消防予第408号
消防危第196号
平成22年9月10日
各都道府県消防防災主管部長
東京消防庁・各指定都市消防長 殿
消防庁予防課長
消防庁危険物保安室長
引火性溶剤を用いるドライクリーニング工場に係る建築基準法の取扱いを踏まえた火災予防条例(例)の取扱いについて
予防行政の推進につきましては、平素よりご尽力を賜り感謝申し上げます。
さて、今般、引火性溶剤を用いるドライクリーニングを営む工場(以下「ドライクリーニング工場」という。)の安全対策について、国土交通省住宅局建築指導課長及び市街地建築課長から各都道府県建築行政主務部長宛に「引火性溶剤を用いるドライクリーニングを営む工場に係る建築基準法用途規制違反への対応及び同法第48条の規定に基づく許可の運用について(技術的助言)」(平成22年9月10日国住指第2263号国住街第78号)(別紙1)(以下「2263号通知」という。)が通知されました。これにより、今後、特定行政庁が建築基準法第48条(用途規制)違反の確定等を行うドライクリーニング工場について、当該違反建築物の所有者等から同条ただし書に基づく許可申請が行われた場合、2263号通知中の別添1「火災安全性の確保の観点からの引火性溶剤を用いるドライクリーニング工場の安全対策に関する技術的基準」を踏まえた審査が各特定行政庁において行われることとなります。この場合、ドライクリーニング工場については一定の防火安全対策が講じられることとなりますが、当該工場が指定数量の5分の1以上指定数量未満の危険物を貯蔵し、又は取り扱う場所に該当する場合は、別紙2にご留意の上消防同意及び火災予防条例に基づく届出について対応いただくようお願いいたします。
また、特定行政庁が違反の判明したドライクリーニング工場に関する許可手続きに先立って情報提供を行うこととなることから、その際は、火災予防条例の取扱いについてはあらかじめ特定行政庁と情報交換を行い、違反の判明したドライクリーニング工場における許可手続きの円滑化・迅速化に努められるようお願いいたします。
各都道府県消防防災主管部長におかれましては、この旨を貴都道府県内の市町村に対して周知されるようお願いいたします。
なお、本通知は消防組織法(昭和22年法律第226号)第37条の規定に基づく助言として発出するものであることを申し添えます。
別紙2
ドライクリーニング工場に対する火災予防条例(例)の規定の考え方
引火性溶剤を用いるドライクリーニングを営む工場(尐量危険物施設に限る)(以下「ドライクリーニング工場」という。)について、「引火性溶剤を用いるドライクリーニングを営む工場に係る建築基準法用途規制違反への対応及び同法第48条の規定に基づく許可の運用について(技術的助言)」(平成22年9月10日 国住指第2263号国住街第78号)の別添1「火災安全性の確保の観点からの引火性溶剤を用いるドライクリーニング工場の安全対策に関する技術的基準」(以下「2263号通知技術的基準」という。)に基づく防火安全対策が講じられることが確認できれば、特に火災予防条例(例)第31条の3の2に定める次に掲げる基準によらなくとも同等以上の安全性があり、火災予防条例(例)第34条の3(基準の特例)の規定を適用することができるものと考える。
1 火災予防条例(例)第31条の3の2第1号及び第2号
一 壁、柱、床及び天井は、不燃材料で造られ、又は覆われたものであること。 二 窓及び出入口には、防火戸を設けること。 |
(考え方)
2263号通知技術的基準を満たすドライクリーニング工場は、次の(1)及び(2)に掲げる一定の延焼拡大抑制措置が講じられるとともに、引火性溶剤を取り扱う洗濯機の外側は不燃材料で造られていることから、火災予防条例(例)第31条の3の2第1号及び第2号の基準によらなくとも同等の安全性があると考えられる。
[2263号通知技術的基準中の延焼拡大抑制措置]
(1) 洗濯機及び乾燥機には、次に掲げる一定の措置が講じられていること。
① 洗濯機及び乾燥機には、例えば洗濯槽内の酸素濃度を調整するなどの火災の発生を予防する機能が設けられ、かつ、当該機能が適正に稼働する管理がなされていること。
② 洗濯機には、適切にアースが設置されており、帯電しにくい措置が講じられていること。
③ 洗濯機は、洗濯及び脱液が同一の機械内で行われる機能が求められており、溶剤の取扱い作業を必要最小限に抑えていること。
(2) 洗濯機及び乾燥機周囲には、次に掲げる一定の措置が講じられていること。
① 洗濯機及び乾燥機の水平方向50cm以内(垂直方向は床面から天井面まで)には、作業台設置スペースや洗濯物保管スペースが設けられていないこと。
③ 洗濯機及び乾燥機のそばに溶剤の付いたウェス等の布、繊維くずを放置しない等の作業場の安全管理体制・方法が確立されていること。
2 火災予防条例(例)第31条の3の2第3号
三 液状の危険物を貯蔵し、又は取り扱う床は、危険物が浸透しない構造とするとともに、適当な傾斜をつけ、かつ、ためますを設けること。 |
(考え方)
2263号通知技術的基準を満たすドライクリーニング工場は、次の(1)及び(2)に掲げる一定の流出拡大防止対策が講じられるとともに、当該ドライクリーニング工場において、洗濯機に補充する引火性溶剤の量は、1日当たり平均10L程度(最大15L程度)であることから、火災予防条例(例)第31条の3の2第3号の基準によらなくとも同等以上の安全性があると考えられる。
[2263号通知技術的基準中の危険物流出拡大防止措置]
(1) 作業場の床は、溶剤が浸透しない構造であること。
(2) 溶剤の管理
① 溶剤の保管容器は、使用時以外は蓋を閉じておくこと。
② 溶剤の保管容器は、ゴムマット等不導体の上に設置しないこと。
③ 溶剤の管理に当たっては、取り扱う溶剤の種類に応じて、それぞれの製品安全データシート(MSDS)に示された管理方法に従うこと。