消防特第9号
平成19年1月26日
関係道府県消防防災主管部長 殿
消防庁特殊災害室長
大容量泡放水砲等の配備に伴う石油コンビナート等防災計画の修正等について(通知)
石油コンビナート等特別防災区域(以下「特別防災区域」という。)における防災対策については、日頃から特段のご尽力を頂いているところであります。
さて、石油コンビナート等災害防止法施行令の一部を改正する政令(平成17年政令第353号)及び石油コンビナート等における特定防災施設等及び防災組織等に関する省令の一部を改正する省令(平成17年総務省令第159号)がそれぞれ平成17年12月1日に施行され、平成20年11月30日までに大容量泡放水砲等及び大容量泡放水砲用泡消火薬剤(以下「大容量泡放射システム」という。)の配備が特定事業者に義務づけられたことに伴い、関係道府県の石油コンビナート等防災本部(以下「防災本部」という。)において作成されている石油コンビナート等防災計画(以下「防災計画」という。)を修正する必要があることから、「広域共同防災組織に係る石油コンビナート等防災計画のあり方に係る検討会」を設置し、防災計画の修正のあり方等について検討を行ったところであります。
今般、当検討会における検討結果を、別添のとおり報告書としてとりまとめましたので、貴道府県にあっては、大容量泡放射システムの配備に伴い防災計画を修正する場合は、当該報告書を参考にするとともに、下記事項にも留意し、防災計画が実態に即した適切なものとなるよう御配慮方よろしくお願いします。
併せて貴管下関係市町村に対しても、この旨通知のうえ周知されるようよろしくお願いします。
1 防災計画の修正にあたっての留意事項
(1) 災害想定の充実
防災計画を策定するにあたっては、特別防災区域で発生する可能性のある災害に関する適切な想定を行うことが不可欠であるため、従来より、「石油コンビナートの防災アセスメント指針」等を参考とし、防災計画が実態に即したものとなるよう御配慮いただいてきたところである(「石油コンビナート等防災計画における災害想定の充実等について」平成13年3月19日付け消防特第40号)。さらに、平成16年の石油コンビナート等災害防止法の一部を改正する法律(以下「改正法」という。)により、防災計画の修正に際しての科学性・客観性確保のため、科学的知見に基づく災害の調査・予測・評価を行う「防災アセスメント」の実施が、防災本部に法律上の努力義務として課せられた(「消防法及び石油コンビナート等災害防止法の一部を改正する法律(石油コンビナート等災害防止法に関する部分)の運用について」平成16年11月30日付け消防特第224号第4)。
したがって、大容量泡放射システムの配備に伴う防災計画の修正にあたっては、「石油コンビナートの防災アセスメント指針」等を参考に防災アセスメントを実施し、浮き屋根式タンクの全面火災の災害想定を防災計画に追加する必要があること。
なお、大容量泡放射システムの配備の必要がない特定事業者のみが所在する特別防災区域に係る関係県において、未だ防災アセスメントを実施していない場合にあっても、同様に防災アセスメントを実施し、地域特性に応じた災害想定を行う必要があること。
(2) 大容量泡放射システムの有効性の確認・検証
浮き屋根式タンクの全面火災を新たな災害想定として防災計画に追加するためには、当該災害に対応するための大容量泡放射システムの有効性の確認・検証を実施することが前提となることから、広域共同防災組織(特定事業者)が作成する広域共同防災規程等に添付される警防計画及び警防活動計画(以下「警防計画等」という。)の案に基づき、関係道府県、市町村は適切な役割分担の下、確認・検証を行う必要があること。
なお、当該確認・検証にあたっては、別添報告書及び「広域共同防災規程作成指針及び広域共同防災規程作成指針の概説等について(通知)」(平成19年1月26日付け消防特第10号)において示した「大容量泡放射システムの配置におけるチェックポイント」を参考にされたい。
(3) 防災計画修正の検討体制
大容量泡放射システムの配備に伴う防災計画の修正にあたっては、防災本部に学識経験者等を構成員とした専門部会を置き、当該専門部会において、特に専門的な知見が必要な項目について確認・検証をすることが望ましい。
また、大容量泡放射システムが複数の府県を越えて輸送される場合にあっては、関係府県による協議会(以下「ブロック内関係府県協議会」という。)等を設置し、関係府県間の輸送に関する調整を行うことが望ましい。
なお、専門部会及びブロック内関係府県協議会における委員の構成例、標準的な進め方等に関しては、別添報告書を参考にされたい。
(4) 防災計画の修正内容
上記(1)及び(2)を実施し、大容量泡放射システムの有効性を確認・検証した上で、広域共同防災組織の活動基準(改正法第31条第2項第9号)について防災計画に定めること。
なお、当該活動基準とは、広域共同防災規程等に定めるべき事項のほか、当該特別防災区域の特殊性をも加味した具体的な基準であることから、各地域の特性等に応じた適切な事項について定めること。
(5) 防災計画の修正スケジュール
大容量泡放射システムの配備期限が平成20年11月30日であることから、この時期までに防災計画の修正を終えることが望ましいが、防災計画の修正作業の進捗上やむを得ない場合にあっても、遅くとも平成20年度中に修正を終えるべきものであること。
なお、防災計画の修正作業にあっては、別添報告書に示す標準的な修正スケジュールを参考に、各道府県の事情により弾力的に対応されたい。
(6) 財政措置
改正法に基づく大容量泡放射システムの配備に伴う防災計画修正の検討(専門部会、ブロック内関係府県協議会の運営)及び防災アセスメントの実施等に要する経費については、地方交付税措置を講ずる予定であること。
(参考)平成19年1月22日付け財政課長内かん(抜粋)
「石油コンビナート等災害防止法」の一部改正に基づく、大容量泡放射システムの配備に伴う新たな広域的な防災体制の整備や科学的知見に基づく防災アセスメントの実施等の経費について、地方交付税措置を講じることとしている。
これらを踏まえ、石油コンビナート等防災計画を平成20年11月末までに改正するよう、所要の準備を進められたい。
2 特定事業者からの相談への対応
今後、大容量泡放射システムの配備に向けて特定事業者より、警防計画等、特定防災施設の届出、防災要員を減じる措置等について、案の段階での相談が行政機関に行われた際は、関係行政機関にあっては、事業者により適切な計画等が作成されるよう、適宜必要に応じて石災法第40条に基づく立入検査等、現場確認を実施するなどして適切に対応されたい。