消防危第29号

平成21年2月25日

各都道府県消防防災主管部長

東京消防庁・各指定都市消防長 殿

消防庁危険物保安室長

 

揮発油等の品質の確保等に関する法律の改正に伴う協力依頼について

 

再生可能な生物由来の有機性資源を利用した燃料であるバイオマス燃料(以下「バイオマス燃料」という。)については、「バイオマス・ニッポン総合戦略(平成18331日閣議決定)」により、政府としてその利活用の推進を図ることとされ、消防庁においても、本年度バイオエタノールを10%含有したガソリン及びバイオディーゼル燃料(以下「BDF」という。)の安全対策の確保に係る検討を行っているところです。

こうした中、バイオマス燃料の適正な品質の確保を目的に、バイオマス燃料を揮発油に混合する事業者の登録義務及び品質確認義務等を課した「揮発油等の品質の確保等に関する法律の一部を改正する法律(平成20年法律第48)(以下「改正品確法」という。)が平成20530日に成立し、平成21225日から施行されました。

今般、経済産業省から、改正品確法の確実な執行を図るため、別添1のとおり「都道府県消防防災主管部局及び市町村消防本部との連携について」を各経済産業局に通知したことの情報提供とともに、当職あてに別添2のとおり協力依頼がありました。

つきましては、改正品確法の確実な執行は、バイオマス燃料に関する危険物保安の確保に資すると考えられることから、貴職におかれましては、下記の事項に該当する場合には、速やかに所管の経済産業局に連絡するとともに、必要に応じて、当該経済産業局と情報交換を密にしていただくようお願いします。

また、各都道府県消防防災主管部長におかれましては、貴都道府県内の市町村等に対しても、この旨周知されるようお願いします。

なお、本通知は、消防組織法(昭和22年法律第226)第37条の規定に基づく助言として発出するものであることを申し添えます。

 

 

1 ガソリンとエタノール、ガソリンとETBE(エチル・ターシャリー・ブチル・エーテル)若しくは軽油とBDFの混合油を製造、貯蔵若しくは取扱う施設の許可申請又は届出がなされた場合

2 立入検査等で上記1の混合油の製造、貯蔵又は取扱いの事実を新たに把握した場合

 

別添1

 

各経済産業局石油課御中

 

都道府県消防防災担当部局及び市町村消防本部との連携について

 

平成21年2月25日     

資源エネルギー庁石油流通課

 

本年225日から揮発油等の品質の確保等に関する法律(以下「品確法」という。)の改正法が施行されることから、各経済産業局石油課におかれましては、必要に応じ、各都道府県消防防災担当部局及び各市町村消防本部と連携を行い、関係法令の確実な執行を図るようお願いいたします。

 

具体的内容:

1.危険物取扱いに係る安全性を確保するため、以下について、各都道府県消防防災担当部局及び各市町村消防本部に、速やかに情報提供をされるようお願いします。

① 品確法第12条の4第1項に基づく揮発油特定加工業者又は品確法第12条の11第1項に基づく軽油特定加工業者の登録がなされた場合に、当該特定加工業者の登録情報について

② 経済産業局石油課による立入検査又は()全国石油協会による試買分析等により、石油製品が強制規格等に適合しないことが確認された場合(例:灯油又は軽油の引火点が著しく低い(摂氏21度未満)ことや、水分の混入が把握された場合)に、当該事実について

2.1の他、品確法の確実な執行を図る観点から、必要に応じ各都道府県消防防災担当部局と情報交換を密にしていただくようお願いいたします。

 

別添2

 

平成21年2月25日

総務省消防庁危険物保安室長 殿

 

揮発油等の品質の確保等に関する法律の改正に伴う協力依頼について

 

経済産業省資源エネルギー庁

石油流通課長

 

本年225日から揮発油等の品質の確保等に関する法律(以下「品確法」という。)の改正法が完全施行されることから、品確法の確実な執行を図るため、別添のとおり各経済産業局石油課に対して通知したところです。

貴職におかれましては、下記のような協力が得られるよう関係都道府県及び市町村に対して適切なご助言方よろしくお願いします。

 

 

1.次に掲げる場合における、所管の経済産業局への速やかな情報提供

① ガソリンとエタノール、ガソリンとETBE(エチル・ターシャリー・ブチル・エーテル)又は軽油とBDFの混合油を製造、貯蔵若しくは取扱う施設の許可申請又は届出がなされた場合

② 立入検査等で上記①の混合油の製造、貯蔵又は取扱いの事実を新たに把握した場合

2.上記1の他、品確法の確実な執行を図る観点からの、必要に応じた所管の経済産業局との密な情報交換

 

参考資料

 

揮発油等の品質の確保等に関する法律の概要

 

平成21年2月   

資源エネルギー庁

石油流通課

 

Ⅰ.法律の趣旨

・ 自動車の安全性及び排ガス性状などを確保し、消費者の利益を保護する観点から、「揮発油等の品質の確保等に関する法律(品確法)」において、石油製品(揮発油、軽油、灯油、重油)の品質規格を規定。

・ 品質規格に適合しない石油製品の販売を禁止するとともに、生産業者、輸入業者に品質確認義務、揮発油販売業者に登録義務・品質分析義務を課している。

・ 平成21225日以降、石油製品と石油製品以外を混和して揮発油、軽油を生産する業者(特定加工業者)についても、登録・品質確認義務が課せられる。

 

Ⅱ.規制の対象

1.規制対象となる石油製品

・ 揮発油、軽油、灯油、重油、これらに準ずる炭化水素油

・ 炭化水素油:炭化水素とその他の物との混合物又は単一の炭化水素を含む。

2.規制対象となる者

・ 揮発油販売業者、軽油販売業者、灯油販売業者、重油販売業者

・ 揮発油、軽油、灯油、重油の生産業者及び輸入業者等

・ 揮発油特定加工業者:エタノール又はETBE(エチル・ターシャリ・ブチル・エーテル)と石油製品を混和して揮発油を生産する業者

・軽油特定加工業者:脂肪酸メチルエステルと石油製品を混和して軽油を生産する業者

III.主な規制の概要

1.揮発油等の生産業者、輸入業者

揮発油等を生産・輸入し、販売、消費する際に品質規格に適合していることの品質確認義務

→違反した場合、指示(指示違反の場合は、公表)

→罰則(懲役、罰金)

2.販売業者(揮発油、軽油、灯油、重油を販売する者)

① 揮発油販売業の登録義務(揮発油以外の石油製品を販売する者は届出義務)

→違反した場合(無登録での揮発油販売業)は、罰則(懲役、罰金)

② 揮発油の分析義務

揮発油販売業者に対し、原則「10日に1回」販売する揮発油が揮発油規格に適合していることの品質分析義務。一定の要件を満たした場合は、「品質維持計画」の認定を受けることにより、分析頻度を軽減することが可能。

→品質分析義務違反した場合、6ヶ月以内の事業停止命令が可能

→命令違反の場合、罰則(懲役、罰金)、登録取消しが可能

③強制規格に適合しない揮発油、軽油、灯油、重油の販売禁止

→違反した場合、指示(指示違反の場合は、公表)

6ヶ月以内の事業停止命令が可能

→命令違反の場合、罰則(懲役、罰金)、登録取消しが可能

→罰則(懲役、罰金)

 

3.特定加工業者(揮発油特定加工業者、軽油特定加工業者)

①特定加工業の登録義務

→違反した場合(無登録での特定加工業)は、罰則(懲役、罰金)

②特定加工した揮発油等を販売、消費する際に品質規格に適合していることの品質確認義務

→違反した場合、指示(指示違反の場合は、公表)

6ヶ月以内の事業停止命令が可能

→命令違反の場合、罰則(懲役、罰金)、登録取消しが可能

→罰則(懲役、罰金)

 

Ⅳ.石油製品の品質規格(強制項目)

 

揮発油

項目

満たすべき基準

分類

検出されない

環境(大気汚染防止)

硫黄分

0.001質量%以下

環境(大気汚染防止)

MTBE

7体積%以下

環境(大気汚染防止)

含酸素分

1.3質量%以下

環境(大気汚染防止)

ベンゼン

1体積%以下

健康被害防止

灯油

4体積%以下

エンジントラブル防止

メタノール

検出されない

エンジントラブル防止

エタノール

3体積%以下

エンジントラブル防止

実在ガム

5mg100mL以下

エンジントラブル防止

オレンジ色

灯油との誤使用防止

 

軽油

項目

満たすべき基準

分類

硫黄分

0.001質量%以下

環境(大気汚染防止)

セタン指数

45以上

環境(大気汚染防止)

蒸留性状(90%留出温度)

360℃以下

環境(大気汚染防止)

トリグリセリド

0.001質量%以下

エンジントラブル防止

脂肪酸メチルエステル

0.01質量%以下

エンジントラブル防止

5質量%以下()

()メタノール

0.01質量%以下

エンジントラブル防止

()酸価

0.13mgKOH/g以下

エンジントラブル防止

()ぎ酸、酢酸及びプロピオン酸の合計

0.003質量%以下

エンジントラブル防止

()酸価の増加

0.12mgKOH/g以下

エンジントラブル防止

(留意点) 脂肪酸メチルエステルが0.1%を超え、5%以下の場合は「※」の項目も満たす必要がある。

 

灯油

硫黄分

0.008質量%以下

環境(大気汚染防止)

引火点

40℃以上

消費者安全の確保

セーボルト色

25以下

ガソリンとの誤使用防止

 

重油

硫黄分

4.5質量%以下

環境(大気汚染防止)

無機酸

検出されない

動力トラブル防止

 

inserted by FC2 system