消防予第192号

平成9年12月5日

各都道府県消防主管部長 殿

消防庁予防課長

 

消防用設備等に係る届出等に関する運用について(通知)

 

消防法(以下「法」という。)第17条の14の規定に基づく消防用設備等の着工届、法第17条の3の2の規定に基づく消防用設備等の設置届及び法第17条の3の3の規定に基づく消防用設備等の点検報告については、消防法施行令(以下「令」という。)、消防法施行規則(以下「規則」という。)等により、その細目(届出等に係る手続き、提出書類等)が定められている。

一方、消防用設備等に係る届出等については、軽微な工事、重複している添付書類の取扱い等について簡素合理化が求められており、消防庁では、「消防用設備等の検査・点検のあり方検討委員会」において、届出等のあり方について検討を行ってきたところである。

今般、当該検討結果を踏まえ、消防用設備等に係る届出等について、下記のとおり運用することとしたので、その取扱いについて配慮されるとともに、貴管下市町村に対してもこの旨示達され、よろしく御指導願いたい。

 

 

第1 消防用設備等に係る軽微な工事に関する運用について

消防用設備等の着工届並びに設置届及び消防検査については、、消防用設備等を新たに設置する場合及び既存の消防用設備等の増設、改造等を行う場合を対象としているところであるが、当該消防用設備等に係る工事の区分、内容等に応じ、次のとおり運用することとする(参考)

1 消防用設備等の着工届について

法第17条の14の規定に基づく消防用設備等の着工届は、紙1、1から5までに掲げる消防用設備等に係る工事について要するものである。ただし、別紙1、2から4までに掲げる消防用設備等に係る工事のうち、別紙に掲げる軽微な工事に該当するものにあっては、次により取り扱うことにより、着工届を要しないことができるものとする(軽微な工事又は別紙1、6に掲げる「補修」以外の工事を同時に行う場合を除く。)

(1) 令第36条の2第1項に掲げる消防用設備等に係る工事については、着工届の有無にかかわらず、当該消防用設備等に係る甲種消防設備士が行うこと。

(2) 甲種消防設備土は、軽微な工事を実施した場合においても、当該工事の内容を記録するとともに、消防用設備等試験結果報告書、当該消防用設備等に関する図書(設計書、仕様書、計算書、系統図、配管・配線図、平面図、立面図、断面図等)及び現場の状況を補足する写真、試験データ等を作成・整備し、防火対象物の関係者に提出すること。

(3) 防火対象物の関係者は、消防用設備等の修理、整備等の経過一覧表に所要の事項を確実に記録するとともに、規則第31条の4第2項に規定する維持台帳に所要の書類を添付して保存し、査察時等に提示できるようにしておくこと。

2 消防用設備等の設置届及び消防検査について

法第17条の3の2の規定に基づく消防用設備等の設置届及び消防検査は、紙1、1から5までに掲げる消防用設備等に係る工事について要するものである。ただし、別紙1、2から4までに掲げる消防用設備等に係る工事のうち、別紙に掲げる軽微な工事に該当するものにあっては、次により取り扱うことができるものとする。

(1) 軽微な工事にあっても、設置届を省略することはできないものであること。

(2) 軽微な工事に係る消防検査については、設置届に添付された消防用設備等試験結果報告書、当該消防用設備等に関する図書等の確認により消防検査を行うこととし、現場確認を省略することができること(当該軽微な工事又は別紙1、6に掲げる「補修」以外の工事を同時に行う場合を除く。)

(3) 軽微な工事に係る事項については、査察等の機会をとらえ、維持台帳に編冊された経過一覧表及び試験結果報告書の内容並びに現場の状況を確認し、消防用設備等が適正に設置・維持されていることを確認すること。

3 運用上の留意事項について

前1及び2により運用をするにあたっては、次の事項に留意するものとする。

(1) 消防用設備等の「撤去」については、着工届及び設置届を要しないものであるが、防火対象物の関係者から事前に情報提供を求めること等により、その実態を把握することが望ましいこと。

(2) 消防用設備等に係る軽微な工事については、次によること。

ア 消防用設備等に係る軽微な工事については、甲種消防設備士により適切な工事が行われていることを前提に着工届及び消防検査の簡素化を図ったものであること。したがって、法第17条の5の規定による消防設備士の業務独占に係る工事以外の工事については、今回の運用の対象外であること。

イ 消防用設備等に係る軽微な工事の範囲については、別紙に掲げるとおりであるが、これらに該当するか否か判断が難しいものにあっては、甲種消防設備士に対して、事前に相談、協議するよう指導すること。

(3) 甲種消防設備士に対しては、講習等の機会をとらえ、着工届を要する工事の区分、軽微な工事の範囲、工事実施上の留意事項等について、周知されたいこと。

 

第2 消防用設備等に係る届出等に関する運用について

消防用設備等の着工届、設置届及び点検報告については、原則として消防用設備等ごとに当該設備に係る所要の図書を添えて提出することとされている(参考)が、消防事務の簡素合理化の観点から、次のとおり運用することとする。

1 消防用設備等の着工届について

「消防用設備等の着工届に係る運用について」(平成5年10月26日付け消防予第285号・消防危第81号)によるほか、同一の防火対象物について同一時期に提出される複数の着工届の添付図書のうち、次に掲げるものについては、一の着工届に代表して添付することにより、個々の消防用設備等着工届出書への添付を省略できるものとする。

〇 付近見取図

○ 意匠図(建築平面図、断面図、立面図等)

○ 関係設備共通の非常電源関係図書

○ 防火対象物の概要表

2 消防用設備等の設置届について

消防用設備等の設置届に係る添付書類について、次のとおり運用することとする。

(1) 消防用設備等設置届出書に消防用設備等試験結果報告書及びこれに付随するデータ書を添付すればよいものとすること。この場合において、消防同意又は着工届に伴い既に消防機関において保有している図書に変更があったとき又は不足している図書があったときは、変更部分に係る図書の差し替え又は不足図書の追加をもって足りるものとすること。

(2) 着工届を要しない工事について設置届を行う場合又は変更部分に係る図書の差し替え若しくは不足図書の追加を行う場合において、同一の防火対象物について同一時期に提出される複数の設置届の添付図書のうち、次に掲げるものについては、一の設置届に代表して添付することにより、個々の消防用設備等設置届出書への添付を省略できるものとすること。

〇 付近見取図

○ 意匠図(建築平面図、断面図、立面図等)

○ 関係設備共通の非常電源関係図書

(3) 届出は、防火対象物ごとに行ってさしつかえないものとすること。

3 消防用設備等の点検に係る書類の保存について

消防用設備等の点検に係る書類の保存について、次のとおり運用することとする。

(1) 個々の消防用設備等の点検票を保存しなければならない期間については、原則3年とし、3年を経過したものについては、消防用設備等点検結果総括表、消防用設備等点検者一覧表及び経過一覧表を保存することをもって足りることとすること。

(2) 消防長又は消防署長が適当と認めるときは、3年を経過しない場合であっても、同様の措置を認めてさしつかえないこと。

 

第3 維持台帳について

第1及び第2により運用を行う場合にあっては、消防用設備等の適切な設置及び維持を担保するため、これまで以上に消防用設備等に係る維持台帳の整備が重要となる。

維持台帳は、各消防用設備等ごとに構造、性能等及び設置時からの状態(履歴)を明確にしたもので、おおむね次の図書等を編冊(重複する図書、関連する図書等は、合本することができる。)したものである。消防機関においては、事前相談、届出、査察等の機会をとらえ、設計・施工業者、防火対象物の関係者等に対し、維持台帳の重要性、必要な書類、データ等について周知する必要がある。

○ 消防用設備等着工届出書の写し

○ 消防用設備等設置届出書の写し

○ 消防用設備等試験結果報告書

○ 消防用設備等検査済証

○ 消防用設備等点検結果報告書の写し

○ 点検票(消防用設備等点検結果総括表及び消防用設備等点検者一覧表により代替する場合を含む。)

○ 消防用設備等の修理、整備等の経過一覧表

○ 消防用設備等に関する図書(設計書、仕様書、計算書、系統図、配管・配線図、平面図、立面図、断面図等)

○ 現場の状況を補足する写真、試験データ等

○ その他必要な書類(法第4条の規定に基づく立入検査時の結果通知書等)

 

別紙1

消防用設備等に係る工事の区分

1 新設

防火対象物(新築のものを含む。)に従前設けられていない消防用設備等を新たに設けることをいう。

2 増設

防火対象物に設置されている消防用設備等について、その構成機器・装置等の一部を付加することをいう。

3 移設

防火対象物に設置されている消防用設備等について、その構成機器・装置等の全部又は一部の設置位置を変えることをいう。

4 取替え

防火対象物に設置されている消防用設備等について、その構成機器・装置等の一部を既設のものと同等の種類、機能・性能等を有するものに交換することをいう。

5 改造

防火対象物に設置されている消防用設備等について、その構成機器・装置等の一部を付加若しくは交換し、又は取り外して消防用設備等の構成、機能・性能等を変えることをいい、「取替え」に該当するものを除く。

6 補修

防火対象物に設置されている消防用設備等について、変形、損傷、故障箇所などを元の状態又はこれと同等の構成、機能・性能等を有する状態に修復することをいう。

7 撤去

防火対象物に設置されている消防用設備等について、その全部を当該防火対象物から取り外すことをいう。

 

別紙2

軽微な工事の範囲

消防用設備等の種類

増設

移設

取替え

屋内消火栓設備 屋外消火栓設備

①消火栓箱

2基以下で既設と同種類のものに限る。

→加圧送水装置等の性能(吐出量、揚程)、配管サイズ及び警戒範囲に影響を及ぼさないものに限る。

①消火栓箱

→同一の警戒範囲内での移設

加圧送水装置を除く構成部品

スプリンクラー設備

①ヘッド

5個以下で、既設と同種類のもので、かつ、散水障害がない場合に限る。

→加圧送水装置等の性能(吐出量、揚程)、配管サイズに影響を及ぼさないものに限る。

②補助散水栓箱

2個以下で既設と同種類のものに限る。

①ヘッド

5個以下で防護範囲が変わらない場合に限る。

②補助散水栓箱

→同一警戒範囲内での移設

加圧送水装置、減圧弁、圧力調整弁、一斉開放弁を除く構成部品

水噴霧消火設備

①ヘッド

→既設と同種類のもの

→一の選択弁において5個以内

→加圧送水装置等の性能(吐出量、揚程)、配管サイズに影響を及ぼさないものに限る。

①ヘッド

→一の選択弁において2個以内

②手動起動装置

→同一放射区画内で、かつ、操作性に影響のない場合に限る。

加圧送水装置、減圧弁、圧力調整弁、一斉開放弁を除く構成部品

泡消火設備

①ヘッド

→既設と同種類のもの

→一の選択弁において5個以内

→加圧送水装置等の性能(吐出量、揚程)、配管サイズ、泡混合装置、泡消火剤貯蔵量等の能力に影響を及ぼさないものに限る。

①ヘッド

→一の選択弁において5個以下で警戒区域の変更のない範囲

②手動起動装置

→同一放射区画内で、かつ、操作性に影響のない場合に限る。

加圧送水装置(制御盤を含む)、泡消火剤混合装置、減圧弁、圧力調整弁を除く構成部品

二酸化炭素消火設備、ハロゲン化物消火設備、粉末消火設備

①ヘッド・配管(選択弁の二次側に限る。)

→既設と同種類のもの

5個以下で薬剤量、放射濃度、配管のサイズ等に影響を及ぼさないものに限る。

②ノズル

→既設と同種類のもの

5個以下で薬剤量、放射濃度、配管のサイズ等に影響を及ぼさないものに限る。

③移動式の消火設備

→既設と同種類のもの

→同一室内に限る。

④制御盤、操作盤等の電気機器起動用ガス容器、操作管、手動起動装置、火災感知器、放出表示灯、スピーカー、ダンパー閉鎖装置、ダンパー復旧装置

→既設と同種類のもの

→同一室内で、かつ、電源容量に影響を及ぼさないものに限る。

 

①ヘッド・配管(選択弁の二次側に限る。)

5個以下で放射区域の変更のない範囲

②ノズル

5個以下で放射区域の変更のない範囲

③移動式の消火設備

→同一室内に限る。

④制御盤、操作盤等の電気機器、起動用ガス容器、操作管、手動起動装置、火災感知器、放出表示灯、スピーカー、ダンパー閉鎖装置、ダンパー復旧装置→同一室内で、かつ、電源容量に影響を及ぼさないものに限る。

すべての構成部品

→放射区画に変更のないものに限る。

自動火災報知設備

①感知器

→既設と同種類のもの

10個以下②発信機、ベル、表示灯

→既設と同種類のもの

→同一警戒区域内に限る。

①感知器

10個以下で警戒区域の変更がない場合に限る。

② 発信機、ベル、表示灯

→同一警戒区域内に限る。

①感知器

10個以下

②受信機、中継器

7回線を超えるものを除く。

③発信機、ベル、表示灯

ガス漏れ火災警報設備

①検知器

→既設と同種類のもの

5個以下で警戒区域の変更がない場合に限る。

①検知器

5個以下で警戒区域の変更がない場合に限る。

受信機を除く。

避難器具(金属製避難はしご(固定式のものに限る。))(救助袋)(緩降機)

該当なし

①本体・取付金具

→同一階に限る。

→設置時と同じ施工方法に限る。

①標識

②本体・取付金具

→設置時と同じ施工方法に限る。

 

参考1

消防用設備等に係る軽微な工事に関する運用

工事の区分

着工届

設置

届出

消防検査

新設

必要

必要

必要

増設 移設 取替え

☆原則として必要。

☆ただし、別紙2に掲げる軽微な工事に該当するものにあっては、次により取り扱うことにより、不要とすることができる。

○工事:甲種消防設備士が実施

○甲種消防設備士:試験結果報告書等を作成・整備

○防火対象物の関係者:経過一覧表への記録、維持台帳の整備・保存等

必要

☆必要。

☆ただし、別紙2に掲げる軽微な工事にあっては、次により取り扱うことにより、現場確認省略することができる。

○消防機関:査察時等の機会をとらえ、維持台帳の内容及び現場の状

改造

必要

必要

必要

補修撤去

不要

不要

不要

*詳細については、本通知第1を参照すること。

 

参考2

消防用設備等に係る諸手続関係図

着工届出

設置届出

点検報告

◎届出対象

○消防設備士が行う消防用設備等に係る工事及び整備(例 屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、自動火災報知設備等)

◎届出対象

○特定防火対象物で延べ面積3002以上のもの

○上記以外の防火対象物((19)項及び(20)項を除く。)で延べ面積3002以上のもののうち、消防長又は消防署長が指定

したもの

◎報告対象

○特定防火対象物は1年に1

○特定防火対象物以外のものは3年に1

◎添付書類

1 消火設備

○附近見取図

○防火対象物の概要表

○消火設備の概要表

○平面図

○断面図

○配管系統図及び展開図

○計算書

○使用機器図

2 警報設備

○附近見取図

○防火対象物等の概要表

○警報設備の概要表

○平面図

○断面図

○配線図

3 避難設備

○附近見取図

○避難器具の概要表

○平面図

○立面図

○避難器具等の設計図等

○計算書

◎添付書類

1 消防用設備等に関する図書

○設計書

○仕様書

○計算書

○系統図

○配管及び配線図並びに平面図

○立面図及び断面図

2 各消防用設備等ごとの消防用設備等試験結果報告書

◎添付書類

○各消防用設備等の種類に応じた点検票(消防長又は消防署長が適当と認める場合には、消防用設備等点検総括表、消防用設備等点検者一覧表の添付することができる。)

 

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