消防予第11号

平成19年1月17日

各都道府県消防防災主管部長

東京消防庁・各指定都市消防長 殿

消防庁予防課長

 

ステンレス鋼管を用いた配管及び管継手の施工に当たっての留意事項について

 

今般、消防法施行規則の一部を改正する省令(平成18年総務省令第116)により、屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、泡消火設備、屋外消火栓設備、連結散水設備及び連結送水管の配管に日本工業規格(以下「JIS」という。)G 3448(一般配管用ステンレス鋼管)及びJIS G 3459(配管用ステンレス鋼管)が位置付けられました。

これに伴い、ステンレス鋼管を用いた配管及び管継手の適切な設置及び維持を図るため、施工に当たっての留意事項を下記のとおり定めました。貴職におかれましてはその運用に十分配慮されるとともに、各都道府県消防防災主管部長におかれましては、貴都道府県内の市町村に対しこの旨周知されるようお願いします。

 

 

1 接合方法

配管及び管継手又は配管及びバルブ類(以下「配管及び管継手等」という。)の接合は、次に掲げる方法により行うこと。

(1) 溶接接合

ア 配管は、手動又は自動のステンレス鋼管専用の切断工具を使用し、所定の長さに切断するとともに、開先加工及び面取りを行うこととし、溶断による切断は行わないこと。

イ 「ステンレス鋼溶接技術検定における試験方法及び判定基準」(JIS Z 3821)の技術検定に合格した者が、次の手順に従って手動又は自動のティグ溶接(タングステンイナートガスアーク溶接)により配管及び管継手等の溶接接合を行うこと。

() 仮付け溶接は、次の事項に留意して行うこと。

a 配管及び管継手の芯だしを行い、ずれが生じないように受け台等で固定して細心の注意を払うこと。

b 突合せ溶接部の溶込み不足が生じないように配管、管継手の厚さに適したルート間隔が確保できるように行うこと。

c 必要最小限の入熱で行うこと。

() 本溶接は、次の事項に留意して行うこと。

a 溶接部酸化防止のため、アルゴンガス又は窒素ガスでバックシールドを行いながら行うこと。

b バックシールドに用いるアルゴンガス又は窒素ガスは、本溶接終了後も溶接部分が酸化しない温度(手で触れることができる程度の温度)になるまで送気すること。

c 溶接中に発生した酸化膜は、ステンレス製のワイヤーブラシ等で除去すること。

d 溶接部は、十分な溶込みを確保するとともに、裏波ビートが形成されていることを確認すること。

ウ 溶接部の試験・検査は、次によること。

() 外観検査

a 溶接部に溶け込み不足、極端なアンダーカット、オーバーラップ、割れ、ピット等の欠陥がないことを確認すること。

b 配管の内面に裏波ビートが十分出ていること及び酸化スケールがない(母材と同色)ことを確認すること。

() 漏れ検査

気密試験又は水圧試験により、漏れのないことを確認すること。

(2) ねじ接合

配管及び管継手等をねじ接合で接合する。なお、ねじ接合に当たっての接合材は、ステンレス用の液状シール材又は「シール用四ふっ化エチレン樹脂未焼成テープ(生テープ)(JIS K 6885)を使用すること。

(3) フランジ接合

配管及び管継手等をフランジ接合で接合する。なお、フランジ部材は、JIS B 2220のステンレス鋼(SUS304SUS316)製を使用するとともに、ガスケットは、水に接して塩素を溶出しない材質を使用すること。

2 絶縁対策

配管及び管継手等に絶縁対策を施す場合は、次の例により行うこと。

(1) 絶縁箇所には、絶縁継手等を使用すること。

(2) 支持金物等は、合成樹脂を被覆した支持金具・固定金具を用いるとともに、絶縁シート、合成樹脂の絶縁テープ等を介して取り付けること。

3 埋設施工

配管及び管継手を埋設施工する場合は、次の方法により行うこと。

(1) コンクリート埋設は、次によること。

ア 鉄筋との接触を避けること。やむを得ず接触する場合は絶縁処置を施すこと。

イ 高濃度の塩化剤を含むコンクリート添加剤が使用されている場合は、防食テープ等で保護すること。

(2) 土中埋設は、次によること。

ア 埋設部分は、管及び管継手のみとし、バルブ類及び計器類は埋設しないこと。

イ 埋設部分がSUS304の場合は、ポリエチレンスリーブで保護するかペトロラタム系等による防食処置を施すこと。またSUS316の場合は、原則として防食処置は不要であるが、環境に応じてSUS304と同様な処置を施すこと。

4 その他

配管及び管継手等を接合する場合であって、当該接合部に可燃性のパッキン又はガスケットを用いて水封するものにあっては、湿式配管とすること。

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