消防危第268号

平成27年12月8日

各都道府県消防防災主管部長

東京消防庁・各指定都市消防長 殿

消防庁危険物保安室長

 

建築物の屋上に航空機給油取扱所を設置する場合の安全対策について

 

 

近年、救急医療用ヘリコプター(救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法(平成19年法律第103)第2条に規定するものをいう。)の需要が高まり、全国的な配備が進められています。

このため、病院等の建築物の屋上に設けられたヘリポートに給油設備を設置する事例が見られ、危険物の取扱量を踏まえ市町村条例に基づく少量危険物貯蔵取扱所として認められ運用されています。このような中、同種の施設において、災害時の対応等を念頭に、1日の最大取扱量が指定数量以上となることも想定し、危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号。以下「危政令」という。)に基づく航空機に給油する給油取扱所(以下「航空機給油取扱所」という。)として設置したいという要望が増加しています。

このことを踏まえ、今般、建築物の屋上に航空機給油取扱所を設置する場合の安全対策に係る指導指針を下記のとおりとりまとめました。

つきましては、貴管内の市町村(消防の事務を処理する一部事務組合等を含む。)に対してもこの旨周知され、建築物の屋上に航空機給油取扱所が設置される場合の安全対策に係る指導に御活用頂くようお願いします。なお、本通知は消防組織法(昭和22年法律第226)第37条の規定に基づく助言として発出するものであることを申し添えます。

 

 

1 設置基準及び許可範囲等について

(1) 航空機給油取扱所は、壁、柱、床、はり及び屋根が耐火構造である建築物の屋上に設置すること。

(2) 航空機給油取扱所として規制を受ける部分は、建築物全体ではなく、給油設備、航空機に直接給油するための空地、配管、その他危険物関連機器等とすること。なお、危険物を貯蔵し、又は取り扱うタンク(以下「危険物タンク」という。)は屋外タンク貯蔵所、屋内タンク貯蔵所又は地下タンク貯蔵所として許可するものとし、ポンプ機器はこれらの許可施設に附属する設備として取り扱うこと。

(3) ポンプ機器及び危険物タンク(指定数量の5分の1以上指定数量未満の危険物を貯蔵し、又は取り扱うタンクを含む。)2階以上の階に設置しないこと。

(4) 貯蔵し、又は取り扱う危険物は、Jet A-1(日本工業規格K2209の航空タービン燃料油1)とすること。また、航空機給油取扱所の許可数量については、建築物の屋上で航空機に給油する場合の1日の最大取扱量により算定すること。当該取扱量が指定数量の5分の1以上指定数量未満となる場合は、市町村条例に基づく少量危険物貯蔵取扱所としての基準が適用されるものであること。

 

2 航空機給油取扱所の設備について

(1) 給油設備は、危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第26条第3項第1号ロの規定による、給油配管(燃料を移送するための配管をいう。)及び当該給油配管の先端部に接続するホース機器とすること。

(2) 手動開閉装置を開放状態で固定する装置を備えた給油ノズルを設けないこと。

(3) 配管は、危政令第9条第1項第21号の規定の例によるほか、次によること。

ア 配管から危険物が流出した場合において、危険物及び可燃性蒸気の建築物への流入を防止するため、以下のいずれかの措置を講ずること。

・ さや管又はこれに類する構造物(パイプシャフト等)の中に配管を設置する。

・ 屋外に配管を設置するとともに、建築物の開口部及びその上部の外壁部分への設置を避ける。

イ 点検が容易でない場所に設ける配管及び建築物外に設置された危険物タンクと建築物との連絡部分に設ける配管の接合は、溶接その他危険物の流出のおそれがないと認められる方法によること。

ウ 配管が建築物の主要構造部を貫通する場合は、その貫通部分に配管の接合部分を設けないこと。

エ 配管には、見易い箇所に取り扱う危険物の物品名を表示すること。なお、当該表示については、屋内に設けられる配管にあっては、点検のために設けられた開口部にある配管ごとに、屋外にある配管にあっては、見易い箇所に1箇所以上表示すること。

オ 屋上に電磁弁を設ける等により、給油量を管理し、必要以上の危険物が屋上に送油されないための措置を講ずること。

カ ポンプ吐出側直近部分の配管に逆止弁を設ける等により、配管内の危険物がポンプ機器付近で大量に流出することを防止するための措置を講ずること。

(4) ポンプ機器を停止する等により危険物タンクからの危険物の移送を緊急に止めることができる装置を設けること。また、当該装置の起動装置は、火災その他の災害に際し、速やかに操作することができる箇所に設けること。

(5) 消火設備については、危政令第20条の基準によるほか、第3種の消火設備を設置することが望ましいこと。

 

3 給油体制について

給油は、火災その他の災害が発生した際に危険物の移送の緊急停止、初期消火、通報等の必要な対応が速やかに実施できるよう適切な体制で行うこと。

 

4 予防規程について

災害その他の非常の場合に取るべき措置として、危険物の移送の緊急停止、初期消火、通報等に関する事項を定めること。

 

5 避難経路について

屋上からの避難経路については、複数設置することが望ましいこと。

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