているこれらの施設については、同年1231日までの間は、なお従前の例によるものとされている(附則第4項)が、この期間中においても、新たな基準に適合されるよう指導されたいこと。

(3) その他法の改正に伴って、必要な事項に関する経過措置が定められたこと。

 

別記様式第1 危険物貯蔵所仮使用承認申請書

 

別記様式第2

 

別紙

 

危険物取扱者免状に関する事務処理手続について

※ 当該事務処理手続きは、昭和631227日消防危第125号により廃止された。

1 免状の記載

(1) 危険物取扱者免状(以下「免状」という。)第1面の備考には、免状の書換え、再交付及び転記に必要な事項を記載すること。なお、書換えに必要な事項については後記3に、再交付に必要な事項については後記4に、転記事項については後記2、3、4及び5によること。

(2) 免状第2面の本籍は、町名、地番まで記載すること。

(3) 免状第 2面の写真に押す押出しスタンプの形状及び押出し位置は、次によるとと。

ア 押出しスタンプの形状は、幅がmm程度の「ぎざ」付きの円形とすること。

イ 押出しスタンプは、押出しスタンプの都道府県名の文字の上半分が免状の写真にかかるように押すものとすること。

(4) 免状第4面及び第5面には、危険物取扱者の講習の受講経過等必要な事項を記載すること。この場合、受講経過については、受講年月日、講習実施機関を記載し、かつ、当該講習実施機関の承印を押すものとすること。

 

2 免状の交付

(1) 免状の交付庁は、危険物取扱者試験(以下「試験」という。)を行なった知事であること。

(2) 免状の交付にあたって、法第13条の2第4項各号の不交付事由の存否を調査する場合は、形式審査によれば足りるものであること。この場合、同項第1号の不交付事由の調査にあっては、免状台帳の記事免状返納命令簿の記事及び6(2)の通報の記録を参照すること。

(3) 免状の交付番号は、各暦年ごとに、免状の甲種、乙種の各類及び丙種の別に、一連番号を付するものとし、年別を識別しうる略号を冠するものとすること。例えば、昭和46年の15号の場合には、「S4615」とすること。

(4) 同一人に対して2種類以上の免状を交付する場合は、1冊の免状に記載するものとすること。

(5) 免状の交付を受けている者が交付を受けている種類以外の種類の免状(以下「他種類免状」という。)の交付を受ける場合の取扱いは、次によるとと。

ア 交付する免状は、他種類免状を交付するつど、新たな免状(以下「新免状」という。)とすること。

イ 前記アの新免状には、すでに交付を受けている免状(以下「既得免状」という。)の記載事項を転記すること。この場合、免状の第3面の該当欄には、既得免状の交付番号及び交付年月日を転記し、当該転記した項の承印欄には、新免状を交付する知事の承印を押すこと。また、免状の第1面には、「交付転記」と記し、転記した免状の種類及び当該転記した免状の交付知事を記載すること。

ウ 他種類免状の交付申請に際しては、免状交付申請書の「合格した試験の種類」の欄に、既得免状の種類(乙類にあっては、立会い又は取扱うことができる危険物の種類を含む。)交付番号、交付年月日及び交付知事を付記させること。

エ 新免状を交付する際は、既得免状を提出させ、これと引換えに新免状を交付すること。なお、既得免状は、新免状の交付庁において廃棄処分をすること。

オ 交付手数料は当該交付をする免状の種類(既得免状に係る種類を除く。)の数に制令所定の額を乗じて得た額とすること。従って、新免状への既得免状の前記イの転記については手数料を徴収しないこと。

 

3 免状の書換え

(1) 免状の書換庁は、当該免状の所持者の居住地又は勤務地を管轄する知事であること。

(2) 免状の書換え事由に係る事実の認定は、形式審査によってすれば足りるものであること。

(3) 自ら交付した免状でない免状(以下「他知事交付免状」という。)を書き換えたときは、様式第1による免状書換通知書をもって、その旨を交付知事に通知すること。

(4) 免状の書換えは、免状の第2面の当該書換えに係る記載事項を抹消することなく、第1面に書換事項、書換年月日及び書換えをする知事(以下「書換知事」という。)を記載し、書換知事の承印を押すこと。

(5) 書換えに係る免状が危険物の規制に関する規則の一部を改正する省令(昭和4661日自治省令第12)による改正前の様式の免状(以下「旧様式免状」という。)である場合は、当該旧様式免状の記載事項を同省令による改正後の様式の免状(以下「新様式免状」という。)に転記した後、前記(4)の例により書換えをすること。この場合、免状の第1面には「転記書換」と記し、第2面の知事は書換知事とし、第3面の該当欄には旧様式免状の交付番号及び交付年月日を転記し、かつ、当該転記した項には書換知事の承印を押すこと。

(6) 町名又は番地の整理に伴って、免状に記載された本籍の呼称が変わることは、免状の記載事項の変更に該当しないものであること。

(7) 書換えの手数料は、当該書換えをする免状の種類の数にかかわらず、政令所定の額とすること。

 

4 免状の再交付

(1) 免状の再交付庁は、当該免状の交付又は、書換えをした知事であること。

(2) 免状の再交付申請の理由が免状の士失又は滅失である場合、その事実の認定は形式審査によってすれば足りるものであること。

(3) 他知事交付免状について再交付申請がなされたときは、様式第2による免状再交付照会書をもって、その免状に関し、交付知事に照会した後、その再交付をすること。

(4) 再交付する免状の第3面の該当欄には、(3)により確認をした免状の交付番号及び交付年月日を転記し、当該転記した項の承印欄には、再交付知事の承印を押すこと。また、第1面には「再交付」と記し、再交付年月日を記載すること。

(5) 交付知事を異にする2種類以上の旧様式免状の再交付は、当該免状の書換え又は交付をしたいずれか1の知事において行なってもさしっかえないこと。この場合、他知事の交付に係る免状の記載事項を前記(4)の例により再交付する免状に転記すること。

(6) 再交付手数料は、当該再交付をする免状の種類の数にかかわらず、政令所定の額とすること。

(7) 免状の再交付と書換えとをあわせて行なう場合は、再交付申請書と書換申請書の双方を提出させること。

 

5 免状の転記

知事が必要とする場合においては、前記2(5)による免状の交付、書換え又は再交付によらない場合であっても旧様式免状の記載事項を新様式免状に転記することができるものとし、その取扱いは、次によること。

(1) 転記は、当該旧様式免状を交付した知事以外の知事も行なうことができるものとすること。

(2) 新様式免状の第2面の知事は、転記をする知事とし、第3面の該当欄には、旧様式免状の交付番号及び交付年月日を転記し、当該転記した項の承印欄には、転記をする知事の承印を押すこと。また、免状の第1面には「旧免状転記」と記し、転記した免状の種類、転記年月日及び旧様式免状を交付した知事を記載すること。

(3) 転記には、手数料を徴収しないこと。

 

6 免状の返納命令

(1) 免状の返納命令庁は、交付知事に限られないものであること。

(2) 免状の返納を命じた場合は、他の知事に対して返納を命じた者の氏名、免状の種類、交付番号及び交付年月日並びに返納を命じた年月日を通報すること。

(3) 免状の返納を命ぜられた者が数種類の免状の交付を受けている者である場合は、返納命令の効果はすべての免状について生ずるものであること。

 

7 知事の備えるべき台帳及び帳簿

(1) 各知事は、免状の甲種、乙種の各類及び丙種の別ごとに、それぞれ次に掲げる台帳及び帳簿を備えること。

ア 免状台帳

イ 免状書換簿

ウ 免状再交付簿

エ 免状返納命令簿

(2) 免状台帳は、交付した免状に関する台帳とし、免状の書換え、再交付又は返納命令の経過を記載し、返納命令の発令によって抹消するものとすること。

(3) 免状の書換簿は、免状の書換えを記録する帳簿とし、免状書換申請書又は免状書換通知書を編綴して作成するものとすること。

(4) 免状再交付簿は、免状の再交付を記録する帳簿とし、免状再交付申請書又は免状再交付照会書を編綴して作成するものとすること。

(5) 免状返納命令簿は、返納命令の発令を記録し、免状の不交付事由の調査資料とすること。

 

8 台帳整理及び行政庁相互間の連絡

台帳整理及び行政庁相互間の連絡は、おおむね次によるものとすること。

(1) 免状の交付に際して

免状台帳の記載

(2) 自ら交付した免状の書換えに際して

ア 免状台帳の整理

イ 免状書換簿の整理

(3) 他知事交付免状の書換えに際して

ア 書換庁たる知事

() 免状書換簿の整理

() 交付知事に対する通知

イ 交付知事

() 免状台帳の整理

() 免状書換簿の整理

(4) 自ら交付した免状の再交付に際して

ア 免状台帳の整理

イ 免状再交付簿の整理

(5) 他知事交付免状の再交付に際して

ア 再交付知事

() 再交付知事に対する照会

() 免状再交付簿の整理

イ 交付知事

() 免状の確認の通知

() 免状台帳の整理

() 免状再交付簿の整理

(6) 自ら交付した免状の返納命令に際して

ア 返納命令知事

() 他知事への通報

() 免状台帳の抹消

() 免状返納命令簿の整理

イ 他の知事

免状返納命令簿の整理

(7) 他知事交付免状の返納命令に際して

ア 返納命令知事

() 他知事への通報

() 免状返納命令簿の整理

イ 他の知事

() 交付台帳の抹消(交付知事に限る)

() 免状返納命令簿の整理

 

様式第1 危険物取扱者免状書換通知書

 

様式第2 危険物取扱者免状再交付照会書

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