消防危第235号

消防特第142号

平成19年10月19日

各都道府県消防防災主管部長

東京消防庁・各指定都市消防長 殿

消防庁危険物保安室長 消防庁特殊災害室長

 

内部浮きぶた付き屋外貯蔵タンクの事故防止対策と応急措置体制の整備について(通知)

 

最近、内部浮きぶた付き屋外貯蔵タンクにおいて、浮きぶたの損傷、浮きぶた上への危険物の溢流、浮きぶたの傾斜又は沈没等(以下「内部浮きぶたの異常」という。)の事案が相次いで発生しています(別添1参照)

内部浮きぶた付き屋外貯蔵タンクは、引火点の低い危険物を貯蔵することが多く、内部浮きぶたの異常が生じた場合には、タンク内部の浮きぶた上の空間に可燃性蒸気が滞留し、その構造上の特徴から、爆発範囲内の濃度になるおそれが大きいという特性を有しています。

内部浮きぶたの異常は、消防法(昭和23年法律第186号)第16条の3第1項に規定する「その他の事故」に該当するものであり、したがって、屋外タンク貯蔵所の所有者、管理者又は占有者は、応急の措置を講じなければならず、また、同条第2項の規定に基づき、発見した者は、直ちにその旨を消防署等に通報しなければならないこととされています。

また、石油コンビナート等災害防止法(昭和50年法律第84)上の特定事業所である場合には、同法第23条の規定に基づき、異常現象の通報義務が生じることとなります。しかしながら、内部浮きぶた付き屋外貯蔵タンクにあっては、タンク内部の状況が判りづらいこと等から、内部浮きぶたの異常の覚知の遅れや、その後の応急措置に苦慮する事例が見受けられるところです。

ついては、下記の事項に留意され、内部浮きぶた付き屋外貯蔵タンクの所有者等に内部浮きぶたの異常の発生防止対策の徹底と応急措置体制の充実強化を図るようご指導いただくとともに、都道府県消防防災主管部長におかれましては、貴都道府県内市町村に対してもこの旨周知されるようお願いします。

なお、この件については、別添のとおり関係業界にも併せて通知したところです。

 

 

1 迅速確実な通報の徹底を期すとともに、所有者等は通報体制を再確認しておくこと。

2 危険物の受け入れに伴ってタンク内に気泡が流入した場合又は地震時においては、内部浮きぶたに揺動が発生するおそれがあることから、これらの場合には事後速やかに、安全に十分留意しつつ、内部浮きぶたの異常の有無を確認すること。

3 内部浮きぶたの異常が発生した場合の応急措置に必要となる不活性ガスの調達手段をあらかじめ計画しておくなど、事故時の対応策を事前に定めておくこと。

4 内部浮きぶた付き屋外貯蔵タンクに危険物を受け入れる際は、配管内の空気抜き等を十分行った上で、危険物の受入速度に注意して作業すること。

5 内部浮きぶたの外周に設けるシールが劣化又は脱落した場合は、十分な耐油性、耐久性を有する材料のものに速やかに取り替えること。

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