自消丙予発第71号

昭和40年4月15日

宛 大阪府民生部長

発 予防課長   

 

危険物行政質疑応答(仮題)

 

危険物の取扱数量の一般的算定方法について

問 消防法第10条において「指定数量以上の危険物は、製造所、貯蔵所及び取扱所以外の場所でこれを取り扱ってはならない。」と規定されているが、この取扱数量の一般的算定方法として、次のうちいずれが妥当であるか。

(1) 製造所又は取扱所において1日に製造され又は取り扱われる終末製品(危険物)の最大数量。ただし、取り扱われる原材料(危険物)の指定数量の倍数が終末製品の倍数より大きい場合は、原材料の数量による。

(2) 製造所又は取扱所のタンク、配管等一連の施設内の瞬間最大停滞量。

() 危険物の規制に関する政令第40条に掲げる手数料表の(1)のうち、製造所及び一般取扱所については当該施設で取り扱う危険物の最大数量(指定数量の倍数)に応じた手数料の額が定められており、また、これら施設に対する消火設備及び警報設備の設置基準(危険物の規制に関する総理府令第33条第34条第35条及び第38条)が同じく取扱最大数量に応じて定められているため、その数量の算定方法を明確にする必要がある。

答 (1)により規制される。ただし、循環系装置により危険物を循環させて取り扱う場合は、(2)により規制される。

 

地下タンクを設けた危険物取扱所について

1 危険物の地下貯蔵タンクを設け、当該タンクの危険物を地上のポンプ設備等により取り扱う場合における規制の具体例については、昭和40217日づけ自消丙予発第22号回答により指示されているが、危険物の規制に関する第2条及び第3条の区分の一般的規制の考え方として、危険物を取り扱う地下タンクを設け、当該タンクの直上地盤面を含む場所(建築物の場合を含む。)においてタンク内の危険物を取り扱う(詰替え、加工等)場合は、取扱い場所及びタンクを一体の施設とみなして、一の一般取扱所として規制することは支障ないか。

() 一般取扱所の一部として地下タンク等のタンクを設けることについては、同政令第19条で準用する第9条第20号の規定で、また、建築物(一般取扱所)の地下に地下タンクを設けることについては、同総理府令第23条の「地下建築物内の場所」の規定により、それぞれ認められるものと解されるので、地下タンクによる危険物の取扱いについては、給油取扱所の場合と同じく、取扱所として規制することで支障ない、と解するものである。

2 高層建築物等の地下室に、空調設備又はボイラー用として重油若しくは灯油等のタンクを設置する場合、当該タンクは次のいずれの区分で規制することが妥当か。

(1) 地下タンク貯蔵所

(2) 屋内タンク貯蔵所

(3) 一般取扱所(ボイラー室等)に付属したタンク(地下又は屋内)

() 同総理府令第23条の規定からすれば、地下(貯蔵)タンクに該当するものと考えられるが、当該タンクの専用室に人が出入できる場合とそうでない場合もあり、また、屋内タンク貯蔵所の場合はその最大貯蔵量が制限される場合があるので(同政令第23条適用の場合を除く。)、その区分判断を明確にしようとするものである。

1 設問の場合は、地下タンクが貯蔵を目的としたものであるときは、当該地下タンクは1の地下タンク貯蔵所として、また、当該地下タンク貯蔵所の直上の危険物を取り扱う取扱場所は1の一般取扱所として、それぞれ規制される。

貯蔵を目的としないものは、地上部分及び地下タンクの一体が1の一般取扱所として規制されることとなる。

2 設問のタンクが、サービスタンク又はメインタンクのいずれを指すか明らかでないが、サービスタンクである場合は、(3)が正しい。

また、メインタンクである場合、当該タンクが地盤面に埋没されているときは(1)により、それ以外のときは(2)により、それぞれ規制される。

なお、ボイラー室のメインタンクについては、昭和39723日付自消丙予発第73号予防課長通達「電話局等における危険物の取扱い及び消火設備について」を参照されたい。

 

危険物を容器入りのまま野積み状態で取り扱つている場合について

1 製油所又は油槽所の構内において、第一石油類又は第二石油類を、ドラム罐充てん作業から出荷までの過程で、容器入りのまま野積みの状態で取り扱つている場合、一般取扱所として規制することについては、昭和36年5月10日づ自消甲予発第25号通達及び昭和40119日づけ自消丙予発第8号回答により指示されているが、「一般取扱所として規制する」とは、ドラム充てん作業と野積状態が隣接する場所で行なわれている場合は、これらを含む単一の一般取扱所として規制する意味か、又はこれらをそれぞれ別個の一般取扱所とする意味か。

2 前記自消甲予発第25号通達のうち、記第2の1(1)においては、「かつ、空地の幅については、屋外貯蔵所の空地の幅に準ずること。」となつているが、同記第2の3においてはこの条件が付されていない。

しかし、いずれも「野積」の状態であること、特に自衛隊については通常充てん作業がともなつていない野積専用の場所であること等から考えると、製油所又は油槽所の場合も、当然に「屋外貯蔵所の空地の幅に準ずること。」と解してよいか。

3 通常ドラム充てん作業は毎日継続して行なわれることが多く、したがつて、出荷までの間一時的に野積みされることはその例が少なく、野積状態も継続して行なわれることが多い。

すなわち、特定日に充てんされたものが一時的(23日間)に野積みされていることになるが、充てんが継続している限り、当該場所には常に充てん済ドラムが野積みされているのが実態である。

このような野積みは事実上屋外貯蔵の状態であると考えられるが、これを危険物の規制に関する政令第23条の基準の特例の規定を適用(同政令第9条第12号等の条件を付する。)して、屋外貯蔵所として規制することは支障ないか。

4 屋外の場所に貯蔵できる危険物は、同政令第2条第7号により、第四類の乙種危険物又は第六類の危険物に限定し、その他の危険物は認められないこととなつているが、これは主として日光の直射による化学変化又は温度上昇等に伴う危険性の増大若しくは禁水性物質の雨水浸透防止等のためであると考えられる。

したがつて、第四類の乙種危険物又は第六類の危険物を屋外貯蔵する場合に、当該場所の上部に不燃材料による屋根又は上屋等を設けることにより前記主旨に添うとともに、雨天における作業の安全及び能率化を図るようにすることは、同政令第23条を適用して認めて支障ないか。

なお、この場合において、当該屋根等が建築物に該当するときも考えられるので、申し添える。

1 後段お見込みのとおり。

2 お見込みのとおり。

3 設問の場合、危険物の規制に関する政令第23条を適用して、屋外貯蔵所として規制することは適当でないが、貯蔵を目的としない場合に限り、一般取扱所として規制される。

4 お見込みのとおり。

 

「容器」および「配合」の意義について

1 危険物の規制に関する政令第27条第6項第2号イに規定する「容器」には、ドラム罐も含まれている、と解してよいか。

2 同号ロに規定する「配合」とは、小分け又は詰替えを含む意味か。

() 当府下においては、石油類の家庭消費が増加するにつれ、石油類の小売店が増加する傾向にあるが、当該小売店は石油類を店舗内でドラムから小容器に小分け又は詰替えて小売りするため、販売所として規制することは同政令第27条第6項第2号ロの規定に違反するものと解し、また、昭和3746日づけ自消丙予発第44号による予防課長回答もあつたため、この種小売店を極力認めない方向にあつた。

しかし、そのため違法に石油類を販売する者が増加し、火災予防上著しく支障をきたす状態となつたので、今後はこれらを販売取扱所とし、その構造及び設備について規制するとともに、小分け等の作業を同政令第18条第9号に定める室で行なわせようかと考えているものである。

1 お見込みのとおり。

2 危険物の規制に関する政令第27条第6項第2号ロに規定する「配合」は、小分け及び詰替えを含まない。

なお、配合できる危険物のうち、石油類については、塗料類に限られているので、念のため。

 

小型タンクローリーについて

1 指定数量の5分の1以上指定数量未満の危険物を、車両に固定されたタンクにおいて貯蔵し又は取り扱う場合(いわゆる小型タンクローリー)は、火災予防条例準則第46条の規定が当然に適用されるものと解してよいか。

2 小型タンクローリーを同準則第46条により規制する場合において、同準則第30条及び第31条の適用に当たつては、当該タンクローリーのタンク部分は水圧検査をする必要があるか。

1 お見込みのとおり。

2 指定数量未満の危険物を貯蔵する移動タンクについては、水圧検査を受ける義務はないが、水圧試験を行なうよう指導することが望ましい。

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