法律第186号
昭和25年5月17日
消防法の一部を改正する法律
消防法(昭和23年法律第186号)の一部を次のように改正する。
但し、個人の住居は、関係者の承諾を得た場合又は火災発生の虞が著しく大であるため、特に緊急の必要がある場合でなければ、立ち入らせてはならない。
同条第2項但書を次のように改める。
但し、山林に立ち入つて検査する場合、当該舟車、船きよ若しくはふ頭に繋留された船舶又は建築物その他の工作物の関係者の同意を得た場合及び火災発生の虞が著しく大であるため、特に緊急の必要がある場合は、この限りでない。
同条同項第1号及び第2号中「時間内」の下に「又は日出から日没までの時間」を加え、
第3号中「(個人の住居は関係者の承諾を得なければならない。)」及び但書を削り、
同条第3項を第4項とし、
以下1項ずつ繰り下げ、
第2項の次に次の1項を加える。
前項各号の日出から日没までの時間(第1号及び第2号の場合にあつては、公開時間及び従業時間を除く。)に立入及び検査をする場合においては、48時間以前にその旨を当該関係者に通告しなければならない。但し、前項但書の場合は、この限りでない。
第4条の2 消防長若しくは消防署長又は消防本部を置かない市町村においては市町村長は、火災予防のため特に必要があるときは、防火対象物及び期日又は期間を指定して、当該管轄区域内の消防団員に前条第1項の立入及び検査をさせることができる。
前条第1項但書及び第2項乃至第6項の規定は、前項の場合にこれを準用する。
「貯蔵し、又は」の下に「製造所、貯蔵所及び取扱所以外の場所でこれを」を加え、
「貯蔵する場合」を「貯蔵し又は取り扱う場合」に改める。
第10条第4項、第12条並びに第13条第1項及び第3項中「貯蔵所」を「製造所、貯蔵所及び取扱所」に改める。
第19条中「設備」の下に「並びに防火塗料、防火液その他の防火薬品」を加え、
同条に次の2項を加える。
国家消防庁は、消防の用に供する機械器具及び設備並びに防火塗料、防火液その他の防火薬品に関して、要求があるときは、検定を行うことができる。
前項の検定を受けようとする者は、政令で定める手数料を納めなければならない。
第22条第3項中「通報を受けたとき」の下に「又は気象の状況が火災の予防上危険であると認めるとき」を加える。
消防車は、火災の現場に出動するとき及び訓練のため特に必要がある場合において一般に公告したときに限り、サイレンを用いることができる。
同条に次の1項を加える。
消防車は、消防署等に引き返す途中その他の場合には、鐘又は警笛を用い、一般交通規則に従わなければならない。
第29条第1項後段を削り、
同条第2項中「消防長又は消防署長」を「消防長若しくは消防署長又は消防本部を置かない市町村においては消防団の長」に、「前項」を「前2項」に改め、
同項を第3項とし、
以下1項ずつ繰り下げ、
第1項の次に次の1項を加える。
消防長若しくは消防署長又は消防本部を置かない市町村においては消防団の長は、火勢、気象の状況その他周囲の事情から合理的に判断して延焼防止のためやむを得ないと認めるときは、延焼の虞がある消防対象物及びこれらのものの在る土地を使用し、処分し又はその使用を制限することができる。
第30条第1項中「消防長又は消防署長は、」を「消防長若しくは消防署長又は消防本部を置かない市町村においては消防団の長は、水利を使用し又は」に、「又は水道」を「若しくは水道」に改め、
同条第2項中「消防長又は消防署長」を「消防長若しくは消防署長又は消防本部を置かない市町村においては消防団の長」に改める。
第32条を第31条とし、
同条の次に次の1条を加える。
第32条 消防長又は消防署長は、前条の規定により調査をするため必要があるときは、関係のある者に対して質問をすることができる。
消防長又は消防署長は、前条の調査について、関係のある官公署に対し必要な事項の通報を求めることができる。
第35条 放火又は失火の疑いのあるときは、その火災の原因の調査の主たる責任及び権限は、消防長又は消防署長にあるものとする。
消防長又は消防署長は、放火又は失火の犯罪があると認めるときは、直ちにこれを所轄警察署に通報するとともに必要な証拠を集めてその保全につとめ、国家消防庁において放火又は失火の犯罪捜査の協力の勧告を行うときは、これに従わなければならない。
第35条の2 消防長又は消防署長は、警察官又は警察吏員が放火又は失火の犯罪の被疑者を逮捕し又は証拠物を押収したときは、事件が検察官に送致されるまでは、前条第1項の調査をするため、その被疑者に対し質問をし又はその証拠物につき調査をすることができる。
前項の質問又は調査は、警察官又は警察吏員の捜査に支障を来すこととなつてはならない。
第35条の3 本章の規定は、警察官又は警察吏員が犯罪(放火及び失火の犯罪を含む。)を捜査し、被疑者(放火及び失火の犯罪の被疑者を含む。)を逮捕する責任を免れしめない。
放火及び失火絶滅の共同目的のために消防吏員及び警察官又は警察吏員は、互に協力しなければならない。
第40条第2項の次に掲げた各号を第1項の各号として同項に移し、
第1号中「第26条」の下に「第1項」を加え、
第2号中「消防団員が、」を「消防団員が」に、
第3号中「第4項」を「第5項」に、
同条第3項中「前項」を「第1項」に改める。
第42条中それぞれ第2項の次に掲げた各号をそれぞれ第1項の各号として同項に移す。
第45条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第10条第1項乃至第3項、第11条、第12条第1項、第13条、第14条第2項及び第15条の規定並びに第16条の規定による市町村条例の規定の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対しても各本条にかかる罰金刑を科する。但し、法人又は人の代理人、使用人その他の従業者の当該違反行為を防止するため当該業務に対し相当の注意及び監督が尽されたことの証明があつたときは、その法人又は人については、この限りでない。
第46条 削除
別表
類別 |
品名 |
第10条第1項及び第11条の数量 |
第一類 |
塩素酸塩類 |
kg 50 |
過塩素酸塩類 |
50 |
|
過酸化物A |
50 |
|
過酸化物B |
50 |
|
硝酸塩類 |
1,000 |
|
過マンガン酸塩類 |
1,000 |
|
第二類 |
黄りん |
Kg 20 |
硫化りん |
50 |
|
赤りん |
50 |
|
硫黄 |
100 |
|
金属粉A |
500 |
|
金属粉B |
1,000 |
|
第三類 |
金属「カリウム」 |
kg 5 |
金属「ナトリウム」 |
5 |
|
炭化カルシウム(カーバイト) |
300 |
|
りん化石灰 |
300 |
|
生石灰 |
500 |
|
第四類 |
エーテル |
? 50 |
二硫化炭素 |
50 |
|
コロヂオン |
50 |
|
アセトン |
100 |
|
アセトアルデヒト |
100 |
|
第一石油類 |
100 |
|
さく酸エステル類 |
200 |
|
ぎ酸エステル類 |
200 |
|
メチルエチルケトン |
200 |
|
アルコール類 |
200 |
|
ピリヂン |
200 |
|
クロールベンゾール |
300 |
|
第二石油類 |
500 |
|
テレビン油 |
500 |
|
しよう脳油 |
500 |
|
松根油 |
500 |
|
第三石油類 |
2,000 |
|
動植物油類 |
3,000 |
|
第五類 |
硝酸エステル類 |
Kg 10 |
セルロイド類 |
150 |
|
ニトロ化合物 |
200 |
|
第六類 |
発煙硝酸 |
Kg 80 |
発煙硫酸 |
80 |
|
クロールスルフオン酸 |
80 |
|
無水硫酸 |
80 |
|
濃硝酸 |
200 |
|
濃硫酸 |
200 |
|
無水クロム酸 |
200 |
備考
一 石油類とは、原油、原油分りゆう及び分解製品、天然ガスの分離製品、けつ岩油、石炭液化油、タール類、タール類分りゆう製品その他これに類する油類で常温で液状となるものをいう(常温で液状となるその他の引火性物品を含む。)。「アーベルペンスキー」又は「ペンスキーマルテンス」引火点測定器を用いても760mmの気圧において、引火点が摂氏21度未満のものを第一石油類(例えば原油、ガソリン、ソルベントナフサ、タール軽油、ベンゾール、トルオール等)、21度以上70度未満のものを第二石油類(例えば灯油、軽油、ヂゼール油、キシロール、タール中油等)、70度以上のものを第三石油類(例えば重油、潤滑油、クレオソート油等のタール油類その他)という。
二 動植物油とは、常温で液状となるものをいう。
三 アルコール類には、フーゼル油、及び変性アルコールを含む。
四 過酸化物Bとは、アルカリ金属の過酸化物(過酸化ソーダ等)を、過酸化物Aとは、過酸化物B以外の過酸化物をいう。
五 濃硝酸とは、比重1.49以上、濃硫酸とは、比重1.82以上のものをいう。
六 ニトロ化合物とは、二硝基以上を有するもののみをいう。
七 セルロイド類とは、ニトロセルローズを主材とした製品、半製品及び屑をいう。
八 金属粉Aとは、マグネシウム及びアルミニウム粉、箔、リボンをいい、写真撮影用その他に用いるせん光粉を含む。金属粉Bとは、マグネシウム及びアルミニウム以外の金属粉をいう。
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 この法律施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。