消防危第66号
平成19年3月28日
各都道府県消防主管部長
東京消防庁・政令指定都市消防長 殿
消防庁危険物保安室長
「地下貯蔵タンク等及び移動貯蔵タンクの漏れの点検に係る運用上の指針について」の一部改正について
強化プラスチック製二重殻タンクの外殻の漏れの点検については、「地下貯蔵タンク等及び移動貯蔵タンクの漏れの点検に係る運用上の指針について」(平成16年3月18日付け消防危第33号。以下「33号通知」という。)による運用をお願いしてきたところです。
この度、危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示(昭和49年自治省告示第99号。以下「告示」という。)の一部を改正する件(平成19年総務省告示第136号)により、新たな点検方法が追加されたところです。
これにあわせて、従来運用していた33号通知の一部を下記のとおり改めることとしましたので、通知します。
貴職におかれましては、その運用に遺漏のないよう配慮されるとともに、貴都道府県内の市町村に対してもこの旨周知されるようお願いします。
記
1 本文の改正内容
第1・2(1)ア中「(地下)」を「(外殻については、規則第24条の2の2第3項の規定により地下貯蔵タンクを被覆したすべての部分)」に改める。
第1・2(1)図中「<FRP外殻の点検>」を「<FRP外殻の点検方法>(ガス加圧法・減圧法)」に改める。
第1・2(2)を次のように改める。
(2) 点検方法等
ア 漏れの点検の方法として、次の方法が規定されていること(告示第71条第1項及び第2項並びに第71条の2第1項)。
(ア) 地下貯蔵タンク・地下埋設配管
「ガス加圧法」、「液体加圧法」、「微加圧法」、「微減圧法」及び「その他の方法」
(イ) FRP外殻
「ガス加圧法」、「減圧法」及び「その他の方法」
イ これらに係る細目については、別添1の点検実施要領を参考とされたいこと。
ウ 「その他の方法」については、技術革新により新たな点検方法の開発等が予想されることから、具体的な実施方法は限定せず、漏れの点検として必要な精度(=直径0.3mm以下の開口部又は当該開口部からの危険物の漏れを検知することができる精度)等が規定されていること。
2 別添1の改正内容
1(4)オ(ア)中「ガスの放出は安全な場所」の次に「(高さ4m以上等)」を加える。
2を次のように改める。
二重殻タンクの強化プラスチック製の外殻(検知層)の点検方法
(1) ガス加圧法
検知層に、窒素ガスを封入し、一定時間内の圧力変動を計測することにより、漏えいの有無を確認する方法である。
ア 点検範囲
強化プラスチック製の外殻(検知層)
イ 点検の準備と手順
(ア) 開口部をバルブ、止め板、閉鎖治具等で閉鎖する(加圧状態を安全に維持、確保できる強度を有する方法で行うこと。)。
(イ) 下記の点検器具を取付ける。
・圧力計・・・・・・最小目盛が1kPa以下であり、これを読み取り、記録できる精度のもの。
・温度計・・・・・・試験圧力に十分耐えうるもので、最小目盛が1℃以下の表示式又は記録式のもの。
・加圧装置・・・・窒素ガスボンベ及び圧力調整装置
・使用ガス・・・・窒素ガスを加圧媒体とする。
ウ 加圧の方法
(ア) 圧力計を監視しながら加圧装置により窒素ガスを1 kPa/min程度の速度で注入し、試験圧力まで加圧する。 試験圧力は 20kPaとする。
(イ) (ア)の状態で30分以上の圧力変動値を計測する。
(ウ) 試験前後の地下タンク内温度(気相部及び液相部)及び気温並びにその間の気象変化を記録する。
(エ) 加圧後15分間の静置時間の圧力降下が、試験圧力の15%以下であることを確認する。
エ 判定方法
加圧後15分間の静置時間をおいて、その後15分間の圧力の降下が試験圧力の10%以下の場合は「異常なし」とする。
オ 安全対策
(ア) 消火器、安全柵、警戒ロープ、作業標識等を設置して防火・災害予防に努める。
(イ) 加圧装置が万一不調になった場合にも、過大な圧力が加わらないよう、試験中は常時圧力を監視し、 加圧装置から離れない。又、加圧ラインには、30kPa以下の安全弁を設ける。
(ウ) 試験後、検知層のガスの放出は安全な場所、 方法で行う。
(エ) 閉鎖部の止め板等は、圧力計示度がゼロであることを確認してから開放する。
カ 留意点
(ア) 気象変化の激しい時は、試験を実施しない。
(イ) 地下タンクに危険物を荷卸しして10時間以上経過していない時は、試験を実施しない。
(ウ) 圧力は必ずゼロの状態から記録を開始し、加圧状態の全体を把握する。
(エ) 圧力の開放は、1 分以上の時間で徐々に行う。
(オ) 試験中は貯蔵液の入出荷を行わない。ただし、給油又は注油作業はこの限りでない。
(カ) 強化プラスチック製二重殻タンクのうち、検知層のみに 20kPaの圧力をかけた場合に地下タンク本体に損傷を与えるおそれのあるものにあっては、試験を実施する前に地下タンク本体に 20kPa の圧力を加え、そのままの状態で試験を実施する。ただし、この場合地下タンク・地下配管内の貯蔵液は全て抜き取り、空の状態とする。
(キ) 試験は、複数の地下タンクの検知層を接続することなく、単独で実施する。
(2) 減圧法
検知層を減圧し、所定の減圧状態を維持し、一定の時間内の圧力変動を計測することにより、漏えいの有無を確認する方法である。
ア 点検範囲
強化プラスチック製の外殻(検知層)
イ 点検の準備と手順
(ア) 開口部をバルブ、止め板、閉鎖治具等で閉鎖する(減圧状態を安全に維持、確保できる強度を有する方法で行うこと。)
(イ) 下記の点検器具を取付ける。
・圧力計(圧力自記記録計)・・・・・・最小目盛が0.1kPa以下であり、これを読み取り、記録できる精度のもの。
・温度計・・・・・・試験圧力に十分耐えうるもので、最小目盛りが1℃以下の表示式又は記録式のもの。
・真空ポンプ・・・・・・点検範囲を手動又はその他動力により真空にできるもの。
ウ 減圧の方法
(ア) 圧力計を監視しながら真空ポンプにより1kPa/min程度の速度で減圧し、試験圧力まで減圧する。減圧値は20kPaとする。
(イ) (ア)の状態で45分容量(50kLを超える地下タンクにあっては50kLごとに15分間加えた時間)以上の圧力変動値を計測する。
(ウ) 試験前後の地下タンク内温度(気相部及び液相部)及び気温並びにその間の気象変化を記録する。
(エ) 減圧後15分間の静置時間の圧力上昇が15%以下であることを確認する。
エ 判定方法
減圧後15分間の静置時間をおいて、その後30分間(容量50kLを超える地下タンクにあっては50kLごとに15分間加えた時間)の圧力の上昇が試験圧力の10%以下の場合は「異常なし」とする。
オ 安全対策
(ア) 消火器、安全柵、警戒ロープ、作業標識等を設置して防火・災害予防に努める。
(イ) 真空ポンプが万一不調になった場合にも、急激な圧力変化がおきないよう、試験中は常に圧力を監視し、真空ポンプから離れない。
(ウ) 閉鎖部の止め板等は、圧力指示度がゼロであることを確認してから開放する(特に、口径の大きなものは十分注意する。)。
カ 留意点
(ア) 気象変化の激しい時は、試験を実施しない。
(イ) 地下タンクに危険物を荷卸しして10時間以上経過していない時は、試験を実施しない。
(ウ) 圧力は必ずゼロの状態から記録を開始し、減圧状態の全体を把握する。
(エ) 圧力の開放は、1分以上の時間で徐々に行う。
(オ) 試験中は貯蔵液の入出荷を行わない。ただし、給油又は注油作業はこの限りでない。
(カ) 試験は、複数の地下タンクの検知層を接続することなく、単独で実施する。
図5 減圧法点検器具設置例
別添2 、別添3及び別添4〔省略〕