消防特第79号
平成24年4月23日
関係道府県消防防災主管部長 殿
消防庁特殊災害室長
石油コンビナート等特別防災区域内の特定事業所における事故防止等の徹底について(通知)
特定事業所における事故防止については、日頃から御尽力いただいているところですが、4月22日、別紙のとおり、山口県玖珂郡和木町の石油コンビナート等特別防災区域内において、危険物一般取扱所(レゾルシン製造装置)で緊急停止作業中に何らかの原因により爆発及び火災が発生し、作業員1名が死亡、事業所内外で計22名が負傷しました。
この事故については、現在、原因の究明が行われているところですが、同種事故の再発を防止するとともに事故後の適切な対応を図るため、貴職におかれましては下記事項について特定事業者に対し、必要な指導を適時適切に行っていただくとともに、周辺住民への情報提供等に関する体制の確認をお願いします。
また、貴道府県内の関係市町村に対してもこの旨情報の提供をお願いします。
記
1 緊急停止作業を行う際には、作業手順等の確認を行い、作業に携わる者全員に周知徹底を図ること。
2 危険な状態となった場合の従業員等に対する情報伝達、避難経路の周知等を徹底すること。
3 異常現象や事故の発生、対処の状況等について、特定事業所から関係地方公共団体への速やかな通報連絡を徹底すること。
(別紙)
三井化学株式会社岩国大竹工場製造施設火災(第8報)
消防庁
平成24年4月23日10時30分現在
1 発生日時等
発生時刻:平成24年4月22日(日)02時15分頃
覚知時刻:平成24年4月22日(日)02時20分(119)
鎮圧時刻:平成24年4月22日(日)17時15分
2 発生場所
特別防災区域名:岩国・大竹地区
住所:山口県玖珂郡和木町和木6-1-2
特定事業所名:三井化学株式会社岩国大竹工場(第1種特定事業所 レイアウト)
3 施設概要等
施設名称:レゾルシン製造装置及びサイメン製造装置
施設区分:高危混在施設(高圧ガス保安法及び消防法により許可を受けた施設)
危険物施設区分:一般取扱所及び製造所
4 火災の概要
4月21日(土)23時30分頃 高純度テレフタル酸製造施設が電気設備の異常により緊急停止した。これに伴い、スチームの供給も停止となったため、全プラントの緊急停止を行っていたところ、レゾルシン製造装置で爆発火災が発生し、サイメン製造装置へ延焼した。
8時05分頃に小爆発が発生し、9時35分頃から9時57分頃にかけ小爆発3回発生。
いずれも、有害物質の発生はなし。
12時17分頃からレゾルシン製造装置へ泡消火を実施。
15時00分、レゾルシン製造装置の瓦礫下(2箇所)、サイメン製造装置(確認中)、動力施設(ラック1箇所)が軽微に燃えている。
16時00分、泡消火から冷却注水に切り換え。
17時15分、鎮圧(冷却注水を継続中)。
4月23日9時00分、レゾルシン製造装置から可燃性ガスが漏えいしているため、冷却注水から噴霧放水に切り替え、可燃性ガスを希釈中。
5 死傷者等
(1) 人的被害
死者:1人
負傷者:22人(事業所内:11名負傷(重傷2名、軽傷9名)、事業所外11名負傷(軽傷11名(山口県和木町8名、岩国市1名、広島県大竹市2名)))
(2) 物的被害
焼損面積:確認中
その他:事業所外473件(ガラスの割れ等)(山口県和木町218件、岩国市148件、広島県大竹市107件)
6 関係地方公共団体の体制等
(1) 山口県
石油コンビナート等防災本部において対応中。
(2) 和木町
7時35分に災害対策本部を設置、避難所(和木町文化会館)を開設した。12時現在、避難者なし。17時に避難所撤収。住民へ有毒ガス等は流出していないこと等の広報を実施している。
(3) 岩国市
6時00分に災害警戒本部を設置。住民へ有毒ガス等は流出していないこと等の広報を実施している。
(4) 広島県
県において情報収集を実施。
(5) 大竹市
3時00分から警戒体制。住民へ有毒ガス等は流出していないこと等の広報を実施している。
7 消防機関等の活動状況
岩国地区消防本部 13台(40名)
消防団 7台(56名)(情報収集等)
自衛防災組織等 10台(38名)
海上保安庁 (3名)
8 火災原因等
調査中
9 その他
海上に油が流出しているため、オイルフェンスを海上に展張している。
8時35分 レゾルシン製造装置(危険物一般取扱所)及びサイメン製造装置(危険物製造所)に、消防法による緊急使用停止命令及び高圧ガス保安法による使用停止命令が発せられた。
10 消防庁の対応
4月22日5時40分 消防庁第一次応急体制
4月23日 消防庁危険物保安室1名、消防庁特殊災害室1名及び消防研究センター5名を現地派遣。
関係道府県に対し石油コンビナートにおける事故防止等の徹底を通知。