消防特第47号

平成26年3月27日

関係道府県消防防災主管部長 殿

消防庁特殊災害室長

 

石油コンビナート等における防災体制の充実強化等について(通知)

 

東日本大震災及びその後において発生した石油コンビナート災害では、大規模な爆発、火災の延焼等により、当該事業所の敷地外、更には石油コンビナート等特別防災区域の外部にまで影響が及ぶ事案も発生しました。

このような広範囲に影響を与える災害に対処するため、平成257月から「石油コンビナート等防災体制検討会」を開催し、石油コンビナート等防災体制の充実強化について検討を行い、このたび下記のとおり報告書を取りまとめました(別添概要参照)

貴道府県におかれては、石油コンビナート等防災本部を中心とする防災体制の充実強化を推進するとともに、特定事業者に対し自衛防災組織等の防災活動の手引きを活用し更なる防災体制の強化に努めるよう適切なご指導をお願いいたします。また、貴道府県内の関係市町村(消防の事務を処理する一部事務組合等を含む。)に対しても周知されるようお願いいたします。

なお、本通知は、消防組織法(昭和22年法律第226)第37条の規定に基づく助言として発出するものであることを申し添えます。

 

 

第1 石油コンビナート等防災本部(以下「防災本部」という。)のあり方について

平成24年に発生した4つの事故事例について防災本部等の活動に着目した検証を行い、防災本部等に求められる活動・業務について整理し、さらに整理した内容ごとに防災本部等の防災体制の充実強化のあり方について、次のとおり示したこと。

 

1 関係機関の情報共有

(1) 事故の初期段階において、応急対策上必要な情報を把握し、消防機関をはじめ、保安や環境等を担当する関係機関と共有することが必要であること。

(2) 現場活動を行う関係者に速やかに応急対策上必要な情報が提供されるよう、特定事業所の協力を得ることができる仕組みをあらかじめ構築することが重要であること。

 

2 関係機関の連携体制

(1) 防災本部は、必要な機関との一元的な連絡調整ができる体制になっていることから、その機能を積極的に活用すること。

(2) 応急対応後の発災事業所に対する報告の徴収(石油コンビナート等災害防止法第39条)、立入検査(同法第40条)等の規定を活用し、関係機関と連携した再発防止策の策定、事業者の指導等も可能であること。

3 住民への情報伝達

(1) 近隣の住民等への情報の伝達については、コンビナート事故が発生したこと、取り得る避難等の方法を伝達することが必要であることから、防災本部及び関係機関において速やかに情報共有を行うことが必要であること。

(2) 防災本部においては、関係機関の情報伝達の資源を把握し、必要な情報が適切なタイミングで、適切な対象者に伝わるよう、調整を行っていくことが必要であること。

4 教育・訓練体制の充実

実際に発生した事故や自然災害の状況を参考に、対処すべき内容を想定して、石油コンビナート等防災計画の充実を図るとともに、関係機関を含めた防災訓練を実施することが必要であること。

 

第2 自衛防災組織等の防災活動の手引きの見直しについて

「特定事業所における自衛防災組織等の防災体制の充実について(昭和58年5月31日付け消防地第105)」により示した「自衛防災組織等のための防災活動の手引(屋外タンク編)」及び「特定事業所における防災対策の推進について(昭和591218日付け消防地第287)」により示した「自衛防災組織等のための防災活動の手引(プラント編)」について、その後の事故事例から得られた教訓、最近の法令改正、各種通知及び近年における各種研究・調査等の結果を反映し、「自衛防災組織等の防災活動の手引き」を改定したこと。

なお、「浮き屋根式屋外タンク貯蔵所の保安対策の徹底及び応急措置体制の整備について」(平成25年7月31日付け消防危第141号、消防特第154)の4において、別途通知するとしている緊急時応急マニュアルは、この「自衛防災組織等の防災活動の手引き」であること。

※報告書の全文は、消防庁ホームページでご覧いただけます。

「石油コンビナート等防災体制検討会報告書(平成26年2月)

(http://www.fdma.go.jp/neuter/about/shingi_kento/h25/sekiyu_bousaitaisei/ file/houkokusyo.pdf)

「石油コンビナート等防災体制検討会報告書別冊自衛防災組織等の防災活動の手引き」

(http://www.fdma.go.jp/neuter/about/shingi_kento/h25/sekiyu_bousaitaisei/file/tebiki.pdf)

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